雨をかわす踊り

雨をかわして踊るなんて無理。でも言葉でなら描けます。矛盾や衝突を解消するイメージ・・・そんな「発見」がテーマです。

僕のような・・・

2007-06-30 23:29:11 | 料理

暗闇の中、湯斗の庭にひっそりと咲く花。



この清楚さ、まるで僕のようだ。。。

そして湯斗で頂く国産の天然アサリとジュンサイの澄まし。



この澄み切った、実のある重み、
もちろんこれも僕のようだ。。。

更にイカスミスパ。



この濃厚さ、ついお歯黒の自分を鏡でみたくなった!
(なんのこっちゃ)

それからここ数日暑い。
そんなときこそ、うなぎのビタミンA(?)が貴重。
うなぎの「う」は「ウルトラマン」の「う」だ!
(なんのこっちゃ)



デザートは最近就任した湯斗パティシエの
淡いチーズケーキ。



ご馳走様でした。


Duhka

2007-06-29 00:00:03 | 宗教
仏教における苦しみとは、本来苦しみではなく、「浅慮」という意味。浅慮だから同じ問題に対して、正反対にみえる対処法が出てきて迷う、ということらしい。

今日はそんな話。

ひとつは中国の人民元切上げ。

NY Times によると、アメリカは中国の人民元引き上げをずっと要求してきたわけだが、もう違う、という見解が出てきた。

以前も書いたが、アメリカは中国の安い労働力という人間市場のためにいくつもの会社が倒産し、その後はその分野については中国に依存している。

当然人民元が強くなれば、アメリカの日常生活にその価格上昇がやってくる。

要するにもともと相手の国の貨幣の問題ではなく、自由経済の宿命ということである。

もともと昨今経済の動向が不安定なのは、先がどうなるかわからん、という見通しによるものだと思う。

以前も述べた通り、世界経済の将来の基盤と考えていた米中ががどのように自国を健全にしつつ進んでいくかに影響をうけるから格差が問題としたのである。

したがって確たるものがないことによる不安はまず自国経済の健全化によって補わなければならないから、国内の格差の是正、社会福祉の安定などを頑張った方がよい、というのが同記事の結論(当たり前の結果ですよね、一足早く経済破綻した国からみたら。そのわりになにも手は打ってないけど)。

もうひとつは、Townhall から中国国営の石油会社がイラクのフセインがだめにした油田を請け負う話。

同記事は、中国のダブルスタンダードとみているが、コメント欄にあるように本当に早くアメリカがイラクから手を引きたいなら、中国に背負わせる、という見方もある。いずれせよ、これもLaise-Faire によるもので、問題は中国経済の問題ではない。

仏教でいう悟りは、Duhka の状態を抜ける知に恵まれることか。深いなぁ、仏教は。

ところで仏教では、この二項対立を超えた状態に「不二」と名をつけて最高の状態とするが、鎌倉仏教の尤たる禅の超え方はやっぱり天才のそれだと思う。

ただし二項対立といってもフェミニズムなどでのソシュールに始まる二項対立ではなく、カントの二項対立で、「客観的なもの」と「自分という主観」によるそれを後者が飲み込む。

ある種ハイデガーのいうAristotle以前に戻ろうとする傾向と似ているから、誰だったっけか、ハイデガーの内容に禅用語の訳をつけたりしてたが、井筒さんの説明を読む限りでは両者には違いがあるような気がしないでもない。。。

追伸1:宮沢元総理の訃報はTownhall から。同記事によると、Bush 父大統領を支えた宮沢さんの姿はアメリカにも好ましくみえたらしい。その後もよいサポート役にみえたようだ。

追伸2:ちょっと古いけど、フセイン元イラク大統領のいとこである、Chemical Aliこと、Ali Hassan al-Majid(61歳)がクルド人殺害などにより、6月24日に死刑に処せられていた(NY Times)。

追伸3:更に旧い記事だが、独逸がアフガニスタン関与のためにテロの危険に?(NY Times)。

追伸4:もう一個、独逸がらみ。World Gallup Poll によると、Poland の首相が独逸の侵略がなければPoland はもっと大きな国になっていたとする発言にまつわる世論調査結果はこちら

