雨をかわす踊り

雨をかわして踊るなんて無理。でも言葉でなら描けます。矛盾や衝突を解消するイメージ・・・そんな「発見」がテーマです。

日本と米南部

2005-08-29 11:20:21 | 歴史
米南部と日本は、戦争に負けたことによって、戦争を始めた本来の正当性がなかったことにされてしまった、Lost Causeを経験したという点で似ている。1949年ノーベル賞受賞作家ウイリアム・フォークナーが戦後長野にやってきたときも、私たち(南部人)も日本人と同じように合衆国に敗れた、とその経験の相似をほのめかした。日本は戦後60年だが、「南北戦争」は140年前の出来事である。

しかしこの80年の時の隔たりは、大きな世論の差を作り出している。日本は相変わらずその正当性を無視されているが、南北戦争の南部軍は、それなりに哀れみをもたれている。したがって呼称、Civil Warも Civil Rights Movementsがあってからはそれなりに控えめに使われた。まるでCivil War が人種差別問題を発端にしたかのような印象を与えるからだ。

あるケンタッキー出身のひとによると、北部人は、Civil Warを使い(あまり南北戦争について考えていない北部人は南北戦争は悪い南部人をやっつけるためのものだったということ)、南部人は、War of Nothern Aggression(「北部の侵略戦争」)、そのほかの境界州のひとは、War Between the States(諸州間の戦争)を用いる、と教わったそうな。

ほかに南部人が作り出した(?)表現に、War of Rebellionなんかが典型的だが、南部出身者のこうした名前の議論をしてる掲示板があって、そこでも「勝者がいつも名前を決められる」といっていた。そして今日以下に紹介したい文章もまたそこにあった:

expressing pride in the acts of Sherman is akin to boasting about how we really kicked the Japanese butts at Hiroshima. (シャーマンの行為を誇りに思ってるなんていうのは、広島で日本の奴らをどうやってやっつけたかを自慢するのに似ている;注:シャーマンは北部軍の将軍)

南北戦争が歴史的事実として冷静に分析され、南部が一方的に悪いわけではないという見解が一般的になったのは、1920-50年代のアカデミックな研究のため。このときの南部は、ひどい貧乏で、あのニューディール政策をやったルーズベルトが南部を本当に復興させようといろいろと公共事業を打ち出した頃のこと。時間的にいうと、戦後55年から85年。

Confuciusって誰?

2005-08-22 20:40:10 | 文学
一週間前だったか、New York Timesにブログを始めるひとが一日に8万人いるという記事があった。いずれインターネットをやる人間全員がブログを持つだろうと。

しかしそんなにたくさんのひとがいてもなかなか興味が重なるひとはみつからない。昨日逍遥しつつ、あるブログをみたら、Confuciusの教えってのがあった。以下がその教え。

Lead the people with governmental measures and regulate them by law and punishment, and they will avoid wrong-doing but will have no sense of honor and shame. Lead them with virtue and regulate them by the rules of propriety (li), and they will have a sense of shame, and , moreover, set themselves right.

大意は、法律と罰で人間を律すると、悪い行為は避けられるが、尊敬や恥はもてない。美徳や礼儀で律すれば恥の概念を持ち、自らを正すことになるっていうもの。

これが載ってたブログは、僕が興味があるアメリカ南部出身の方のもの。米南部では、日本と同じく法ではなく、恥やプライドを重んじることで社会に秩序を与えようとした。

個人的にこれにはすごく賛成。法律は、結局法律に書いてあることでなければ裁けない。みっともないかどうか、立派かそうでないか、それで考えていく方がすき。

『論語』なんか全く読んでないからこんなこというのも何だが、よく耳にする孔子の言葉のなかでは、「和して同ぜず」についで好きな言葉かな。「和して同ぜず」は英語でなんていうんだろ?

多様な人間

2005-08-21 22:10:19 | アメリカ
ガザで入植者退去再開 最終段階へ (共同通信) - goo ニュース

今日NHKでもやっていたけど、ユダヤ教徒の入植者にとったら悔しいだろうね。そしてつくづく思う。宗教や人種は、容易に克服しがたい差で、日本のように、ほぼ同一民族で暮らしてきた人間にはわからない、イラクのクルド人の気持ちなんて絶対わからないって。

しかしこういう民族間にしっかり線が引かれた事例と同時進行で、逆のベクトルが働いている地域もある。

アメリカである。

アメリカはいろいろな民族が混在して、現在その境目が見分けにくくなっている。いつぞや遊びに来ていたアメリカ人の女の子がこんなこといってた、「私は、ブロンドで青い目だけど、妹は黒髪で目が緑なの」。日本だったら、母さんが浮気したか、橋の下で拾ってきたかって話だが、それが当たり前らしい。

