雨をかわす踊り

雨をかわして踊るなんて無理。でも言葉でなら描けます。矛盾や衝突を解消するイメージ・・・そんな「発見」がテーマです。

2005-05-27 23:55:00 | 宗教
禅といえば、『正法眼蔵』だが、はっきりいって長すぎる。そのなかのいいところ(16章)だけ抜粋して解説したのも講談社の学術文庫にあったが、ムムムという感じ。更に禅から茶という日本文化の関係を簡潔に書いた本というとなかなかみあたらなかった。鈴木大拙氏の著作も、すごいことはすごいが、結局一冊二冊程度読んだだけではわからず全集に手を出さざるを得なくなる。

しかぁ~しっ

先ごろ、柳田聖山氏の『禅と日本文化』を読了。

僕のような素人にはちょうどいい、禅と日本文化の説明だった。禅は、言葉の矛盾を超えた、司馬さんいわく百万人に一人の天才の宗教だが、そんな感じの一刀両断的説明だった。

お見事っ

9条の会

2005-05-18 23:07:55 | 文学
「9条の会」というのがある。ひらたくいうと憲法9条を守る会だ。

昨今の世界情勢を考えると、彼らの主張は、いささか理想主義的で、彼ら自身も述べるように鼻でフンっと笑われることが少なくない。そういう風潮のため僕自身もここ数年、大江健三郎ファンと公然と述べることにためらいがあった。

しかし大江さん(呼び捨てに出来ない)の言い分は、最近では『憲法九条、いまこそ旬』(岩波ブックレット)や雑誌『世界』にも載せられていたが、『鎖国してはならない』や『言い難き嘆きもて』などにもともと書かれている。「中心はない」とする「戦後民主主義者」としての立場と、作家という「カナリア」のような存在による「希求」、このふたつの延長にあるということだ。

憲法9条改正をめぐる議論について私見をいわせてもらえば、改憲派と大江さんたちのどちらがいいかということは、結局は今後の process management 次第になる。9条の会の、梅原猛さんほかもいっていたように、この会の議論が日本国内ではなく、世界的な規模で展開しないと「希求」が「気球」のように空虚なものになることは彼らも知っている。

だから闇雲に理想主義を掲げているのではなく、改憲派へのちゃんとした反論もしている。もともと憲法はアメリカ占領下でできたものだという指摘には、井上ひさし氏が、9条を作ったのはアメリカではなく、もともと国際連盟の常任理事国だった日本が提案しパリ不戦条約(1928)に記載されたものだとし、また、鶴見俊介や奥平康弘、小田実らも戦争の実体験者として、何はともあれ戦争の恐ろしさと中央集権の馬鹿馬鹿しさ、改憲後の未来像を訴えている(ただしなかには走りすぎあり)。

「9条の会」は、あまりにも大御所たちが揃っているため、老人の会にもみえて現実的でないイメージもあるが、逆の見方をすると、戦争を知っている人間の悔恨でもある。そして戦争を知らない世代に警告を発している。改憲しかないと考えている方には、岩波のブックレットから是非読んでもらいたい。もちろん改憲即開戦ということではないが、現在の状況をどちらが大きな視点でみているかと問われたら、現時点では僕は大江さんたちを選ぶ。


Cotton Kingdom

2005-05-14 22:11:14 | アメリカ
New York Timesによると、この1月から中国製綿ズボンの輸入はそれ以前の1500%増であり、アメリカの繊維業界は大きな痛手を負ったらしい。16000の仕事がなくなり、18の工場が閉鎖された。

かつてCotton Kingdomと呼ばれたアメリカ南部は何をやっているのだろうか?

イギリスでの産業革命の影響をうけて、アメリカ南部全域で綿花が栽培され始めたのは19世紀初頭のことだった。南北戦争を経て、北部から根こそぎ奪われたあとも、綿花だけは残っていた。その儲け方は、ずっと同じで、南北戦争以前は奴隷、20世紀になってからは、いわゆるSharecropperという貧しい境遇の人間を安価で働かせて、低価格で販売するシステムが武器だった。

しかし更に安い中国製品が入ってきた。

こういうときアメリカがやることは決まっている。入ってくる数自体を制限する。アメリカは移民の国とよくいわれるが、移民の数が大きな力になってそれ以前に暮らしてきた強い勢力を脅かすとみるや数の制限をした。その最初が、中国移民に対する中国移民禁止法(1882)であり、それを拡大したのが1924年の移民割当法(別名排日移民法)だった。