追伸5:CIAのアメリカ国民に対するスパイおよび盗聴行為が白日のもとに(NY Times)。

文化と文明 5

2007-06-28 00:00:03 | 歴史
慰安婦決議案 共同提案議員146人に 女性・人権…史実誤認も(産経新聞) - goo ニュース

慰安婦決議案、米下院委が可決 下院議長が支持表明(朝日新聞) - goo ニュース

ここでも書いたけど、がっかりだね。

右の行き過ぎをカバーするための左のポーズというわけだ。

そういえば今日のNY Times 1面がアメリカの若者はみな左、という記事があったが、昨今の影響で、人権と女性を持ち出せば怖いものがないのかもね(秦さんも書いていたけど)。

ただリベラルでもなんでもいいけど、調べるだけは調べてほしいし、安倍さんもいうことはいってほしい、黙らせるようなやつを。韓国とは戦争もしていないのに戦後補償をしただけでなく、個人補償のお金もお支払いしましたし、これまでに何度も日本の首相が謝罪してきましたが、と。

これをいうと、金の問題じゃない、というひとがいる。

しかし異文化圏では行為のいろいろな意味や重さが違うから、満足のいく罰を与えるのは難しい。

そこで金というのがある(こういうときには金は役立つ)。

暴力同様金はかなり普遍性のある文明である。

慰安婦問題については『昭和史20の争点』のなかの金完燮氏の説明を推したい。

追伸:「Adamant」、「April Fool」。

いやらしい奴

2007-06-27 08:47:19 | 雑談(ジョーク)
僕はゴキブリが嫌いだった。

出てくると、今まで築いてきた信頼をすべて吹き飛ばすような奇声を発することがある。

いつ嫌いになったのかというと、小学生のころ。風呂で身体を洗っていたら出たのだ。

こちらはもちろん素っ裸で無防備(?)だから驚き、唯一の武器であるシャワーの熱湯を手にした。

そしたらシャワーによる自衛攻撃に、逃げ場を失ったゴキブリがこともあろうに僕の足から昇ってきた。

しかも外側ではなく内側からいやらしく僕の股間めがけて突進してきた。

これは203高地の再来ぞと、僕は容赦なく熱湯の一斉射撃を敢行。無事股間は守ったがやけどした。

そうした日中戦争時のようなゴキブリとの関係に変化があったのはアメリカ留学中。

たくさんのえさに恵まれているアメリカのゴキブリは、動作が緩慢で大きく、カブトムシのようだった。

思えばゴキブリをマジマジとみる機会に恵まれたのはそのときまでなかったような気がする。

あの速さゆえに正体がわからず恐怖が倍増していたのかもしれない。

ところでこうしたキライや恐怖を交渉事に利用するのはどうかと思う。

FPによると、露西亜のPutinは、独逸の首相Merkel との特に重要な会談では、愛犬を同席させるらしい。

なんでも Merkel が犬嫌いだということがわかってからで、Putin は、「絶対この犬はあなたを怖がらせません。何もわることはしませんし、ジャーナリストも大好きです」などとシラジラシクいう。

そりゃ犬が何かをしないかもしれないが、生理的に嫌いなひとにとってはあんまりだ。

いやらしい奴だっ!

<好評のジョーク集>
砂漠錯覚昼下がりの情事中身だけの男差別か区別か絵心くしゃみを我慢するとどうなるか知ってますか?、To Be or Not to Be 23幸福の木鏡の中のヨン様Shocking

大日本人

2007-06-26 22:06:22 | 時事
社保庁長官、職員1万7千人に賞与の一部自主返納求める(朝日新聞) - goo ニュース

なんだか杜撰な社会保険庁というニュースにかき消されているようだが、もっと大事な問題は、今設定されている年金支給額がきちんと年金の役割をするかどうか、またそれ以前にその財源が本当に確保されるかどうかだ。

現在国民ひとりあたりの借金が650万で、その返済がこれからの景気頼みというのでは、杜撰を通り越して無責任だ。とにかく役人には倒産がないからどうしても自分たちのシステムを超える発想はしにくい。とりあえず役人の給料は、国民の所得と連動するようにして、現在なら年収300万くらいに設定し、その働きによって、変るようにするぐらいしなきゃ。

国民一人当たりの借金を十万へらしたら十万給料に上乗せする。そうしようとすれば、年度末の辻褄合わせの、道路をひっぺがえすだけの建築工事は真っ先にやめるだろう。

結局のところ本質をとらえようという気概がみられない。

年金とはそもそもどういうものだ。教育とは?憲法とは何の目的のためにある?

