すぎな野原をあるいてゆけば

「おとのくに はるのうた工房」がある

カモメと電柱

2013-08-15 15:13:38 | 短歌
さざんかさざんか争いながら落ちてきてまた飛びあがる二羽の雀は

休館中工事中でも塀を越えメジロは梅に会いにきたんだ

隠してたテニスボールをぽっかりと灯してならぶ落葉樹たち

迷わない どの電柱もかたわらに白いカモメを浮かべています

絵葉書をこっそり読んでいるような古いポストはまぶたもまるい

電線のないところまで凧とゆく 電波はついてこなくていいよ

ほんとうは春にあげたい(ポケットに携帯用の凧があります)

蝶が羽を乾かすあいだカッターで切り取る薄い雑誌のページ

あいている窓をゆびさしたら蝶はひとさしゆびをあるいてのぼる

春のおしまいを(はじめて飛ぶ前の蝶の歩幅を)たしかめている




(「未来」738号 2013.7月)




前回に続き、はじめの4首は名古屋ひとり吟行のときのでした。

さて、お知らせが遅くなりましたが、まだ発売中の角川「短歌」8月号に、「図書館のクスノキ」7首が載っています。みつけてくださいね

ネットプリント「月刊ミドリツキノワ」8月号は、お盆休み明けに発行予定です。いましばらくお待ちください
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