鼠喰いのひとりごと

DL系フリーゲームや本や映画などの感想を徒然に

エヴェレスト・神々の山嶺

2016-03-31 14:05:05 | 映画(邦画)
「エヴェレスト・神々の山嶺」
2016公開・岡田准一、阿部寛、尾野真千子 ほか
原作・夢枕獏 1997年 集英社

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「水分はどんなに摂っても摂り過ぎるということはない 」
の名文で有名?な、アレを劇場に見に行ってきました。

感想…うーん。
やはりあの密度の濃い小説を、二時間ぽっちに収めるのは、無理があったかなあ。
原作で深く感動した身にとって、映画はやっぱり別モノ感がぬぐえませんねえ。
羽生や、ネパールのお国事情のダークでアウトサイダーな部分も、キレイにカットされてるし。
お国事情についてはいろいろあるにしても、羽生はもっと泥臭くしても良かったな~
それに…そもそも、あんなに根性モノな話でしたかね…;

ああ、でも、活字からは想像のつかない部分…
両手ピッケルで氷壁を上る時の実際の様子や、小さなテントにごうごうと打ち付ける風の音、
一瞬で天候が変わっていく様などは、ああ、こういう感じかーというのがアリアリと伝わりました。
特に、吹雪の勢いが半端ない…!
標高の低い(w)私の住む地域ですら、本気で吹雪いたら、まともに呼吸できません。
特に川の近くとか、障害物のないところは超強風になるので、
口周りを腕で覆ってシェルター作って、ハフハフ言いながら急いで渡る。
なので、吹雪に巻かれる岡田君を見て、こっちまで息苦しくなってしまった。

あと、小説では、へーって気分で読んだけど、
数十キロの荷物付きの成人男性担いで崖登るとか、
実際に映像で見ると人間業じゃありませんわ。山男ってすげえな;


そんなわけで、脚本の短さはともかく、主演のお二人は好演でした。
実際にネパールで撮影したんでしたっけ?
まあ、ほんとのエベレストに登らせるわけにはいかないだろうし、
もっと安全なあたりで撮影してるんでしょうが、
低い場所でもバリバリ富士山越えてる場所でしょ?過酷だったでしょうね~

最後の阿部ちゃん…絶対人形だと思ったんですよ。
へえー、よくできてんな…最近の技術は凄いね、と思ってたら…本人ですと? 
あの「死んで光を失った目」って演技でできるものなの? 
プ…プロすぎる…;
この方、本当に仕事を選ばないし、どんな役でも手を抜きませんね。

岡田君は、良いおっさんになりました…いえ、決して貶してるわけではなく。
良い年の取り方をして、魅力的なおっさんになったなと。
いつまでも若々しいサイボーグみたいなアイドルよりも、
経験を顔に刻んで年を重ねたナイスミドルのほうが、人間らしくて魅力的だと思うんだ。


んで、なんとなく惜しいなあと思ったのは、エベレストそのものの映像について。

以前、地元の大きな山の麓の自然公園に行ったとき、目の前にそそり立つ山の頂の、
すごく大きな存在感、みたいなものに圧倒された記憶がある。
自分がすごく小さく思える、あの感じ。

あれがね、感じられなかったんだあ。
山嶺の美しい映像はたくさん出てきましたが、どれも、富士山の絵葉書みたいな印象で…
いま、その懐にいる、みたいな感覚がなかったの。
やっぱ、映画館のスクリーンを持ってきてもおさまらないくらい、
世界最高峰は、スケールが違うってことでしょうかね~


…羽生のジャケが赤でなかったことと、最後がなぜ第九なのかが、密かに気になる…


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