教育の目的が絵空事なのに、教員の免許を更新性にすることから始めてどうする?憲法はただの法律の王様か?

教育の目的は「判断力」と「和して同ぜず」だ。

両者とも、言葉による表現を磨くことによって得られるからそうした科目を重視すべきことになるはずである。

憲法とは何だ?

一億からの人間が日本というひとつの集団にいることを誇りにできるための思想だ。

日本人の言動の基準は浅慮の効率だと思っている。

いつもの社会生活のときにはみんながやるようにやって本当に自分で考えて決断をしなければいけないときはほとんどやぶれかぶれになって効率だけをみる(自殺者が多いのも効率重視だからだと思う)。

こうした日本人像からみつめるべきだ。

なんかスッキリした。

追伸:光市母子殺害 元少年「危害加えるつもりはなかった」(朝日新聞) - goo ニュース だから前にもいったように、殺意があろうとなかろうと償えるはずがないことをしたんだよ。

Miles

2007-06-25 00:00:03 | 音楽
NHKのETV特集「菊池成孔のジャズ講座」、面白かった。

Miles Davis が中心で、もうちょっと音楽的な(専門的な)ところに踏み込んでほしかったけど、1時間じゃ無理だよね。

いろいろいっていたけど、Miles Davis の本質として、菊池さんがいっていたのは、「ひとをメロメロに誘惑したいという願望」と「自分の本心は決してみせないMystification」。

おそらく後者の「本心」には「底」とか「全部の力」とした方がわかりやすい気もするが、Miles のジャケや発言をみて、「あれをねらってるんだな」とといつもナナメにみてしまうのは、きっと僕が上記ふたつは共有している(才能はおいといて)、いやらしい人間だからだな、と思った。

もう夜更けだが、音楽を知りたいといっていた乙女のためにつくった交響曲Stone Mountainを聴き、破棄した。以下のような編成だが、「いやらしい、Miles のようだ」と思った。

第1楽章:ワグナー「神々の黄昏」(クナ)
第2楽章:サンサーンス交響曲3番第2楽章②(バレンボイム
第3楽章:ベートーベン交響曲8番第3楽章(フルヴェン)
第4楽章:ブラームス「ハイドンの主題による変奏曲」(ザンデルリンク)

ここ最近ふたたびはまっているのは、シューリヒトのブルックナーだったが、明日は Miles 一辺倒にしよう。菊池さんが好きだといっていたネフェルティほか、いやらしいやつをたくさん聴こう(今i-Podに接続中)。

室町ふたたび 8(改訂)

2007-06-24 15:42:26 | 宗教
往相に対し還相という言葉がある。

前者は、現世のなかで現世のことを考えるのではなく、現世を object としてみて、現世での問題を相対化し、超然とした視点を持たせる。

これは、苦境を受け入れたり緩和させるのに役立つ。また、ニーチェがいったように、これがなければ道徳は生まれにくいかもしれない。

しかし還相、すなわち往相を経験したものが、現世にあらためて向き合って言動を選択する場合どのようにしたらいいのか、について具体的な回答がみえてくるわけではない(これについては宗教も哲学も同じ)。

諦観(たいかん)させるだけで、結局「自由の刑」に処せられている。

そうなると苦境のレベルの差で、 Duhka状態になる。

もちろん往相・還相以前に、どちらの世がホンモノかわからないから、日本のように往相重視で「浮世」の問題から逃げ、現世は効率しか考えないなんてこともある(日本文化は、義政に代表されるように、往相重視の視点から、浮世の物事に細工をしてであがっているように思う:思想家にマツリゴトはできぬとはよくいったものだ)。