ただし新しく世界貿易機構の長になったPascal Lamyは、アメリカのこうした処置に警告している。あくまで自由貿易にせよ、ということだ。しかしアメリカは、価格操作や財産権侵害するなどのルール違反をしているとして、中国を非難している。

日本人にいわせれば両方とも自分勝手だが、アメリカ南部史好きなぼくとしてはCotton Kingdomより安い綿製品を供給する存在があることに、なんだか時代の移り変わりを感じてしまった。。。

Acela Express

2005-05-14 00:39:37 | アメリカ
アメリカの鉄道はAmtrackというが、その北東部を走る急行にAcela Expressというのがある。名前の由来は、Acceleration(加速) とExcellence(秀逸) をあわせたもので、Washington DC とBostonを結び、最高時速240キロ(理論上は256キロ)で走る。フランスのTGVと技術提携で1998年から2001年にかけて出来上がったものらしい。

そのAcela Expressが4月15日からストップしている。なんでもブレーキシステムにたくさんの傷が偶然みつかり、そのまま走っていたら大惨事に繋がった可能性がかなり高かったそうだ。「本当に幸運だった」と関係者は述べている。

こんなにたくさんの亀裂ができるまで放っておかれたのは、複雑な管轄構成にあったらしい。説明を全部読む気にはならなかったから細かくかけないが、Acela Expressは、1999年3月9日にOpenして以来、NEC(North East Corridor)全体の管轄までしはじめていて、とにかくいろいろな機関が複雑に管理しあっていたことを原因にしていた。

ストップした損害は1日に百万ドルで、このままいくと、9月30日の会計年度末までに、Acela Expressの現金予備が全部なくなることになるらしいが、やっぱり事故が未然に防がれてよかった(あの事故は考えれば考えるほどひどかった)。

日本の事故には言及なし。

Victims Culture

2005-05-11 19:34:44 | 時事
最近世界があの大戦の痕跡を思い出そうとしているかにみえる。ロシアの戦勝60年記念をはじめ、ドイツの大虐殺の記念碑ほか、国連安全保障理事会の常任理事国に立候補している日独をめぐる議論など、世界各地で謝罪をしたのしないのと騒々しい。

そのなかで目に付いたのが、英首相Blairの言葉 Victims Culture。ユダヤ人虐殺の記念碑OPENの席でドイツのトップとしてははじめて、第二次世界大戦後のソ連占領下での苦しみも吐露したわけだが、とにかく戦争を始めた侵略国がドイツである以上、そうした泣き言は口にするな、ということだ。

そうすると当然日本もそれを要求される。もちろんドイツとは違う。しかし大きすぎる犠牲を払って決定された敗戦国という認定は覆らない。我々は、100%の責任を求められる。かつて中国人と歴史認識問題で議論をしたときも、非があると決まったら、それに関係するすべての責任をとるんだっ、といわれ、そのときは応戦して喧嘩別れになったが、彼の方が世界では常識的だったということか。

それを痛感する契機になったのが、皮肉にも先日の脱線事故。現場検証の結果、あの運転手のスピードの出しすぎが主原因と判明したわけだが、原因がわかっても、あの惨事だから決着のつけようがない(金でなんとかなるものではない)。そのため、酒を飲んだりボーリングをしても怒られる。また、世の中にはあたりたくて仕方ない人がたくさんいるから、置石やJR西日本の職員が暴行をうけたりという二次災害も起こる。

そうなってくると、現在を生きて、戦争を知らない世代の人間まで、中・韓のひとが苦しんだんだから、という理由で、酒を飲むのを自粛しなければならないのだろうか(僕の場合酒はともかく読書は自粛できないかも)。

中国での反日運動が鎮まり、一連の歴史認識問題は第二ラウンドに入った。国連安全保障理事会常任理事国をめぐる協議の第一回目が行われたが、物別れに終わり、中国首相は、ソ連の元軍人と会って、対日戦勝60年を祝した。そして現在のように世界が謝罪合戦になると、問題解決の糸口は難しい。そうすると日本の世界への言い分は、先日公開した形(+中韓の歴史的事実偽造指摘+中国のインフラ整備アピールなど)しかないんじゃないかと思う。

ライチ

2005-05-04 01:02:36 | 料理
ワシミミが新入りとしてやってきたときは、ちょっとした事件だった。

そこにいる鳥はみな猛禽、つまり捕食する強者ばかりだが、このワシミミの出現によって捕食する側からされる側に立場が変わってしまったのがいる。

写真のライチ(チゴハヤブサ)だ。

彼が来てかれこれ3年にもなるだろうか。

思えば、ライチは不遇だった。生息地ではそれなりに名の通った猛禽だったのに、後輩としてやってきた、オオタカ、シロフクロウ、ハリスホークは、みな彼より強かった。きわめつけが、ワシミミだった。

