鼠喰いのひとりごと

DL系フリーゲームや本や映画などの感想を徒然に

えんどうさん

2016-08-04 18:51:19 | フリーゲーム(ファンタジー)
「えんどうさん」 探索&脱出・ファンタジー・ほっこり
制作者:山根コヲ様(まんまるヤマネコ

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シラカミサマの人の、前の作品ですー。
シラカミサマが最高だったので、こちらもプレイしてみました!

今まで未プレイだったんですよね…
たぶん、タイトルとタイトル画像から、
日常4コマ漫画系の短編ゲームだと思い込んでたんだな…
ほら、少年アシベとか、しばいぬこさんとか、ぼのぼのみたいな!

なので、今回プレイしてびっくりしましたよー。
ボリュームもそれなりにあるし、キャラも魅力的だし。
マップも明るかったり暗かったり、メリハリ良く工夫されてて、
それぞれに難しすぎないギミックがあって。音楽の優しさも健在。

もちろん技術的には、この間公開されたばかりのシラカミサマのほうが
ずっと優れているんですが、これはこれで良ゲーム。
シナリオ面では、どちらも遜色ないと思いますよ~

個人的に、異世界に飛ばされた皆さんが、
途中から徐々にやる気(?)を出して、
みんなで仲良く、力を合わせて頑張る姿が微笑ましかった^^

普通、こういう村人スタンスの人たちって
「その世界観を表現するための喋るオブジェ」
みたいな扱いをされることが多いのにね。
作者さんが、彼らにもきちんと名前を…それぞれが個別の存在だっていうしるしを
ちゃんと設定してあげているのが、何か見ていて嬉しくなりました。

最初から最後まで、一緒にいてくれて、大活躍の忠犬みそたろうもいい!
適度に気の抜ける、みそたろうって名前の響きも好き。
クマ2匹引き連れて歩いていくのは、なんか笑ってしまった。

ニワトリも可愛いし、ウサギも可愛い。嘘つきキノコも可愛い。
松の木も親切。海の波の音が気持ちいい。
虹が出るシーンは、あえて一瞬だけなのが実に印象的。

エレベーターに乗るとき、みそたろうをおいていくことになって、
みんなが「ごめんね…」って言うのも、癒される。
そして、エレベーターから出た時の、まさかのスケール大きすぎな背景。
あれは目を奪われました~

…つらつらと思うままに書いてきましたが…こんな感じで、
一つ一つのオブジェクトやキャラやマップが心に残る、
不思議で優しいゲームでした。

シラカミサマと続けてプレイして思ったのは、この作者様、
「言葉」ではなく「感情」を呼び覚ますゲームを作られる方だなぁ、と。
こうしてレビュー書いてても、何かすごく言葉にしずらい…
出てくるのは、よかった、とか、気持ちいい、とか、そんなんばっかり。

ていうか、むしろ言葉に置き換えちゃダメなのかな?って気もしてきました。
何か、無理やり置き換えると何かが劣化する、ような…うーん。

まあ、唯一言えることがあるとすれば…
気になったらプレイしてみてね!ってとこですね!(丸投げ!w)



エンドはノーマルとトゥルーの二種類。
エンドの直前のセーブを残しておいて、まずはノーマルを見ましょう。
エンディングを見ていくと、その最後に…
何か見覚えのある場所を歩いていく、ある人の姿が…



シラカミサマと四の鬼

2016-08-04 01:29:19 | フリーゲーム(ファンタジー)
「シラカミサマと四の鬼」 伝記探索ゲー・ほんわか
制作者:山根コヲ様(まんまるヤマネコ


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選択肢や、会話時の効果音に、風鈴やウィンドチャイム、
ベルの音、あるいはグラスの中の氷のような
キレイで耳に心地よい音ばかりを使っていて、
それだけで何かすごく癒される…!

使われている音楽も、静かで穏やかな、気持ち良いものが多く、
たとえ洞窟の奥にある祠?のようなものがあるシーンでも、
恐怖感は全く感じません。

音の効果って偉大だなぁと思います。
作中出てくるオニたちは、性格こそ良いものの、
なんだかよくわからない「もののけ」の類。
もしも、彼らとの会話が無音であったら、あるいは、
バックに流れる音楽が、もっと暗いものだったら、
彼らへのプレイヤーの印象は、まったく違うものになったはず。

彼らの「存在の音」が、あまりにもキレイで澄んでいるから、
プレイしていても、自然と好感を持ってしまう~
や、オニたちは、みんな、態度も言葉も、
幼い子供みたいで、すごくかわいいんだけどもね!

舞台は、独自の土着信仰…「シラカミサマ」を持つ離島、白上島。
昔ながらの近くて濃ゆくて大らかな人間関係を受け継ぐ、
ごくごく普通の、田舎の過疎の島です。
主人公・考一は、村で唯一「オニ」と呼ばれる存在が見える男の子。
彼だけが持つちからを「開いたり閉じたり」することで、
人に見えないものを見たり、聞いたりできるのです。

そうして、考一が18歳になった年の祭りの日、
遊びに来ていた従妹の少年。鐘善が行方不明になってしまいました。
考一は「シラカミサマ」にお願いし、
いつも一緒にいる四人のオニたちとともに、
「穴に落ちた」鐘善を探しにゆきます。


物語の中では、オニがなんなのか、穴はなんなのか、
考一のちから…「開ける閉じる」は何なのか、
一切、ハッキリした説明はなされません。
日本人的な共感力をたよりに、きっとこうかなあ、こんな感じかなぁ、と
曖昧な輪郭をなぞりながら進む物語は…
たとえるなら、優しい優しい昔話。

昔ながらの、おおらかな気質を持つ村人は、何がなんだかわからないまでも、
悪いものではない、として「オニ」を受け入れ、
曖昧に混ざり合う「境界」をも受け入れて、日々を暮らしています。
受け入れる…「認める」や「許す」ほど意識的でも能動的でもなく、
まるっきり、それが当たり前みたいに、相手が相手であること、
相手がそこにいることを受け止める、こと。

白黒つけずにはいられない、目に映るすべてを分類せずにはいられない、
今の世の中で、こんな風に、曖昧なものを曖昧なままで丸飲みできてしまうのは、
ある意味とても、懐の深い…贅沢なことのようにも思えます。

受け入れれば「オニ」すらもやがて「神」に変わる。

過疎化の波で、祭りも行われなくなって、
やがてまた、彼らは呼び名を変えていくのでしょうか。
それでも、そこに考一のような存在がいてくれるなら…
きっと、ずっと「約束」は守られ続けるのでしょう。

最後まで、優しい気持ちでプレイできました。
物語の合間に挟まる一枚絵も、酷く柔らかくて淡々とした色彩で、
世界観にぴったりのほのぼの加減で素敵^^



私がプレイした1.00バージョンでは、
四つの穴のあるマップで、なぜか上側の穴が開かないバグにあいましたが、
18時のデータからやりなおしたら、きちんと開き、先に進めました。
何が原因なのか、ちょっとわからないんですが…
分岐のタイミングである「18時になってすぐ」のデータは、
安全のためにも、残しておくとよいかも~