今あなたの一番近くにあるドアをあなたは躊躇なくあけられますか?
その向こうに動物園から逃げたライオンがいるかもしれないし、ヨボヨボのお年寄りがいてあなたが開けたドアで死んで殺人罪に問われるかもしれない。もちろんそこに500万円が落ちてるかもしれないし、絶世の美女が誰でもいいから結婚したいと探しているかもしれない。
少なくとも何がそのドアの後にいるかわからないのに、あなたはあけることができますか?
生きることは日々そのドアを開けていくことに似ていると思う。何が起こるかわからないが、あける勇気もしくはそんなこと全く気にしない鈍感さ(?)が必要だ。
その意味で生も死も変らないと考えるのが仏教哲学愛好家だが、今日は Suicide の話題ではない方向に向かいたい。
生きていればもっともっと満足したい。しかし未来は見えない。その不可知を認識すると、未来を知る手がかりがほしくなる。そして現在最も信用されている手がかりが科学だと思う(細木数子や江原なんとかさんというひともいようが)。
例えばDNA。
NY Times に、Huntington's Disease を宣告された23歳の女性の話が載っていた。多くは30代で発症し、痴呆症のようになる。
彼女の場合確実にきちんとした状態でドアを開けられる期間があと7年ということでそれに向けて準備している。
ほかにも読者投稿欄をみると、具体的に心配の内容が書かれている。
まずHuntington Disease が親族にいる場合検査を受けるようにすすめられるらしいが、それを受けるかどうかは自分が決める。その場合女性の回答で、私なら知りたいと回答するひとが多かった。
子供をつくっても7年後以降は面倒みられなくなるし、自分自身の生も保険や給料のことなど、それによる変化は計り知れない。
また実際にHDのDNAを持っていて、30代、40代を迎えているひとも投稿していた、「知ってよかった」と。知っていたから今彼女たちが過ごしている現在に備えることができた、と。
だけどこういうのをみるといつも思う。
結局こういうのは未来を知ったというより、情報ひとつによって時の流れに区画をつくることに過ぎない、と。
なんだか養老孟司が出てる朝日新聞のCMみたいだが、何かを知るということは自分が変るということだ。
過去・現在・未来の区分は、ハイデガーもいっていたが、そうした認識によって区切られる。
知ったことによって区分が出来て、うらみを持ったり希望を持ったり悲しんだり幸せになったり、する。
そして知ったことによって何かしらの感情や行動に移行したら、確実に知る前と知ったあとに時制の壁が出来ている。
そしてまた何かを知る。
例えばHDにかかるのは確実としてもそのほかに死においやられるかもしれない病や事故もあるはずだと知れば、気にしても仕方ないか、って奴も出てくる。
例えばHDによって子供をつくるのをやめると決めて自分は不幸だと思っても、ニュースで手塩にかけた子供がいじめで自殺した親がなきくずれるのをみたら、どちらが不幸かわからなくなる。
そして更に視界を広げると、所詮未来がわかったのではなく現在の気持ちにひとつの情報が作用したのだということがわかる。
英語に未来形がないのを知ったのはいつだったか忘れたが、なんだか小気味いい発見だったのを覚えている。
未来は結局「未だに来ていない」のだから表せる時制はない。ただ現在における未来への確信度や希望度は表す助動詞があるだけだ(だから自分の意志次第だ)と。
現在明かになった情報は、未来に向けて生きる現在の気持ちに彩りを与えるに過ぎない、と。
だから逆に過去についての情報が現在と未来に影響することも当然ある。
例えばこちらのNY Times には、同じくDNA検査で自分の人種が明らかになる話が載っている。
アメリカの大学の場合、人種や出身によって助成金が出るが、その助成金目当てに白人という申告を選ばなかったりすることがある。
そこに載ってる大学生は、80%がヨーロッパ、11%が北アフリカ、21%がNative Indians だという。
また、あるアフリカ系アメリカ人の女性は、奴隷制度下の時代、自分の曽祖父だったかそのぐらいのひとがそのスウェーデン人主人との間に出来たひとからつながってきていることがわかった。
こうした発見によって自分の人種欄に「アフリカ系アメリカ人」とか「ネイティブ・アメリカン」と書いたりするひともいれば、一喜一憂するひともいる。でもそれを決めるのは現在における「気持ち」の持ち方だ(気というのは持つものなんだね)。
そんなことを教えてくれる英文法が好きだ(なんのこっちゃ)。
追伸1:やっぱり自殺を止まらせる論にはならなかった(やっぱり Suicideの話になってしまった・・・)。
追伸2:中国やインドでクーラーなどに使われる冷却剤HCFF-22がオゾン層破壊に貢献(NY Times)。欧米では徐々に姿を消しているが、これからの数十年間特に中国で使われる見通し。
追伸3:いくら気の持ちようだからって、科学を完全に無視していいってわけじゃない。Bostonglobe によると、今最大の脅威は核兵器ではなくて、ナノテクノロジーなどのGNRテクノロジーで、このまま何もしないと、地球上の生物圏自体が破壊される。この9月にモントリオールで会議があるが、同記事は、世界の指導者があまりにこういう科学を知らないために防御策が講じられないと嘆いている。時代はもはや核が最大の恐怖ではない、と。
追伸4:第8976896回ブラームス交響曲2番選手権
①ワルター(NYP) ②ザンデルリング(ドレスデン) ③シューリヒト
1年ぶりにこういう順序に戻った。ボールトとバルビローリが耳障りに感じた。
その向こうに動物園から逃げたライオンがいるかもしれないし、ヨボヨボのお年寄りがいてあなたが開けたドアで死んで殺人罪に問われるかもしれない。もちろんそこに500万円が落ちてるかもしれないし、絶世の美女が誰でもいいから結婚したいと探しているかもしれない。
少なくとも何がそのドアの後にいるかわからないのに、あなたはあけることができますか?
