高級住宅街の中にかやぶき屋根の古い住宅があります。
交通量の多い道沿いで駅、診療所、図書館がすぐ向かいにある、地域の中心地です。
通り過ぎるとすぐブラモール・ヴィレッジ Bramhall Village という商店街です。
牧歌的な農村のコテージのイメージでおなじみのかやぶき屋根の住宅が町の中にあるのがちょっと意外でしょう?
てっぺんで束ねた葦が鳥の形に刻んであるのを見つけました。
グーグルしてみて、いろいろ知らなかったことを発見しました!
かやぶき屋根 thatched roof の資材に英国で現在使われているのはすべて中国、トルコ、東欧などから輸入された葦(アシ) water reed だそうです!
歴史的には葦が使われたのはイースト・アングリア周辺だけ、その他のすべて地域では収穫した後で大量に出た小麦のワラを使ったそうです。
現在、屋根葺きに適した良質の長い麦ワラは手に入りません。
手軽な建築材料だった長い麦わらが新型の農業機械のハーベスターで刈り取ると残らないために、かやぶき屋根は一気に廃れたそうです。
農業機械が普及した1960年代ごろまでは、英国の田舎ではかやぶき住宅が普通にたてつづけられていたらしいというのも驚きです。
交通量の多い通りから道沿いのかやぶき住宅の前の小道を入ると向かいにもう1棟(写真手前)。
3軒続きの長屋です。
かやぶき住宅は現在少なくともイングランドに60,000軒は残っているそうです。
そしてそのすべてが絵葉書や観光ポスターでおなじみの(上の写真に写っているような)白い漆喰壁に黒い梁のハーフチンバー建築が多く建てられた15~6世紀ごろの建築とは限らないみたいです。
田舎に多く残っているのはもちろん農業の副産物だった麦わらが地元で手ごろで簡単に手に入ったためもあるでしょうが、ロンドンなどの大都市では中世以来かやぶき建築を禁止する法令が出ていたからです。
火事を出したら瞬く間に火が燃え移って大変なことになるからみたいですね。
5,60年ごとに葺き替えなければならないので、維持が大変。
他にも、昔は田舎の農村だったらしい普通の住宅街にかやぶき住宅がけっこうたくさん残っています。