「妖怪大戦争」 2005年
監督:三池祟史
出演:神木隆之介、菅原文太、宮迫博之、豊川悦司、栗山千明、高橋真唯、阿部サダヲ
特別出演:荒俣宏、京極夏彦、水木しげる、宮部みゆき
妖怪大戦争 公式サイト
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見たあと、この感覚はどこかで…と思いました。
そして辿りついたのは「ジュブナイル」。香取くんの出てた児童向けSF映画ですね。
映像や物語を、子供向けに故意に甘~くしてるところが似ているような気が。
冒頭に出てきた妖怪「件(くだん)」(人間の顔を持つ牛の妖怪。生まれてすぐに未来を予言して死ぬ)
の映像の怖さを考えれば、もっとリアルにもできるんだろうけど、あえてニセモノ臭くしてある感じ?
とりあえず、リアル嗜好のひとや、子供向け番組が苦手なひとは無理かもしれない。
きっと、最後のところでなんじゃこりゃあーと叫んでしまうだろうから(笑)
ただ、妖怪たち初め、キャストが面白いのは見所のひとつ。
どっかで見たようなひとが、妖怪の特殊メイクで出張る姿は、それだけで楽しい~。
キャストといえば、個人的に注目していた加藤様。
「クロウ」のパクリのようなポージングはさておき、眉毛ソリソリした顔も、
一見柔らかな声と物腰も、思ったより悪くはなかった。
しかし、やはり私の中での、Best of Katouは嶋田久作さんですね。不動なり。
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十歳の少年タダシは、両親が離婚した為、母親の実家のある鳥取で暮らすことになった。
都会で育ったタダシは、地元の子供達になかなか馴染めず、毎日からかわれる日々。
しかも、仲の良かった姉は父親と東京に残っており、母親は仕事で忙しく、一緒に暮らしている祖父は半分ボケて、タダシを自分の息子アキラと間違える始末。
そんな寂しい日々の中、タダシは地元の神社の祭りで「麒麟送子」に選ばれる。
世界に平和をもたらす英雄として、大天狗から剣を授かるため、一人山に入ったタダシの目の前に現れたのは、恐ろしい化け物の群れと、可愛らしい一匹の動物…すねこすりだった。
出会った妖怪たちと共に、タダシは、人間の世界を壊そうとする魔人・加藤保憲と対決する。
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…ラストの小豆には泣かされました。か、加藤様が…加藤様が…(涙)
バックに流れる「あずーきズキズキ♪」という馬鹿みたいな歌が涙を誘うーぅーー。
そして原作本を見てみれば、冒頭のページには小豆の説明が…なんか悲しいぞぅ!
…とはいえ、原作本と映画では、内容が随分違いました。
原作の方が「真っ白い嘘」に説得力があった。そして、何よりアギが可愛い。
映画版・アギは、派手な衣装に比べ、思ったより人間臭く感じましたね。
キル・ビルのゴーゴー夕張や6番目の小夜子の小夜子のほうが、ずっと化け物じみていた気が。
そして主人公の見所ですが、これは怯える演技と悲鳴につきます。
「わあぁあぁあぁぁぁ!!」とか
「うえぇっ、あっ、うぇっ」とか
「おぉぉおぅ、おぅおぉぅ」とか。
確かに、人間本気で怯えたら「ぎゃー!」なんて言えないかもしれない(笑)
そして子供に付き合うお父さん達には、もうひとつ。川姫のフトモモでしょう。
水に濡れた感じがなんかえっちぃーーーと思いつつ見ておりました。
つか、フトモモ強調アングル多すぎだってばよ(笑)
さて、タイトルは「妖怪大戦争」となっておりますが、実際は戦争じゃないのですよね。
ゲゲゲの鬼太郎の昔のオープニングに「お化けにゃ学校も~試験もなんにもナイ!」と
いうのがありましたが、妖怪の辞書には「戦い」や「憎しみ」という言葉もナイのです。
川姫のセリフ「復讐は人間の証。私はそこまで堕ちたくない」
この言葉で、スネコスリを失って復讐のために剣を振るっていたタダシが我にかえる様子、
「麒麟送子」…決して他者の命を奪わない慈悲の神獣「麒麟」の申し子という寓意。
さらに、原作版では、最後に加藤を滅ぼしたのはアギの愛情であること。
「妖怪大戦争」と銘打ってあるものの、実のところは「戦争なんかくだらない」というメッセージ満載でした。
『怒ったり、憎んだりする暇があったら、馬鹿みたいに踊って騒いで忘れようぜ!』て感じ?
シメは映画の最後のセリフ「戦争はいけません。腹が減るだけです」
この役をやった水木しげるさんは、戦時中にラバウルに出兵し、その際に片腕を失っています。
そういった方の言葉だと思うと、ものすごく説得力があるような気がしてきませんか?
ところで、話はかわりますが。
私が小学校のころに初めて自分で選んで買った本は、水木しげるさんの「妖怪大図鑑」です。
本自体はさすがにもう残って無いのですが、当事は熟読しましたからねー。
今でもけっこう妖怪名覚えてますよ。イラスト見れば、大概名前も当てられる自信アリ(笑)
一体どうして妖怪なんだ、もっと女の子らしい本じゃなくていいのか、と家族にさんざん言われた覚えがありますが、「私、これで勉強して妖怪博士になるの!」とか言ってたらしい…
一体どういうお子様だったのでしょうかね…
とりあえず、この映画を見たら、鳥取に行きたくなりました…
もちろん、メインは水木しげる記念館で。
水木しげる記念館
水木しげるの妖怪ワールド