すぎな野原をあるいてゆけば

「おとのくに はるのうた工房」がある

六月を見おくる

2013-11-17 12:37:04 | 短歌
「冷麺」の幟とならんではためいてもう消えそうなさかなの名前

ドードーがひとつだけ産むまっしろな卵(最後に食べたひと、誰?)

リョコウバト最後の一羽(見られてた)(食われなかった)(名前があった)

雨粒のつぶれかたっていろいろで市バスの窓にもたれて眠る 

傘はまだ絶滅しない 夕立の真下にぱんとはりつめたまま

外側の川の気配に目覚めればバスは知らない橋に来ていた

忘れられたばかりの傘だ(サンロード)うすく地上の水をまとって

ガソリンスタンド跡地の壁をのぼりつめてっぺんで手をはなす蔓草

これはスイカズラですねと訪れてだんぶるどああ羽音は消えた

六月はひとりで帰る クチナシのつぼみも傘もしろく畳んで


(「未来」741号 2013.10月)



「サンロード」は名古屋の地下街。名前のイメージだけで歌に入れちゃったのですが、先日「ブックマークナゴヤ」の旅に出かけたとき、ちょっとだけあるいてきました!
写真はちくさ正文館さんのネットプリント展。お世話になりました。
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