そしてこれだけ混ざると名称がついていかない。見た感じ白人なのに、インディアンだったりする(トマス・ジェファソンはこの方法を使って逆にインディアンを絶滅させようとしたらしい)。

だけどアメリカではそのインディアンという分類が結構人気がある。インディアンといえば我々と同じモンゴロイドでユーラシアからアラスカ通ってアメリカ大陸に住み着いたわけだが、アメリカでは、20世紀初頭には数百人足らずになって1935年には絶滅したといわれていた(トラじゃないんだから)。それが1960年代以降から公民権運動にのっかって自分たちの声を獲得し、最近ではカジノで大もうけして成金が結構いる。

しかしその数が多すぎる。2000年の統計によると、1500万から3000万人は下らないという。New York Timesの記事によると、実際の数だとこういう増え方はちょっと不可能で、人気が作用しているとのこと。「チェロキー族の皇女の子孫なの」という白人女性は、結構いるらしい。もちろんこれは地域による。アメリカ南部貴族あがりは、そうはいわないだろう。イギリス、スチュワート朝王女の子孫が一番人気だが、とにかくイギリスの名門からとるのがポピュラーである。

日本でも7世紀以降は、渡来人系の家系であることがかっこよく、その後は、逆にそれがかっこ悪くなって、源氏や平氏が人気の家系になったが、そんなのはどこにでもあるらしい。

話がそれたが、とにかくインディアンなのに白人にしかみえないひとたちが現在インディアンの祈祷なんかに出席していて、当然奇妙な光景らしい。また、それじゃインディアンらしくないってんで、インディアンの言葉を復活させようという見かけが白人のインディアン女性がMITで言語学のマスターをとったなんて話もそこに載ってた(ガザ地区やイラクとはえらいちがいでしょ)。その記事のタイトルは、"The Newest Indians"だった(うまいね)。

また次のような話も。なんでもナイジェリアで1952年にできたキリスト教系の宗教集団(the Redeemed Christian Church of God)が、テキサス州の人口100人程度のコミュニティに土地をかい、その信者がどんどん入植している。驚くべきは、ここテキサス州グリーンビルは60年代まで、"Blackest Land, Whitest People"と呼ばれる人種差別のひどい地域で、ナイジェリアから来た信者は当然肌が黒いということ。にもかかわらず今のところちょっとした違和感はお互い感じつつも問題がない(この記事のタイトルは、『テキサスのとある街がピリピリしつつ新しい隣人を待っている』(これはセンスないかも)。

Gazaやイラクのニュースで何となくめいったけど、こういう逆方向もあると思うとなんだか人間の懐の深さが感じられて、へぇ~っと思いませんか?これなら田中知事と荒井さんなんかが一緒に組んでもおかしかないわな。

PS:そういえば、もう新しいとはいえないけど、白人と黒人の血がまざったひとの名称で、Light Brownなんてのがあった。これはただ混ざっているという意味ではなく、性的に魅力のあるハーフという意味で、A-Rodみたいに美しい顔をしたひとを思い浮かべるとわかりやすい。

日本的改革

2005-08-21 12:25:22 | 時事
歴史上日本の改革は、将来への確固としたヴィジョンではなく、既得権益保持者を追放しようという力でなされた。

なぜヴィジョンがなかったのか。

ヴィジョンとはそこにいるコミュニティ全体の利益を考えた結果得られるものだが、日本では、絶えず自分が属するグループのことしか考えなかったからだ。司馬さんのことばでいえば、「ローカル主義」だが、おそらく島国だから日本がひとつの国ではなく、世界全体にみえたからだろう。したがって日本の改革は、既得権益が肥大しすぎたとき、それに我慢ならなくなった勢力暴発して革命を起こすことになる。

郵政民営化法案もその相似形。肥大したシステムをスリムにしてその削ぎ落とされた部分を将来に効率よく活かすというのが自民党プラン。したがって郵政民営化が未来にどのように資するかという議論になると先細り。もともと日本的改革にその視点がないからだ。

そこが民主党のねらいめで、民主党マニフェスト自民党マニフェストを読み比べれば更によくわかる。

自民案は、郵政民営化を軸とする官の既得権益をなくすこと、ここ数年の実績および各論、民主案は、自民より詳しい各論からなるが、自民は、自分たちのスリム化で手一杯だが、民主はその後を前提として(政権交代がそれまでの利権構造を温存させた人間関係を断ち切るわけだから)、より未来を展望した各論になっている。政府のあり方についても、自民案では、単に「小さな政府」だが、民主案では、地方分権したうえでの中央の役割を重視している。

