「玩具修理者」 2002年
製作総指揮: 奥山和由 監督:はくぶん 脚本: 相良敦子
出演:田中麗奈、忍成修吾、麿赤兒、姿月あさと 美輪明宏
「玩具修理者」
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さっそく見てみました!
うわぁ、原作とは全然解釈が違いますね。これ。
原作では不気味で混沌と汚濁の化身であるかのような「ようぐそうとほうとふ」が、
映像版では、もっと綺麗なもの…存在自体が「上のもの」として描かれているように感じます。
見ていて感じるのは、恐怖じゃないというかー。
だからホラーよりはファンタジーって路線になったのね…。
うん、でも、全体の雰囲気は悪くない。ホラーが嫌いでも見られます。
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ある日、レトロなおもちゃの修理を扱う岩井の店に、一人の女性が尋ねてきた。
そこでバイトをする高校生、道雄は、おもちゃの説明をするうちに、
その女性の言葉に魅せられていく。
それは、彼女が幼い頃に出会った「玩具修理者」の話だった。
ようぐそうとほうとふ、という奇妙な名前を持つ玩具修理者は、子供達に重宝されていた。
なぜなら、どんなおもちゃでも、彼の手にかかれば直ってしまうから。
ぬいぐるみも、ゲームカセットも…死んでしまった猫でさえ。
彼女は昔、間違って殺してしまった弟を、玩具修理者に「修理」してもらったのだと言うのだ。
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もともと、監督の「はくぶん」さんはNHKで映像の仕事をやっていて、この作品が初監督だとか。
映像を専門にしていただけあって、ファンタジックな画面処理が非常に上手いです。
…まぁ…一部の『アルミホイル包み焼き』(笑)にはガックリきたんだけど…(笑)
それ以外は雰囲気良かったですよ。
故意に焦点をボカした感じ、ところどころ、こころもち斜めになった画像もいい。
物語全編、モノローグという作りは、人によって好みが別れそうですが、
なにしろ80分の短編なのでそれほど気になりません。
ただ、既にこれはクトゥルーではないですね。名前を使っただけの別モノです。
最初にも書きましたが「ようぐそうとほうとふ」の解釈が全然違う。
大小の石を寄せ集めた、二件の家の隙間に建つ小屋に、ぬめぬめと脂ぎった手足を持ち、
布切れを巻きつけただけのような衣服を着た原作の「玩具修理者」と、
森の奥の、なにやもわからぬ残骸の中に住み、ゆらゆらと白く発光する、
映像版のそれとは、天地の差がありすぎかと。
いっそ気持ちいいくらい「狂えるアラビア人」的な要素が払拭されていました(笑)
同じ物語を使いながらも、ここまで違う世界観になるんだ、というのに
驚くとともに、面白いなとも思いました。
最後は、クトゥルフの邪神を使った「邪神占い」です(笑)
私はタイプ9のツァトグァ…怠惰なところは当たっている。どうしよう。
「邪神占い」