鼠喰いのひとりごと

DL系フリーゲームや本や映画などの感想を徒然に

Aくんと祭のむこう

2016-07-31 02:12:58 | フリーゲーム(ノベル)
「Aくんと祭のむこう」 ブロマンス・ホラー風味ノベル
制作者:シキミヤ様(クロチカ

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とりあえず夏だし!祭りだし!名作だし!
なんか久しぶりに上がってきてたし!…ということで選んだんですが。

ちょうど今、リメイク版を製作中らしいですよ^^
Aくんと祭のむこう あやなす
グラフィックの追加はともかく、今回は選択肢がつくとのこと!
IFルート…そして増やされたエンディング。
はたして、初作で号泣したプレイヤー達への救済はあるのでしょうか…
先が楽しみですねぇ…完成までしっかりチェックしとかなくっちゃ!

さてさて、話を戻して。

「Aくんと祭りのむこう」は、
「学園祭のころ、逢魔が刻に校舎内に残っていると異界に誘われてしまう」
なんてオッソロシイ言い伝えのある学校を舞台にした物語。
主人公の新くんは、ふとした切っ掛けで異界に踏み込んでしまい、
「なぜか見覚えのある少女」と出会います。
新は学園祭までの6日間を、彼女と再び出会うため毎晩のように異界を訪れ、
そこに迷い込んだ人間たちと一緒に、様々な体験をしていきます。

こう書くと、少女が重要人物みたいに見えますが…
まあ、確かに重要人物なんですが…
実は、彼女の影は相当薄いです。物語的にも、物理的にも。

なぜなら、この物語のジャンルは「ブロマンス」
意味は、恋愛感情とは次元の違う、男同士の超仲良し関係、って感じかな…?
というわけなので、メインは「男同士の絆の物語」。
友達であったり、後輩であったり、先輩であったり、
微妙に立場や性格の違う男の子キャラたちの仲良し具合が見どころです!

キャラ同士の絡みが多くて、各所にいろいろニヤリポインツはあるんですが、
とりあえずBLではないのでご注意を。
しかし、このテのストイックなお話って「それそのものな行為」が無いぶん、
心の繋がりとか、見えない絆、感情の揺れ、みたいなものを、
細やか~な描写で書いてくれることが多くて、好きなんですよね。

この作品も、一章ごとに笑ったり感動したり、恐怖したり、
主人公と一緒になって読み手の感情が揺さぶられる良作です^^
小説としてもレベル高くてスゴイんですが、
それに画像、音楽などの演出効果がすごくハマっていて、
恐ろしいほどの完成度!

グラフィックでは、「怪異」の画像の構図?っていうか入れ方?切り方?が、
いつも全身は入れない感じで作ってあり、それがいい感じに薄気味悪くて最高です。
グロい姿を白日にすべてさらけ出すより、
「すべては見せない」ことでプレイヤーの想像力に委ねてしまうのがうまい。
ある程度ホラー慣れした人間に言わせてもらえば、世の中で一番怖いのは
「自分の想像力の範疇を越えるもの」だと思うので。

物語のメリハリ、というか緩急、というか。
ここで緩めて笑わせて、ここで安心させて、ここで恐怖でシメる!
みたいな演出も、すごくお上手。
キャラも一人ひとりに魅力があって、一章読み終えるごとに、
ああ、このキャラのお話もう終わるのか…みたいな、
読み進むのが惜しいような、残念な気分にさせられてしまいます。

それに加えて、最後の終わり方が終わり方だし…orz
うむ。祭りの終わりは、常に物寂しい。



それなりに文章量があるので、
情景描写を読むのが苦になる人にはちょいとキツい…?
活字好きな方なら(特にBL方面の好きな女性なら)激オススメ!


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