したがって一見すると民主案の方がどうしても魅力的に見える。また、僕のような若い世代には人参がぶら下げられてる感じ(少子化対策として出産に費用がかからないとか、子供1人につき月1万6千円給付、教員の担当生徒数16人など)。また外交というか国際的な観点からも、国際裁判所の確立にも言及がある。

しかし民主案の数字は検証されなければならない(僕にはその時間も能力もないので、早く自民のブレーンにそれをやってほしい)。また、自民ブレーンには、民主党員の地方との癒着もある程度表に出させてほしい(週刊誌もガンバレ!)。

一方自民案は、売りであるここ四年の実績(国債減額、失業率低下など)は自民だけの功績とは判断しにくいところ。数字の上で明確なのは、郵政民営法案系と憲法草案などしかないが、これは、与謝野さんが繰り返しいっているようにむしろあまりに困難だからというのは虚言だけでもないと思う。

なんだか情勢が混迷してきた。そうなると「室町ふたたび」で書いたように人間で選ぶことになる。そうなると、自民有利かな?田中知事はなぜ造反組とくんだのかな? とりあえず民主党案検証、お願いします(本来は政権交代がいいんだけど、民主党の中で今回の自民党がしたような浄化が更に必要では困る。有志だけが新党つくるのがいいんだけどなぁ)。

亡国のイージス

2005-08-20 00:42:24 | 雑談(ジョーク)
『亡国のイージス』をみた。夜七時からの回だったのでそれなりに空いていた。

予告版をみると、Nationalismが発揚されて仕方ないような、韓国張りの映画のような印象だったが、実際にみるとそうでもなかった(期待しすぎてたかも)。

何より戦争という世の中のサバイバルゲームのなかでも最も厳しい現実のひとつを題材にしながら、その厳しさが伝わってこない。全体的にあまい。それから各登場人物の背景がてぬるい。

どうして寺尾聡はあんなに簡単に踊らされたのか?寺尾とその部下たちはあの程度の気概で軍艦ひとつを乗っ取って、あんな事件を起こしたのか?しかも真田広之の滑稽な紅白の旗の合図がどうして間に合ったのか?リアリティがなさすぎる。。。

真田は最後は少なくとも死ぬべきだし、その相棒だった如月も死ぬべきだったのに生きているなんて、なんだこのハッピーエンドはっ!映画自体、亡国の日本を何とかしようというものじゃないのかっ!逆にこの映画は亡国じゃなければ出来ない映画だっ!(こうした怒りを引き出すのがこの映画の目的なのだろうか?)

しかし観終わって、外に出ると、酒の匂いをプンプンさせている学生や中年おじさんたちと対照的にやけにキビキビと動いている自分は発見した。ダイエットには効果があったかも。

King夫人

2005-08-18 19:05:48 | アメリカ
New York Timesによると、公民権運動で指導的役割を果たした故 Martin Luther King Jr 牧師の奥さん Coretta Scott King さんが、心臓病(Heart fibrillation: 心臓の筋肉の収縮がうまくいかない病気)発作のため入院した。

夫がMemphisのモーテルで撃たれた(1968年)あともずっと公民権運動に携わってきたが、四月に入院してからここ数ヶ月、講演などずっとキャンセルしているらしい。病状についてはあまり公開されておらず、家族は「大丈夫」とのみいっているようだが、現在78歳と高齢だし、心配は募るところ。

しかしNew York Times の記事を最後まで読むとあまり心配しなくてもいいのかなと思ってしまった。なんでも彼女の家系は長生きで、母91歳、父99歳まで生きたそうな。それならまだ、というわけで、以下に綴るような、やや不謹慎な感慨もついでに湧いてきてしまった。

順序だてて説明すると、King牧師に共感を覚えたのは99年のこと。AtlantaのKing牧師記念館(94年まで奥さんが館長)で、King牧師が運動の真っ最中に綴った手記を読んだ。あれほど信念の堅そうなKing牧師だったが、日々自分の家族が危険に曝される不安を感じ、逃げ出したい気持ちに駆られていた。これをみたときなんだかとても自分と同じ普通の人間なんだなと感じてホッとした(今思えば結局逃げ出さなかったんだからやっぱりすごすぎるわけだが)。そのためそのときもつい下世話なことを考えた。そのとき傍らにあったKing牧師の家族の写真には、夫人の写真も映っていて、こんなに美しいひとなら余計命は惜しいわな、と別の観点で納得しちゃった。

そして今回の不謹慎な思いというのも、この下世話な感慨に続くもの。報道で現在Corettaさんの写真をみて、あの美しさはどこへ、とがっかりしてしまった。

すいません、不謹慎でした。

危険な酒

2005-08-17 20:54:50 | 雑談(ジョーク)
5年ほど前からずっとその看板は見ていた。

「へぇ~」とは思っていたが、疑ってかかっていた。

こんなところに石田屋黒龍(福井)があるはずないからだ。

しかしなぜか今回は寄ってみた。そしたらパンパカパーン、店内に黒龍がズラリ!!

