鼠喰いのひとりごと

DL系フリーゲームや本や映画などの感想を徒然に

「隣人13号」

2006-09-27 14:09:27 | 映画(邦画)

「隣人13号」 2004年
原作:井上三太
監督:井上靖雄
出演:中村獅童、小栗旬、吉村由美、新井浩文、三池崇史

***

さて、最近人道的な本ばかり読んでいたので、残虐なのを一本!
原作はね、読んでないんですよね。
こと、コアでディープなファンがついている、こういう作品の映画化というのは、
なかなか難しいと思いますが…これ、あんまり酷評されてません。
ファンも納得の出来ということでしょうか。

映画だけ見た印象も、案外良かったですよ(笑)
個人的には、最後がね。ちょっと物足りない(←?)んだけど。

中村獅童の怪演が素晴らしかったです。片白目の不気味な姿もさることながら…
…あの、声がね。かなり素敵でヤられました。ハイ。

===

小学生のころ、酷い苛めを受けていた村崎十三。
彼の中には、13号と名乗るもうひとつの残虐な人格がおり、
苛めを受けた赤井トールへの復讐を狙っていた。
赤井と同じ職場に勤め、同じアパートに住み、ひそかにチャンスを狙う13号。
そんなこととは知らず、赤井は昔のことなど忘れて幸せな家庭を築き、
新入りの十三に対して嫌がらせを繰り返す。

13号の行動は、やがてエスカレートしていき、周囲の無実の人間までも
次々と手にかけるようになっていく。
そして、ついにそれは、赤井の幼い息子に及び…
赤井と13号は、かつて二人が通った小学校の中で対決することになる。

===

最後が物足りない、と最初に書きました。
原作知ってる人は、多分、この展開を知ってるんだろうけど、私は知らなかったから…
なんか意外だったな。13号の最後も、なんとなくSFチックな終わり方も。

というのも… だって、どうしてここまでやって、一言謝られたくらいで許しちゃうわけ?
罪も無い子供を殺すことに躊躇わなかった男が、殆ど、復讐の相手を痛めつけることもなく、
謝罪の言葉で納得するのはどうかと思う。
絶対、もっと拷問風の『ただでは死なない』ような方法で殺すと思ってたよ…
生かすにしても、同じように顔焼くとかさ。

そして最後の『過去のやり直し』っぽい異次元ラスト。
見ていて「…アレ? え? オイオイ?!」って感じ…
確かに残虐なシーンは多々あるんだけど、このラストが全てを中和して覆す。
実は、この物語は本当は小学生の十三の……っていう解釈もできるアレが、
それまでのリアルな残酷さを半ば夢のように薄めてしまうのだ~(汗)

あ、いや、物語としては、かなりベストな感じですよ。悪くない。
綺麗に纏まって、見ている視聴者も、あれのお陰で悪夢から日常に帰れるような…
これが無かったら、かなり後味悪い物語だったでしょう。

…でもね、ちょっと期待して見てたもんだからさ。赤井トールの死に様を!(笑)

ええっと、残虐描写は…シチュエーション的にはかなりムゴいんですが、
画像的にはそれほどじゃありません。死体も出るには出るけど…そんな酷くない。
ていうか、あれだけメッタ刺しにされた割には、そんなもんかぁ?って感じ。
これは多分、故意に映像を抑えてるんじゃないかな。
監督がこの映画で見せたいのはそこじゃない、って意図がある…んでしょうかね。
なにしろラストがアレだし。


ところで、この映画、三池監督が特別出演しています。
記者会見の記事を見ると井上監督がこんなことを言っておりました。
「素晴らしい監督さんですので役者としても成立するようなシーンを心がけました。
 やさしい方とお聞きしているのでプレッシャーはありません」
…そして、その役柄は作中思いっきりメッタ刺しなわけです。
こういう吹っ切れ方がとても好き(笑)


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