すぎな野原をあるいてゆけば

「おとのくに はるのうた工房」がある

タワークレーン

2014-05-18 18:36:55 | 短歌
まっしろなしずくのかたち(十二粒)うごかない鷺たちをかぞえる

ただいま、とつばさをたたむまた一羽真冬の水に脚をおろして

ゆうがたのタワークレーン(あか/しろ/あか/しろ/あか)色をわすれはじめる

うしろには空しかなくて稜線をはみだすものたちは影のいろ

スイッチを押すひとはだれ 腕の先の赤いあかりのスイッチはどこ

クレーンの運転席にいるようにひとりだ 歩道橋はゆれるね

丘をめぐるぐるぐる道は造られてそのまま遠くへゆくカタツムリ

古墳よりあたらしい樹はこんなにも古墳のうえでおおきくなった

どこまでを知っていいのかアラカシの根はふるふると古墳の底へ

夜なのにあかるい雲のそのわけを問いつめながら川沿いをゆく


(「未来」747号 2014.4月)




予告通り(だれも聞いてないか……)またまたクレーン登場です。
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