即買った。呑んでみた。

「上立ち香はほのかにメロンのように香ります。とても上品です。含むと…あれ??、もう一口…。含むと…ん??、もう一杯。含むとふ~む♪ほんのり甘い。あれ?もう引けてしまった。。。もう一杯。とやっているうちに、記憶なし。。。非常に危険なお酒です。(笑)」

これは僕が時々みている日本酒ブログ(由紀の酒)の黒龍の描写。まさにその通りっ、あっという間になくなってしまったっ(「酒が消えた」と思ってしばしさがし、そのうえで名前をよんでみた、「黒龍くぅ~ん、黒龍くぅ~ん」と)

もちろんどこで見つけたかはいわない。どわってぇぇ、オレの分がなくなってしまうじゃあないですかぁぁっ(波田陽区風)、絶対にいわないもんにぃぃっ

な、なんだ、この口調は!何を喋ってるんだ、オレはっ、本当に危険な酒だっ(長井秀和風)

 


靖国

2005-08-16 20:22:09 | 時事
8月15日、小泉さんは、靖国神社には行かず、「心からのお詫び」を表明した。

しかし予想通り中・韓国は不信感に満ちているらしい(東亜日報朝鮮日報People's Daily Online (中国:) )。そんななか、連合ニュースの記事はちょっと違った。韓国は愛国心が強すぎると自制を求めている。

以前もここで述べたように韓国は中国とは異なる。愛国心であまりまわりが見えていないという感じだし、外交も日本同様一本槍(稚拙)で、その底が浅いというか作為をあまり感じない。

一方中国はちゃんと「外交」をやっている。上記新聞なんかはその典型的だけど、明らかに英語版と日本語版とでは記事の感じが違う(中国版その他はどうなんですか?)。日本以外(つまり英文版)をみると、小泉さんのコメントにも懐疑的だし、日本を非難する傾向が強いが、日本人しか読まない(はず)の日本語版は、民衆レベルで日中友好を作ろうとしているのがよくわかる(例えば、これ、ほかに同ページにある記事を読んでみて欲しい)。もちろん日本という大切な顧客を大事にしたいからだろうが、さすがだね(見習いましょう)。

靖国神社については、「外圧に屈しない」という態度もいいけど、なんだかいつも説明というか抗議すらもない。こういうのをレポートする英米誌をみていつも思うのは、中・韓の言い分に対抗するコメントがない。日本の謝罪の言葉と靖国参拝という事実の報道だけ。

英米の新聞をみていると、日本は、全く答えずにモクモクと自分がやりたいことをやっているようにしかみえない(New York Timesはこちら)。靖国だったら、「宗教の自由」だけでも違うし、「私たちは死者(歴史)から学ぶ。日本の神々は、ギリシアやローマの神々のように反面教師でもある」といってもいいし、「戦争自体は悲しい事実だったが、彼らは私たちの父、祖父、曽祖父なんです」とか、いろいろいっていいんじゃないだろうか。

とにかく何もいわずに四回いっていたのを急にやめ、一方で国会議員がゾロゾロと行くのはある意味であんまりよくないと思う。謝罪の言葉と、参拝をする真剣な表情が意味する、日本人が共有する狂おしい胸のうちは、日本人なら(少なくとも僕は)よくわかっている。でも何もいわずに急にまわりに配慮してやめたということになると、何がなんだかわからなくなってしまう。

瀬川アマ初勝利!!

2005-08-15 08:07:16 | 将棋・スポーツ
8月14日、プロ棋士になるための六番勝負第2戦が行われ、瀬川アマが神吉六段に173手で勝利。棋譜はここで。

神吉六段らしいあまり先を考えないもたもたした攻めに、瀬川さんもそれに付き合ってモタモタ受けつつ勝った。

どちらにせよ、冴えは感じられず、第三・四局が心配(相手はA級棋士久保八段と女流。どちらかで一勝する必要あるが、僕はこの六局では最強の2人だと思う)。

次回第三局は、東京で9月17日に。

小池さん好き!

2005-08-11 12:03:25 | 時事
東京10区で小林コウキ氏の対抗馬になった小池さん、地元とあまり密接な関係がないけど大丈夫ですか?という問いに、以下のように答えた。

「道路とかそういう問題は、もう地方が決めることになってますから、国会議員は国がどうするかを考えて選んでくれればいいんです。」(正確じゃありません)

いいですね、このひとのコメント、最近よくテレビでよくみるけどとてもソツがなくていい。気に入った(キレイだし)。