生きることは日々そのドアを開けていくことに似ていると思う。何が起こるかわからないが、あける勇気もしくはそんなこと全く気にしない鈍感さ(?)が必要だ。
その意味で生も死も変らないと考えるのが仏教哲学愛好家だが、今日は Suicide の話題ではない方向に向かいたい。
生きていればもっともっと満足したい。しかし未来は見えない。その不可知を認識すると、未来を知る手がかりがほしくなる。そして現在最も信用されている手がかりが科学だと思う(細木数子や江原なんとかさんというひともいようが)。
例えばDNA。
NY Times に、Huntington's Disease を宣告された23歳の女性の話が載っていた。多くは30代で発症し、痴呆症のようになる。
彼女の場合確実にきちんとした状態でドアを開けられる期間があと7年ということでそれに向けて準備している。
ほかにも読者投稿欄をみると、具体的に心配の内容が書かれている。
まずHuntington Disease が親族にいる場合検査を受けるようにすすめられるらしいが、それを受けるかどうかは自分が決める。その場合女性の回答で、私なら知りたいと回答するひとが多かった。
子供をつくっても7年後以降は面倒みられなくなるし、自分自身の生も保険や給料のことなど、それによる変化は計り知れない。
また実際にHDのDNAを持っていて、30代、40代を迎えているひとも投稿していた、「知ってよかった」と。知っていたから今彼女たちが過ごしている現在に備えることができた、と。
だけどこういうのをみるといつも思う。
結局こういうのは未来を知ったというより、情報ひとつによって時の流れに区画をつくることに過ぎない、と。
なんだか養老孟司が出てる朝日新聞のCMみたいだが、何かを知るということは自分が変るということだ。
過去・現在・未来の区分は、ハイデガーもいっていたが、そうした認識によって区切られる。
知ったことによって区分が出来て、うらみを持ったり希望を持ったり悲しんだり幸せになったり、する。
そして知ったことによって何かしらの感情や行動に移行したら、確実に知る前と知ったあとに時制の壁が出来ている。
そしてまた何かを知る。
例えばHDにかかるのは確実としてもそのほかに死においやられるかもしれない病や事故もあるはずだと知れば、気にしても仕方ないか、って奴も出てくる。
例えばHDによって子供をつくるのをやめると決めて自分は不幸だと思っても、ニュースで手塩にかけた子供がいじめで自殺した親がなきくずれるのをみたら、どちらが不幸かわからなくなる。
そして更に視界を広げると、所詮未来がわかったのではなく現在の気持ちにひとつの情報が作用したのだということがわかる。
英語に未来形がないのを知ったのはいつだったか忘れたが、なんだか小気味いい発見だったのを覚えている。
未来は結局「未だに来ていない」のだから表せる時制はない。ただ現在における未来への確信度や希望度は表す助動詞があるだけだ(だから自分の意志次第だ)と。
現在明かになった情報は、未来に向けて生きる現在の気持ちに彩りを与えるに過ぎない、と。
だから逆に過去についての情報が現在と未来に影響することも当然ある。
例えばこちらのNY Times には、同じくDNA検査で自分の人種が明らかになる話が載っている。
アメリカの大学の場合、人種や出身によって助成金が出るが、その助成金目当てに白人という申告を選ばなかったりすることがある。
そこに載ってる大学生は、80%がヨーロッパ、11%が北アフリカ、21%がNative Indians だという。
また、あるアフリカ系アメリカ人の女性は、奴隷制度下の時代、自分の曽祖父だったかそのぐらいのひとがそのスウェーデン人主人との間に出来たひとからつながってきていることがわかった。
こうした発見によって自分の人種欄に「アフリカ系アメリカ人」とか「ネイティブ・アメリカン」と書いたりするひともいれば、一喜一憂するひともいる。でもそれを決めるのは現在における「気持ち」の持ち方だ(気というのは持つものなんだね)。
そんなことを教えてくれる英文法が好きだ(なんのこっちゃ)。
追伸1:やっぱり自殺を止まらせる論にはならなかった(やっぱり Suicideの話になってしまった・・・)。
追伸2:中国やインドでクーラーなどに使われる冷却剤HCFF-22がオゾン層破壊に貢献(NY Times)。欧米では徐々に姿を消しているが、これからの数十年間特に中国で使われる見通し。
追伸3:いくら気の持ちようだからって、科学を完全に無視していいってわけじゃない。Bostonglobe によると、今最大の脅威は核兵器ではなくて、ナノテクノロジーなどのGNRテクノロジーで、このまま何もしないと、地球上の生物圏自体が破壊される。この9月にモントリオールで会議があるが、同記事は、世界の指導者があまりにこういう科学を知らないために防御策が講じられないと嘆いている。時代はもはや核が最大の恐怖ではない、と。
追伸4:第8976896回ブラームス交響曲2番選手権
①ワルター(NYP) ②ザンデルリング(ドレスデン) ③シューリヒト
1年ぶりにこういう順序に戻った。ボールトとバルビローリが耳障りに感じた。