鼠喰いのひとりごと

DL系フリーゲームや本や映画などの感想を徒然に

シラカミサマと四の鬼

2016-08-04 01:29:19 | フリーゲーム(ファンタジー)
「シラカミサマと四の鬼」 伝記探索ゲー・ほんわか
制作者:山根コヲ様(まんまるヤマネコ


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選択肢や、会話時の効果音に、風鈴やウィンドチャイム、
ベルの音、あるいはグラスの中の氷のような
キレイで耳に心地よい音ばかりを使っていて、
それだけで何かすごく癒される…!

使われている音楽も、静かで穏やかな、気持ち良いものが多く、
たとえ洞窟の奥にある祠?のようなものがあるシーンでも、
恐怖感は全く感じません。

音の効果って偉大だなぁと思います。
作中出てくるオニたちは、性格こそ良いものの、
なんだかよくわからない「もののけ」の類。
もしも、彼らとの会話が無音であったら、あるいは、
バックに流れる音楽が、もっと暗いものだったら、
彼らへのプレイヤーの印象は、まったく違うものになったはず。

彼らの「存在の音」が、あまりにもキレイで澄んでいるから、
プレイしていても、自然と好感を持ってしまう~
や、オニたちは、みんな、態度も言葉も、
幼い子供みたいで、すごくかわいいんだけどもね!

舞台は、独自の土着信仰…「シラカミサマ」を持つ離島、白上島。
昔ながらの近くて濃ゆくて大らかな人間関係を受け継ぐ、
ごくごく普通の、田舎の過疎の島です。
主人公・考一は、村で唯一「オニ」と呼ばれる存在が見える男の子。
彼だけが持つちからを「開いたり閉じたり」することで、
人に見えないものを見たり、聞いたりできるのです。

そうして、考一が18歳になった年の祭りの日、
遊びに来ていた従妹の少年。鐘善が行方不明になってしまいました。
考一は「シラカミサマ」にお願いし、
いつも一緒にいる四人のオニたちとともに、
「穴に落ちた」鐘善を探しにゆきます。


物語の中では、オニがなんなのか、穴はなんなのか、
考一のちから…「開ける閉じる」は何なのか、
一切、ハッキリした説明はなされません。
日本人的な共感力をたよりに、きっとこうかなあ、こんな感じかなぁ、と
曖昧な輪郭をなぞりながら進む物語は…
たとえるなら、優しい優しい昔話。

昔ながらの、おおらかな気質を持つ村人は、何がなんだかわからないまでも、
悪いものではない、として「オニ」を受け入れ、
曖昧に混ざり合う「境界」をも受け入れて、日々を暮らしています。
受け入れる…「認める」や「許す」ほど意識的でも能動的でもなく、
まるっきり、それが当たり前みたいに、相手が相手であること、
相手がそこにいることを受け止める、こと。

白黒つけずにはいられない、目に映るすべてを分類せずにはいられない、
今の世の中で、こんな風に、曖昧なものを曖昧なままで丸飲みできてしまうのは、
ある意味とても、懐の深い…贅沢なことのようにも思えます。

受け入れれば「オニ」すらもやがて「神」に変わる。

過疎化の波で、祭りも行われなくなって、
やがてまた、彼らは呼び名を変えていくのでしょうか。
それでも、そこに考一のような存在がいてくれるなら…
きっと、ずっと「約束」は守られ続けるのでしょう。

最後まで、優しい気持ちでプレイできました。
物語の合間に挟まる一枚絵も、酷く柔らかくて淡々とした色彩で、
世界観にぴったりのほのぼの加減で素敵^^



私がプレイした1.00バージョンでは、
四つの穴のあるマップで、なぜか上側の穴が開かないバグにあいましたが、
18時のデータからやりなおしたら、きちんと開き、先に進めました。
何が原因なのか、ちょっとわからないんですが…
分岐のタイミングである「18時になってすぐ」のデータは、
安全のためにも、残しておくとよいかも~



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