鼠喰いのひとりごと

DL系フリーゲームや本や映画などの感想を徒然に

四月の魚 Poisson d'avril

2016-07-31 15:44:47 | フリーゲーム(ノベル)
四月の魚 Poisson d'avril」 コメディノベル・女性向け 
制作者:タース・エンターテイメント様

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もともとはシェアADVの「図書室のネヴァジスタ」の、
エイプリルフール企画ゲームになりますー。
キャラグラと名前は一緒ですが、設定やシナリオはまるっきり違う、
いわゆるスター・システムの物語になっております。

一応、主人公は女性で…複数の男性に囲まれて進む物語…
で、は、あるのですが……普通思うような展開ではない、とだけ。

主人公が、とにかくダメダメな女性なんですよね…
たぶん、初めてプレイする人は、開始数分で口ポカンになり、
その後数十分で、「こいつダメだ」って頭を抱えるレベル。
でもね…なんか、話聞いてると、ちょっと気持ちわかる…って
ところもあって、何か憎めない、可愛らしいキャラづくりなんですよ。

もともとの作品がブロマンスであるせいか、
女性を見る目に、底上げがないっていうか…
ある意味、リアルな目線で見てる感じが面白いですね。
他の男の子たちも、もちろん良いキャラなんですが、
このシナリオの八割は主人公、桃子ちゃんの魅力だと思います。

しかも全編通して、会話のテンポがよくて、ボケと突っ込みも秀逸。
大笑いしながら最後まで読み切ってしまう、魅力十分なノベルになってます。
展開もジェットコースター並みの速度で、意外な方向へ転がっていくので、
最後まで目が離せません。
その合間に、ちょっとだけ心にグサっとくるような鋭い言葉と、
優しい励ましや、慰めなんかもあったりして…
それでいて、ラスト付近にはやんわり、乙女っぽい展開も。

軽快でノリの良い文章に負けない、グラフィックも魅力的でした。。
立ち絵の差分も多くて、会話に合わせてよく動きますし、
キャラごとのポーズや表情も、それぞれの役柄の性格にぴったり合っていて良い♪

美味しすぎる食べ物は、おいしいおいしいもう一口!って食べてる間に、
あっという間になくなってしまうものですが…このゲームもそういう感じです。
最後まで読んで、あれ?もう終わり?って物足りなくなる。
もともと、そんなに長い話ではないんですが…
うん…美味しいデザートほど、なんでかサイズがちっちゃいものだよね。

甘さは控えめ。むしろ、ややビターテイスト。
小さめサイズだけれど、隠し味とお遊び要素満載の極上デザート。
ちょっぴりオトナな女性向けです。
気になったなら、ぜひともご賞味くださいな。




ここは、シェアゲームも面白いですよ!

特殊なお掃除のオシゴト

2016-07-31 13:20:32 | 雑事
ゲームや本・アニメの中じゃあ、人死になんて珍しいことじゃありませぬ。

それこそ、現実の中では起こり得ない…むしろ、こんなことが、
しょっちゅう起こっちゃ困るレベルの残酷物語がテンコ盛りですからねー
たとえ建物一つ、全部屋を血まみれにしたところで、
ホラー刺激に慣れたプレイヤーにとっては「ふぅん?」くらいの感想でしょう。

しかし、現実においては「たった一つの死」が、重大事だったり。

人権的な意味で? 道徳的な意味で? 社会的な意味で?
もちろんそれらもあるでしょうが…
なにより、物理的な意味で「屍体」というモノは十二分に忌まわしい。


昔はそこらへんの草むらで動物の死体が放置されてることも少なくなかったし、
田舎だったら、車に轢かれたネコだのネズミだのが、
ぺったんこになってアスファルトにへばりついてるのだって珍しくなかった。
学校帰りの子供が、あの死んだ犬どうなったかな~なんて、
怖い反面興味シンシンで、友達誘って見に行くってのも、よくありましたな。

(げえ、気持ち悪い!とか言いつつも、なんか楽しそうなんだよね。
 子供って、ほんと心がタフだと思うよ)

小さい犬猫だって、腐って臭って虫がわいて、溶けて骨になっていく。
それは命あるものみな通る道で、人間だって例外じゃない。

タンパク質の腐るニオイって、生物が本能的に忌避する感じの独特なもので、
現実問題として、スーパーで買ってきた数百グラムの肉や魚ですら、
腐れば相当な異臭を発します。
とすると…50キロ~70キロくらいの肉&モツ入りだと、どうなるか…
想像つかないまでも、なんか凄いことになってそうだなってのは…ね。

一緒に暮らす人がいて、死んだときにすぐに気づいてくれたならいいけれど…
今の世の中、そういう恵まれた人ばかりでもないのよねん。
誰もいない、たった一人の部屋で死んで、朽ちていく人たち…