結局哲学だの宗教だのいったって還相がえられないのならはじめからベドウィン主義も当然考えられ、今の中国なんかその典型例にみえてくる。

中国の魅力は、巨大な人間市場である。

十数億の人間の生活が商売になるから、中国にひとが集まり、そのひとをめがけてまた商売が起こる。

一方中国は19世紀から20世紀前半にかけてのような失政はおかしたくなく、それを契機に自分たちもそれにみあった成長をしたい。

がそれを可能にする process management はそうたやすくはあるまい。

とりあえず必要な物資を安く買い込もうというので、Africa に手を出した。特に、最極貧といわれる「サハラ砂漠以南」である。

Bostonglobe によると、アメリカの貿易額610億ドル(2005)に対し、中国はまだ250億ドル(2006)であるが、伸び率がすごい。2000年の時点では、100億ドルに過ぎなかったのだから。

問題はやり方である。

既成の独裁政権と組み、中国が常任理事国を務める国連内の文書でも非難されたりしている。

が、実際問題として、アフリカが中国になびいている。

以前BBCで、アフリカにとっての中国に対する読者投稿があったが、アフリカはそれ以前の西洋よりはるかに中国が好ましいとする意見がアフリカに多かった。西洋より日本がよかったとする台湾と似ている。

国連の視点はいわゆる人道などの往相的なものであるが、実際にその土地に根ざして出来上がった現在のアフリカの秩序自体がそれに反する以上、それ以前の西洋植民地主義がなかったとしても、中国が選ばれるだろう。

とした場合日本はどのような手段を講じるべきか。

当たり前の帰結だろうが、往相を厭世に使わずに、人権運動などをどしどし押し出していくべきだと思う。

ここで国連憲章をみよう。

All Members shall give the United Nations every assistance in any action it takes in accordance with the present Charter, and shall refrain from giving assistance to any state against which the United Nations is taking preventive or enforcement action. (すべての加盟国は、国際連合がこの憲章に従ってとるいかなる行動についても国際連合にあらゆる援助を与え、且つ、国際連合の防止行動又は強制行動の対象となっているいかなる国に対しても援助の供与を慎まなければならない。)

中国は慎んでいるだろうか。慎まない国が常任理事国であることをまず非難すべきだ。

もちろん中国と全面対決すべきだといっているのではない。

福沢諭吉っつぁんがいっていたように、国際社会のなかでひとつの国として存在するためには、執拗にそして効果的に抗議すべきところを抗議できる国でなければならない。

追伸1:これまでの「室町ふたたび」1234567

追伸2:「民主主義とという宗教

追伸3:アメリカメディアの中国批判12

追伸4:Bostonglobe によると、中国の二酸化炭素排出量は、25年後には、日米欧を合わせた量の倍になる!

真夏の夜の夢

2007-06-23 21:06:21 | 文学
 寝苦しい夜だった。もう深夜はまわっていたろう。オレは、心地よさを探して、顔の位置を換え、枕に顔をうずめていた。
 が、眠れない。どこかの小説に書いてあったっけ、眠ろうとする努力は、その努力を忘れたときに報われる、と。
 そこでメンデルスゾーンの「真夏の夜の夢」のCDをかけた。もちろん深夜だから、ボリュームは2目盛りだけ。かすかに聞こえる「真夏の夜の夢」は、まるで一服の清涼剤のように部屋に浸透し、涼やかな風がカーテンを揺らして入ってきた(オレは窓を開けて寝る)。
 オレは仰向けになり、ヨシヨシこれで眠れる、と思った。が、CDにおやすみタイマーをつけるのを忘れた。折角寝心地がよくなったのに、と自分の機転の悪さを後悔しながら窓辺のCDに向かってホフク前進を始めた。
 すると、開いている窓から奇声が聞こえてきた。
 ここは学生街で、酔っ払った学生たちがよく通る(オレも学生だが)。その声はだんだん近づいてきて、明かに酔っ払った3人が歩いていることがわかった。
 
