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イギリス/ストックポート日報 《England/ Daily Stockport》

イギリス北西部の歴史ある街、ストックポート Stockportから(ほぼ)日替わりでお送りする、イギリス生活のあれこれ。

シブい、クラい!アナクロニズムな設定でそれでも構成力抜群の古い日本の推理小説を英訳版をイギリスで読む

2020年07月01日 08時00分00秒 | シブい!日本語表記、日本関係なら何でもクール!
2週間ほど前の夫の誕生日プレゼントに私がアマゾンで購入した、横溝正史 作「犬神家の一族」英訳本。


英語題;「Inugami Curse 犬神の呪い」(怖いっ)

カバーデザインが秀逸です。
石坂浩二主演の映画を封切りで見に行った後、原作も読みました。45年ぐらい前(!)のことです。

子供だった私が初めて読んだ推理小説のはずです。

夫は寝る前にベッドで少しずつ楽しみながら読んでいます。

私が寝る前に少しずつ読んでいる本は....


松本清張の「砂の器」の英訳。英語題が「 Inspector Imanishi Investigate イマニシ警部が捜査する
観念的で含みのある原題「砂の器」がどうやってこんな直接的な英語題になっちゃうのか!?
Iが三つ並んでゴロが良い、英語圏でウケそうな英語題ですが。

夫が30年以上前に買ったこの古い本を最近もう一度読みかえしたあと、処分することにしたのです。
夫が読み終えた後、処分される前に前に私も読むことにしました。
松本清張は日本にいた時若かった私には「オジサンの読むもの」という先入観があって読んだことがありませんでした。

夫は推理小説を二度も読んで楽しいのか?
....はい、日本に特に興味もつながりもなかった当時と違って日本に何度か行った今 読み返すと違う発見や楽しみがあったようです。

ローマ字でつづられた日本の地名や人名にはあいかわらず四苦八苦だったようですが。

私にも日本語の人名やききなれたはずの東京に実在する地名もローマ字でつづられるとやたら長くなり非常にやっかいです!
日本語の固有名詞は漢字を見て認識しないとなかなか覚えられませんね。

テレビ放映された「砂の器」映画版を日本で見たはずですが、話は全くおぼえていません。

インターネットも携帯電話もない時代の、日本中にちらばる情報源を頼りに夜行列車に乗って現地までわざわざ行って話を聞いてくる地道な捜査の経過を追うのが楽しいです。

私が生まれる前の日本のレトロな描写もまた楽しめます。(帰宅後 着物で晩酌、銭湯、ちゃぶ台、趣味が盆栽、居間に布団を敷いて寝る、アパートの共同炊事場、バーのホステスへの偏見...等)
夫には昔の話、懐かしい...という実感が伝わらなかったらしいのが残念です。

今でも日本人がこんな生活をしていると思いながら読む英米人も少なからずいることでしょう。


そう、この「 Inspector Imanishi Investigate イマニシ警部が捜査する」を読み終わった夫が、もっと日本の小説が読みたい、と言ったので、ぐうぜんフェイスブックの私のタイムラインに入ってきた「Inugami Curse 犬神の呪い」の英米有識者多数による絶賛紹介文!(アマゾンの広告)を見て衝動買い。

今年の新訳、新出版のようです。
「クリスティに対抗できる日本のヨコミゾ Japanese answer to Cristy」というのがキャッチコピーです。

グーグルして、ずいぶん前に訳された別の出版社の旧訳版「Inugami Clan (ズバリ忠実な訳、犬神一族)」も売られていることを知りました。
菊紋が中央に配された、日本文化論か何かの本みたいな表紙が全く読む気を起こさせない愚直デザインで購買訴求力ゼロ。


繰り返し映像化もされ日本では今、知らない人はいないであろう湖面から突き出した脚!のインパクトは、英米人にとってはとてつもなく新鮮な力強さのはずです。
夫は表紙を見て背筋がぞくぞくしたと言っています。

同じ出版社から英訳の出ているもう一作、「本陣殺人事件 The Murder in the Honjin 」は、白いバックグラウンドに日本刀が刺さっている同じアーティストによるシルクスクリーンタッチのイラストです。
こっちは日本的オブジェクトを何が何でも使わずにはいられない欧米向き日本モノ マーケティングの圧力に屈したか!?という安易さで....
「脚」のインパクトには遠く及びません。まぁ、「本陣」が舞台なんだから日本刀でもいいか?

私もイヌガミの英訳版を読んでみてから、ホンジンの購入を検討します。

現代日本の小説の英訳本は今、ちょっとしたブームです。
クリスマス前にはストックポートの書店で「コンビニ人間」「旅ネコリポート」「世界から猫が消えたなら」(今、原題を確認しました)の最近の話題作がプレゼント用おススメ本のごく一部として、平積み台に高く積み上げられていました。

なぜか、最近の話題作ではない「キッチン」までありました。

その書店には「日本文学」のコーナーはありませんが、「海外翻訳本」コーナーに「Murakami(村上春樹)」の棚があります。




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