ま、さすがに死体は、警察の方?がきちんと連れていくようですが。
そんな方々が部屋に遺した「痕」
それを専門に、キレイに掃除し、片づける方々がいます。

というわけで、今回ご紹介するのはゲームではなく
「特殊清掃」を仕事とする方のブログですー

「特殊清掃 戦う男たち」

ブログには画像その他はありませんし、
淡々とした文章を書かれる方なので、
読むだけなら、恐怖感はそれほど感じないはず。

…まあ…ちょっと検索していただければ、
けっこう、ヒドイ状況の写真が多々出てきますがね。
苦手な人は、本気で注意してくだされ。

しかし、このとんでもない状況を、仕事とはいえ、
きちんと片づけてくれる人がいるって有り難いことです。
もし自分が孤独死した側なら、感謝してもしたりないと思いますよ。
だって、死んだら自分の後始末なんか、やりたくてもできない。
特に女性なら、いつまでも自分の流した体液のあととか、
残してほしくないんじゃないかと思うし。
しかも、ただの汚物ではなく、きちんと人間として見て、
丁寧に扱ってくれるなら、なおさら嬉しいことでしょう。

それに、苦しんでもがいた感じとか、
いかにも~な痕がいつまでも見える形で残ってたら、
死んでも最後の苦しみや痛みを忘れられないかもしれないし。
キレイサッパリ、痕と一緒にいろんな無念を流して、
行くところに行ければ、きっと本人も一番幸せなんじゃないか…なんて?

決して、ひとに好まれる仕事ではない。
むしろある意味……凄く言い方は悪いけど「穢れ仕事」になると思います。
それでも、誰かがやらねばならない、必要とされる仕事。

決して過度に持ち上げるわけではないけれど…
自分にはできないことをやってくれる人には、
なんとなく、感謝と尊敬って感じてしまうよね。

うちの近くでも昔、お年寄りの孤独死があったし、
会社でも、定年で退職した人が、その直後に亡くなって、
数か月後に発見された…って話もあったり。

遠いようで、見えないだけで、
こういうのはいつも、案外、身近にあるものかもしれない。

…案外自分も、何十年後かにお世話になったりしてね。




最後に。
人知れず亡くなった方々の魂が、どうか安らかなものであるように。
ご冥福をお祈りいたします。

Aくんと祭のむこう

2016-07-31 02:12:58 | フリーゲーム(ノベル)
「Aくんと祭のむこう」 ブロマンス・ホラー風味ノベル
制作者:シキミヤ様(クロチカ

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とりあえず夏だし!祭りだし!名作だし!
なんか久しぶりに上がってきてたし!…ということで選んだんですが。

ちょうど今、リメイク版を製作中らしいですよ^^
Aくんと祭のむこう あやなす
グラフィックの追加はともかく、今回は選択肢がつくとのこと!
IFルート…そして増やされたエンディング。
はたして、初作で号泣したプレイヤー達への救済はあるのでしょうか…
先が楽しみですねぇ…完成までしっかりチェックしとかなくっちゃ!

さてさて、話を戻して。

「Aくんと祭りのむこう」は、
「学園祭のころ、逢魔が刻に校舎内に残っていると異界に誘われてしまう」
なんてオッソロシイ言い伝えのある学校を舞台にした物語。
主人公の新くんは、ふとした切っ掛けで異界に踏み込んでしまい、
「なぜか見覚えのある少女」と出会います。
新は学園祭までの6日間を、彼女と再び出会うため毎晩のように異界を訪れ、
そこに迷い込んだ人間たちと一緒に、様々な体験をしていきます。

こう書くと、少女が重要人物みたいに見えますが…
まあ、確かに重要人物なんですが…
実は、彼女の影は相当薄いです。物語的にも、物理的にも。

なぜなら、この物語のジャンルは「ブロマンス」
意味は、恋愛感情とは次元の違う、男同士の超仲良し関係、って感じかな…?
というわけなので、メインは「男同士の絆の物語」。
友達であったり、後輩であったり、先輩であったり、
微妙に立場や性格の違う男の子キャラたちの仲良し具合が見どころです!

キャラ同士の絡みが多くて、各所にいろいろニヤリポインツはあるんですが、
とりあえずBLではないのでご注意を。
しかし、このテのストイックなお話って「それそのものな行為」が無いぶん、
心の繋がりとか、見えない絆、感情の揺れ、みたいなものを、
細やか~な描写で書いてくれることが多くて、好きなんですよね。

この作品も、一章ごとに笑ったり感動したり、恐怖したり、
主人公と一緒になって読み手の感情が揺さぶられる良作です^^
小説としてもレベル高くてスゴイんですが、
それに画像、音楽などの演出効果がすごくハマっていて、
恐ろしいほどの完成度!

グラフィックでは、「怪異」の画像の構図?っていうか入れ方?切り方?が、
いつも全身は入れない感じで作ってあり、それがいい感じに薄気味悪くて最高です。
グロい姿を白日にすべてさらけ出すより、
「すべては見せない」ことでプレイヤーの想像力に委ねてしまうのがうまい。
ある程度ホラー慣れした人間に言わせてもらえば、世の中で一番怖いのは
「自分の想像力の範疇を越えるもの」だと思うので。

物語のメリハリ、というか緩急、というか。
ここで緩めて笑わせて、ここで安心させて、ここで恐怖でシメる!
みたいな演出も、すごくお上手。
キャラも一人ひとりに魅力があって、一章読み終えるごとに、
ああ、このキャラのお話もう終わるのか…みたいな、
読み進むのが惜しいような、残念な気分にさせられてしまいます。

それに加えて、最後の終わり方が終わり方だし…orz
うむ。祭りの終わりは、常に物寂しい。



それなりに文章量があるので、
情景描写を読むのが苦になる人にはちょいとキツい…?
活字好きな方なら(特にBL方面の好きな女性なら)激オススメ!