冷凍庫に《むきえび》があるのを見つけた。
俺はこれでエビチリを作ろうと思った。
以前、電子レンジでエビチリを作ったことがあるが、今度は本格的にフライパンで作ろうと思った。
俺は図書館へ行って資料を調べた。
そして、お気に入りのレシピをノートに書き写した。
まず、自然解凍した海老に、片栗粉大匙1に、塩を少々ふりかけ、優しくもみ洗いをした。
こうすることで、海老にプリプリ感が出るとのことである。
フライパンで海老を炒め、ねぎ、にんにく、しょうが、トウバンジャンを入れて、さらに炒めた。
そして、あらかじめ作っておいた合わせ調味料を加え、フライパンで混ぜ合わせた。
合わせ調味料は、ケチャップ、酒、砂糖などである。
レシピのとおりだと、これで出来上がりだが、俺はいろどりを考え、茹でたブロッコリーをのせた。
二人で夕食のテーブルに着いた。
俺はエビチリを眺める。
よくできたエビチリだ。
我ながら上手に出来たと自慢。
俺はニコニコ。 いい気分だ。
俺はグラスに、なみなみと冷酒をそそいだ。
女房は酒に弱い。
女房のさかずきには少しだけついだ。
俺の料理の腕に乾杯。
食べてみた。
ん! まずい!!
エビのプリプリ感はまるでない。
ソースは間の抜けた味だ。
レシピのとおりに作ったのに、なぜこんなにまずいのか。
さっきまでニコニコだった俺の顔はしだいに渋くなっていく。
まずいけれど、俺の作った料理だ。
俺は我慢をしながら食べる。
女房は、俺の料理だから、まずくても、しかたなく口の中へ入れている。
俺は酒で口の中を清めた。
グラス一杯だけの酒では気分がよくならない。
俺はまた、グラスに一升瓶から冷酒をそそいだ。
ぐびぐび呑んだ。
やけ酒だ。