すぎな野原をあるいてゆけば

「おとのくに はるのうた工房」がある

二月の樹

2015-07-26 15:51:37 | 短歌
坂をのぼる だれかのダウンコートからぬけだしてきた羽毛をつれて

   大きなセンダンの樹がある道。

実は消えて種はかわいて拾えるとしたらざらざらするなつかしさ

ポケットのなかで触れたらトラピストバター飴、いえ白い種です

銀杏の並木の冬芽は影の色だから クレヨンいっぽんぽきり 折りたい

とりどりの名をもつ梅の名札にはどれも「バラ科」と記されている

卵鞘は梅のつぼみに囲まれて花に会うことはないカマキリ

とおくから見る白梅が好きなこと/その樹の名前 春に忘れる


(「未来」760号 2015.5月)




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