すぎな野原をあるいてゆけば

「おとのくに はるのうた工房」がある

アオスジアゲハ

2012-12-15 22:00:51 | 短歌
  アオスジアゲハ

おととしの夏すこしだけ血を分けた蜘蛛のこどもが増えすぎている

会えそうな場所でほんとに会えたからアオスジアゲハと暮らす八月

  一齢幼虫はほとんど棘でできている。

ちいさいってこんなにつよい棘まみれでうまれて棘をあっさり脱いで

おいしそう、と思う眼になりクスノキの若葉ばかりをみつけてしまう

そんないい夢じゃなくても夢のぶんからだをかるくしてねむるんだ


  「どこか似てると思うんだけど。あ、ヤモリの吸盤も」


肉球を飼うひとたちに語りたい 小枝をきゅっとはさむ腹脚

みずいろの光の列が透けている あしたは蝶になる約束の

透明な輪郭のなか何ひとつ残さなかった(だから飛べたね)


(「未来」730号 2012.11月)



むしシリーズ、続いております。(12月号もです……はまりだすととことんやってしまうので、苦手な方はスルーしてください)
ことしの夏は、イモムシの腹脚マニアでした。
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