僕としては猛禽最古参の威厳を保ち続けてほしかったが、無理というもの。

大きさでティラノサウルスと人間ほどの差はあるだろうか。

なによりライチの慌てぶりが、すべてを物語っていた。

モモのド迫力についあとずさり、いつのまにか止まり木の端っこにいる。そして更に距離をとろうとするからつい足を踏み外してパニくる。

大体鳥が、足を踏み外して落ちていいのだろうか?(一応鳥なんだから)

しかしあまりの痛々しさに、ツッコめなかった。

神か人か?

2005-05-03 11:07:05 | 時事
尼崎脱線事故から、一週間が経過した。

こういう事故があると、いつも思うのは、どこまでが人為的で、どこからが神(悪魔)の仕業なのか、という問い。

神か悪魔の仕業までJRの責任にしてしまうと、韓国や中国の歴史認識問題と同じく、本質を見逃してしまうし、韓国や中国を責めることもできないのではないか(被害者やその家族の方の気に障ったらすみません)。

日本だけでなく、各国メディアもこの事件の原因を分析していたが、啓発的だなと思ったのは、外国の「日本の社会に余裕がなくなっている」というもの(NYタイムズの分析だったように記憶しているが忘れた)。

その「余裕がない」という表現は、漠然としているが、社会とそれを構成しているはずの人間の間に、隙間ができて、それを埋めるために人間が追いかけている、といったイメージではないだろうか。テクノロジーの進歩や社会の巨大化によって人間が社会に振り回されているというか、社会が要求する仕事をこなすために闇雲に走って、まわりがみえていない。。。

いずれにしろいろいろな思いや思索が去来するが、大事なことは、あの被害者の無念を無駄にしないためには、みんなが立ち止まって、あの事故の本当の原因を真剣に考えることではないだろうか。何かをしながら、漠然と、あの事故のことをただ哀れだとか、メディアに出てきた家族の嗚咽を思い出してあの事故の悲劇性に思い起こすだけでなく、みんながその事件のために十分な時間をとることではないだろうか。

対決

2005-05-02 20:49:02 | 音楽
ゴールデンウィーク中にずっと確認したいと思っていたこと。

①ベートーベンの交響曲3番、イセルシュテットとフルトヴェングラーどちらがいいか?

②同じくベートーベンの交響曲1番、ワルター、イセルシュテット、フルトヴェングラーか?

③モーツアルトの交響曲40番、ワルターのニューヨークフィルか、ウィーンフィルか、ベルリン国立(1929)か、カザルスのマールボロか?(ワルターとベームの決着は着いているのでベーム不参加)

④同じくモーツアルトの交響曲39番は、BBC(1934)か、ニューヨークフィルか?

⑤ブルックナーの8、9は、クナか、シューリヒトか?

今のところ、①のみ決着、フルトヴェングラー 

アメリカメディアの中国批判

2005-05-01 18:48:44 | 時事
New York TimesWall Street Journal(後者の本文は、お金払ってないので読めなかったので産経にリンクしてます)でそれぞれ中国批判が出たらしいです(前者についての概要は、ここで)。

アメリカにとっても中国叩きは、本当の意味での中国民主化(共産党ばなれ)に役立つと考えているはずですから、ちょうどいいでしょう。ここのところ米中は世論のぶつかりあいが続いています。先月末のライス国務長官が訪中したときも、宗教の自由をめぐり、ライスがこれみよがしに教会をまわり、また、NYタイムズに情報を漏洩したといって逮捕された中国人も出ていました。こうした民衆レベルでの中国批判は、ボディ・ブローのように効いていくはずです。

いずれにせよ日本には追い風です。倭奴(ウェノム)としては、こういうのを利用するにこしたことはありません。こういうことは、日本人以外の方に言って頂くと説得力ありますから(前者は中国人自身)。そして日本でも喧伝し、あとは他国のメディアにもこういう論調をしのばせると、更によいと思います。

Sivaも、「中国と韓国の関係者各位へ」「日本の歴史教科書」で書いてますので参照してください。前者は、なぜ日本人が中韓の方の機嫌を損ねているるようにみえるのか、後者は、歴史教科書についての日本人の言い分、の説明です。