すると突然、やつらが黙った。
耳を澄ますと、自転車が近づいてきている。そしてその自転車と、酔っ払いたちが交差するとき、酔っ払いたちが奇声をあげ、その自転車の運転者と思われるひとの声が聞こえた。
「ぎゃ!」
自転車が外の垣根かどこかに突っ込んで倒れたらしい。しかもその「ぎゃ」という声の主は女子大生らしかった。
 酔っ払いたちがどっと笑った。
 「ぎゃははは!生ゴミに突っ込んでやがんの、くっせぇ!肘から血がでてっぞ!」。
女子大生が立ち上がって、自転車も立ち直らせる(音がする)。
オレは真夏の夜の夢のボリュームを慌てて消した。
女の子がどうやら自転車を立て直したころ、再び酔っ払いのひとりが蹴った。
「ぎゃ」
今度は自転車だけが倒れたらしい。女子大生が、小さな女の子のようになきはじめた。
「ウェーン」
「子供みてぇだな!」
 また自転車を立て直しているらしい女の子。そして立て直すとまた蹴っ飛ばす音。
 「ウェーン」
 「泣いたってダメだよ、誰も助けてくれやしねえさ!」。
 「大体女の子は夜中に出歩いちゃだめだぁ!アハハハ」
 女の子は、きっと眼をうるうるさせて、馬鹿野郎たちをみてるんだろう。
 するとまた酔っ払いのひとりがいった、「きっとこの会話はみんな聞いてるぜ、なのに誰も助けにこねえんだ、わかるかおい!」
 オレは顔が紅潮した。現実的にいえば、警察に連絡するしかない。が、とりあえず窓を閉めようと、窓辺にホフク前進を始めた。
 すると、パトカーのサイレンが聞こえた。
 「警察だ。」と酔っ払いのひとり。
 すると今度笑ったのは女の子の方だった。「あっはははは」
 「何がおかし・・・うわっ!」
 「こいつ携帯で写真とったぞ!おれたちのこと!」
 「バーカ、しっかりとったぞ!逃げても無駄だぞ、しっかりふんだくってやるからな!」
 「どうする?」
 「この女、このまま逃がしちゃまずいよ」
 話の流れから、女の子は、逃げ出そうとしたらしい。しかもパトカーは通り過ぎた。
 「ま、待てっ!」
 「あっ!」
 「逃がすなっ!」
 女の子は囲まれたらしい。
 「はやく、携帯出せっ!」
 もみあっている様子。
 「ぎゃ」(女の悲鳴)
 まだもみあっているようだったが、次の言葉には驚いた。
 「お前、なんで(女の)胸触ってんだよ」
 人間ってのは、こんな状態でもどさくさにまぎれるらしい。してはいけないことをしようとしていることはわかった。
 「やめ・・・」と女。
 「ぐえっ」
 その男が殴られた。
「何すんだよ!」
「(女に)そんなことまですることないだろ!」
「うるせぇっ!よく考えろっ!携帯とったって、こいつ俺たちの顔みてるんだぞ!こいつにも恥ずかしい思いをさせなきゃ」
「馬鹿野郎っ!まず携帯奪ってからだっ!」
「馬鹿はお前だっ!はやくやっちまわねえと、あっ、たかしっ」
 今まで喋ってなかった、たかしが逃げた。
 「待てよ、たかしっ」と女を襲ったやつ。
 しかしたかしは走り去ったらしい。速い。
 「どうするよ?」と涙声で、襲ったやつ。
 「取り敢えず逃げようぜ」
 「だって写真撮られてるんだから、逃げても無駄だろ、やっぱ、やるしかねぇよ」
 「おれは女には手は出してねぇよ、お前が胸触ったのオレみたもん」
 「なんだよ!キタネェゾっ」
やろうとしてないやつが走り去り、やろうとしたやつが追いかけ始めたらしい。遠くに、「おい、待てよっ、あればらすぞ。いいのかよ」という声が聞こえた。

静かになったと思ったのも束の間。
警察が来たらしい。
「どうしたの?」と警官。
女の子は答えない。
「泣いてちゃわからないじゃないか?誰にやられた?」
数瞬の沈黙の後、オレの部屋の窓が開いてその女の子が顔をだし、ホフク前進中のオレを見下ろし、指差した。そして小さい声でいった、「このひと、一番悪い人」。
オレはシルエットになっていてよく顔のみえない女を凝視しながら、こう考えた、「オレはホフク前進の途中で、この女を助けに行く途中だったんだ、そうだ、オレはこのまま外に出て、この女の子を助けるつもりだったんだ、その途中だったんだ」、そういおうと決心した。

追伸1:これはフィクションです。

追伸2:これまでのフィクション:「差別と区別」、「ハナとゴンザ衛門」。

にっちもさっちも7

2007-06-18 19:32:43 | 時事
Foreign Policy で、「2007年度の最も失敗した国」なるリストが発表。

Sudan, Iraq, Zimbabue が上位3国。

北朝鮮は13位で、主な原因は、国家の威信が傷ついたこと(9.8)、人権(9.7)、経済(9.6)、公共のサービス(9.5)という項目で高得点だから(10点満点で10点が一番悪い)。

