鼠喰いのひとりごと

DL系フリーゲームや本や映画などの感想を徒然に

北の零年

2005-09-22 23:17:46 | 映画(邦画)
「北の零年」 2005年
監督:行定勲
出演:吉永小百合、豊川悦司、柳葉敏郎、石原さとみ、石田ゆり子、香川照之、渡辺謙

北の零年 公式サイト

んん~。地元の話ってこともあって、とても気になっていた一本なのですが。
…ジミですね。ジミ。
悪くないけど…キャストはなかなか豪華で、
中でも豊川悦司は格好よかったけど…別に感動ってほどでは…?

===

明治維新後、四国・淡路に暮らす稲田家は、明治政府から北海道への移住を命じられた。
移民団の中心となる小松原家の当主、英明とその妻志乃は、生まれ育った四国とは全く違う、
過酷な北海道の大自然の中、ここを豊かな土地にしようと希望を語り合う。
しかし、開墾は思うように進まず、気候の違いに故郷の作物も育たない。
その上、追い討ちをかけるように、第二次移民を乗せた船が沈没。
また、新たな政策である廃藩置県に伴って、武士階級は崩壊。
もともとは稲田家の領地になると思い開拓していた土地の自治権すらも失ってしまう。
信じるものを失った絶望の中、英明は武士を捨ててこの土地に骨を埋め、
自分達の国を作ることを誓い、それに賛同するものたちとともに再び開拓に励むのだった。

だが、やはり作物は思うように育たず、このままでは皆飢えてしまうと、
英明はひとり、最新の農業技術を学ぶため、札幌へと旅立った。

しかし冬になっても英明は帰らず、村人の心も荒み、妻子である志乃と多恵への風当たりも
徐々に強くなっていった。
そんなある日、思い余った二人は英明を探すために札幌に行こうと村を出て、雪の中に倒れ、
偶然通りかかった異人に助けられる。
彼の名はエドウィン・ダン。北海道の開拓のためにやってきた農学者であった。
彼の手ほどきを受け、また、地元のアイヌ民族と暮らす男、アシリカの助けもあって、
志乃と多恵とは、数年後には立派な牧場を作り、そこで輩出された馬は素晴らしいと評価されるまでになった。

やっと掴んだ平穏な生活。
しかし、そのころあちこちで起こっていた明治政府に対する反乱は、北海道にも飛び火し、
彼女達の生活を脅かしはじめていた。
軍馬として、馬を供出せよ。一度はそれを拒んだ志乃だったが、やがてその命令は、
思いがけない形での夫・英明との再会を運んでくることとなる。

====

とりあえず今回は「地元」が災いしました。
ツッコミどころありすぎで素直に見られない(汗)
このあたりのツッコミについては、ここのブログさんのものが秀逸でしたので紹介します。
「モノクテまで馬乗れちゃうの?」そう、馬って和人が持ち込んだモノでしたよね…フフ。
verdure 北の零年
後日注:リンク先がわかりづらかったので、直しておきました。

どうもね、吉永小百合ファンのためだけの映画って感じでしたねぇ。
吉永小百合は確かに年とっても綺麗で上品で、演技も上手なのだけど…ごめんね?
やっぱり志乃役は、もう少し若い人にやってもらいたかった気がする。

渡辺謙との夫婦っぷりにはたいして違和感がなかったけれど、
なんとなくプラトニックラブな気配を漂わせる豊川悦司とのバランスが今ひとつ。
だって、母親と息子くらい年齢違わない? この二人。
それが無理なら、無理に母親にど真ん中でヒロイン張らせないで、
娘側に焦点を当てても良かったんじゃないかなー。
きっと吉永小百合なら、充分存在感のある準主役をこなせたと思う。

個人的に、石田ゆり子さんが良かったですね~。
生まれてくる子供のために、夫を裏切り、敵方の商人(香川照之)のもとに走る加代役です。
自分の罪を自覚しているぶん、自分と違う道を歩いた志乃に対しては
(商人は最初は志乃に言い寄ったが拒まれた)
辛く当たる部分もあって、すごく嫌な女の役だったけれど、
後で、妻子を裏切り出世して帰ってきた渡辺謙相手に啖呵を切った彼女は綺麗でした~。
「頭を上げてください。何も卑屈になる必要などありません。ここまでこの街を大きくしたのはあなたなのですよ」
(確か、そんな感じのセリフだったと思う)
もう何もかも終わりだ、と項垂れる香川照之の背を、そっと撫ぜる仕草とか。
むしろ、何の葛藤もなく最後まで夫を信じきった志乃よりも、ずっと印象に残る役でした。

自分を貫いた志乃や加代の女性陣に比べて、男は情けないんだよなぁ。
彼女達の想いや信頼に、答えられるだけのキャラクターじゃないというか。
しかし、志乃に関しては、あれだけの想いをかけられると…相手は辛いのじゃないかって気も。
それにちゃんと応えられるうちはいいけれど、後々自分の不甲斐なさが際立ってくると、
かえってそれが物凄く重くなるのでは…(汗)

だってねぇ。もう見るからに自分を裏切っただろう夫に対して笑顔で
「いつ帰られてもいいように、毎年あつらえておりました」と服を差し出す妻ですよ?
殆ど精神攻撃としか思えませんが…
これを本気でやってるんだとしたら、それはなおコワイと思う(ブルブル)

豊川悦司演じる「アシリカ」
ポスターでも、彼は民族衣装でど真ん中にいるもんだから、最初、
この映画はもっとアイヌ民族も関わってくる物語なのかと思っておりました。
しかし、蓋を開けてみれば、彼はもとは和人。
アイヌ民族関係の話はいろいろデリケートだから、あえて避けたのかもしれないけど、
ちょっと期待はずれだったなぁ。

ちなみに、アシリカという名前は、なんか意味あんのかと検索してみましたら、
なんでも「アシリカ~なんとかこんとか」という長い名前がフルネームで、
(新しい道を歩く人)という意味だったらしい。

最後の彼は、オイシイところ掻っ攫った感じでしたが、
銃相手に刀はちょっと無理があるんじゃないかと…(汗)
そしてアシリカを庇って銃弾の前に飛び出した、恐ろしいほどの瞬発力&反射神経の志乃(汗)
アンタ建物の中にいたんじゃなかったのかい(汗)

娘役の石原さとみ、物凄く庶民的なオーラ出しまくりで、
そこが可愛いといえば可愛いのだけれど…今回のメンツの中だと影薄い…。
普通の服だと可愛い感じの子が、時代物の格好をした途端ジミになってしまったりするのは
一体何故なのだろう?

香川照之・柳葉敏郎・渡辺謙。このあたりは、やはり大御所。いい演技してましたよー。
個人的には、端役で出てた吹越満もちょっと気になる(「殴る女」好きだったんだよぅ)

全体として、なんだか物語が強引に感じます。
自然と見てるほうが感動するのではなくて、音楽や、強引な盛り上げで
「ここは感動するところ!」「泣くところ!」と決められているようでー。
こっちの気持ちがついていかないところで「ここだ!」と盛り上げられても醒める。
こんなに演技派なキャストを贅沢に使ってるのになー(汗)

しかしアレですね。ここまでキャストに拘ったんなら、どうせなら平太役は吉岡秀隆に
して欲しかったな。北海道に縁の深い俳優さんだしー。

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