イランは57位で、「人権」(8.7)と「エリートの派閥化」(8.9)。

この調査は、Fund for Peace という、1957年に設立された、教育などの調査機関。Washington DC にあり、1996年から、「弱い」国が乱す世界の平和に焦点を置いているらしい。

ちなみに2007年度には載っていないRussia の記録がそのウェブページにはある。

2006年の時点で総得点87.1で、2007年度の指標でいうと42位。


にっちもさっちも 6

2007-06-16 22:24:13 | 音楽
「にっちもさっちも」というタイトルで、Louis Armstrong (愛称:サッチモ)に触れないわけにはいかない。

第1次世界大戦を迎えた亜米利加は、New Orleans にあったStoryville を閉鎖し(戦争にストイックはつきものである)、New Orleans のMusicians は、全米に散らばって、各地域に音楽の化学反応をもたらした。今から思えば、Jazz が音楽史のMainstream に到るためには、この政策は不可欠で、Louis Armstrong も師匠格のKing Oliver に導かれたのち取って代わり、Hot Seven で活躍することになる。

Hot Five を久しく耳にすると、ここに書いたような意味で、つまりひとつひとつの音にアソビがあることが再確認できる。そしてこのアソビの背後には、上記リンク先にあるアフリカの言語の伝統と、ここにも書いたような相互扶助会同士の「健全な」、「華やぎ」のための勝負がある。

音楽が共同体意識に貢献するのは、個人を超えたブラフマンのレベルに通じるからかもしれない。

「音楽は、耳に訴える、とはよくいわれることですが、それは条件付で、すなわち聴覚は、ほかの諸感覚と同じく、精神的なものに対する補充的な中間器官、受容器官である、という限りで認められることに過ぎません。おそらく、クレッチュマルはいった、聴かれず、みられず、感じられず、出来ることなら感性の、そして情念の彼岸で、純粋に精神的な領域で、理解され観照されることこそ、音楽の最も深い願望なのです」(『ファウストゥス』トーマス・マン)。

西洋音楽は、カール大帝を祖とする西洋世界に発するものとすると、イタリア、ドイツ、フランスを中心に発達したものということになり、中世での音楽は、下から民衆の娯楽、人間の深奥を流れるもの、宇宙の秩序とランク付けされていたが、少なくともNew Orleans のMusiciansは、下のふたつを合一させたことになる。

そしてその合一のさせ方は、ほぼ完成していた西洋音楽のひとつひとつの音に機能和声を含む飾りを即興でつけ、少しバラツカセルことだった。

『サッチモ』によると、サッチモは、22の秘密結社に入っていて、それが彼の腕を磨かせる仕事にありつかせた。Jazz の創始者とされるBuddy Bolden にも言及していて、床屋さんをやっていたらしい。音符が読めない床屋さんは、ブルースの演奏を得意としていたらしいが、とにかく音が馬鹿でかくて有名で、Blind Lemon Jefferson とその点大差ないらしい。フレディ・ケパードも同じで、19世紀後半のMusicians というと、肺活量とあっちの方の力がすべてだったのかもしれない。

その点サッチモの師匠であるオリバーは違うわけだが、そのオリバーを超えたと思われるのが、1928年くらいから。やがてトランペットの技巧派として知られるようになる。

そのサッチモにトランペットで土をつけたのが、Emmet Hardy

あるコンテストで、白熱の勝負の末、サッチモが「キングは君だ」といったらしい。

ただしこのコンテストが1919年の話で、サッチモはまだ完成していない。上記にリンクされてるWikipediaの説明でも、早熟のHardy と当時のサッチモを比較するのは不公平とあるが、僕はこの話を聞いてから(油井正一さんの本で)、彼の音源を捜した。

とにかくBix BeiderbeckeはただのHardy の猿真似でしかないというくらいだから、どんなひとなんだろう、と思ったわけだ。

が、『Early Jazz』でのBeiderbecke の説明にもある通り、Beiderbecke がよく聴いたひとではあるが、レコーディングをせずに亡くなったらしい。それが1925年の今日。