私が夫と一緒によく行くカフェがマンチェスターにあります。
タウンセンターからはちょっと離れた、オックスフォード・ロード Oxford Road、大学街にあるThe Eighth Dayという店の地下。
The Eighth Day はオーガニック製品や自然食品の専門店、ナチュラル指向で環境問題に関心のある人達にターゲットを絞ったエコロジーショップです。
1970年代からこの場所で営業しているそうです。
地下に下りる階段には「地下カフェ」とだけ書かれています。
カフェの名前は、The Eighth Day Cafe というそうです。
好きなものを選んでとってもらい、お金を払って自分で席までもっていくカフェテリア形式です。
イギリスにはとても多い、「ベジタリアン・レストラン」の草分け的存在です。
扱っているのはすべて、ベジタリアンか、ビーガン料理。
ビーガン vegan というのは日本では耳慣れない言葉かもしれません。「完全菜食主義」と訳されることがあるようです。
ベジタリアン vegitarian が「菜食主義」のことで、肉、魚貝類、そのほか動物性脂肪の使われた食品(ポークゼラチンで固められたゼリーなど)一切口にしない人たちだということは日本でも知られているでしょう。
ビーガンは卵、乳製品すらも口にしない、もう一歩先を行った人たちです。べジタリアンは全く珍しくないイギリスの社会でも、かなりな制限と自己規制を自らに強いているまだけっこう特殊な存在です。
ビーガン協会の最新の発表によれば現在(2018年4月の統計)連合王国に7%もいるそうです。(本当かなぁ)
先週行った時の日替わりメニューは...
メイン・・£5-50
•マンチェスター・ビリャ―ニ Biryani (ビリャ―ニはカレー粉とスパイスをまぶして炒めた野菜とライスを混ぜたカレー飯、ココナッツ と カ シュ―ナッツのペーストソース添え )
•ナスとピーマンとペンネ・パスタのフェタ・チーズ焼き
煮込み Stew・・£4-95
ちなみに私の夫はベジタリアンですが、正確には魚は食べる「ペスカトーリアン pescatorian」です。
ベジタリアンと一口に言っても、よく聞いてみるとペスカトーリアンだという人がけっこう多いのです。
うちの夫は、脚があるのでタコとイカ、カニがダメです。それなのにエビは食べます。サメは魚なのでだいじょうぶ(食べてみたらまずかったそうです)もちろんクジラは哺乳類なので絶対にダメ!
海産物は概して言えば、「人それぞれに決まりあり」と言ってよいのではないでしょうか。
私が食べた、マンチェスター・ビリャ―ニ。
「マンチェスター」というのは...ただ単にこの店のオリジナルの味付けなんじゃないかと思うのですが、どうでしょう。
別の日に来た時に私が食べた、私のチャナ・ダール(手前)夫が食べた、なんだったかしら、イエロー・タイ・カレーだったような(奥)
これが先週食べた、マンチェスター・ビリャ―ニ(またです!)と夫が食べたひよこ豆のダール。
各テーブルの上に、アロエの鉢植えが置かれています。売り物のようです(ぼったくりの7ポンド95ペンス!)
塩、コショウ、砂糖入れがオーガニックなドリンクのガラス瓶の再生利用なところに、店のこだわりというかイメージ戦略の巧みさが垣間見られます!
別の日に連れてきた下の息子が食べた、ナスとクジェット(ズッキーニ)とペンネ・パスタのフェタ・チーズ焼き。
地中海風のチーズ焼き以外、カレーものが多いのです。
私たち大人は、野菜のチーズ焼きのように家でも作れるものをヴェジタリアン・レストランでお金を払って食べるのはちょっともったいない気がするので、スパイスの効いたエキゾチックなエスニック料理を選ぶことにしています。
食べ物に関して宗教的タブーのある国々で発展した「カレー」類はもともと、肉を使わないベジタリアン調理のものが多いようですね。
日本のカレーソースは、小麦粉を茶色く炒めたルーが基本ですよね。それをのばしたクリーミーで肉のエキスが溶け込んだこってり濃厚なソースを期待しますよね。
肉が入っていないと、だまされた気がしませんか。
イギリスでとても一般的で、どこの町にもたいていはある、インド、パキスタン人の経営による「本格」インド料理のレストランや「テイカウエイ(持ち帰り)店」では、実にたくさんの種類の定番カレーソースがあるのです。
ヨーグルトやココナツミルクが溶いてあったり、トマトやホウレン草、豆、煮崩した玉ねぎがベースのものに独自のスパイスがきいている、必ずしも濃厚でこってりしているとは限らない、色も食感も、辛さも、そしてもちろん味も多種多様なソースのバラエティです。
いずれも、(全て調べて書いているわけではありませんが!)インド料理のレストランのカレーソースのベースには肉類が使われていないはずなのです。
だから夫のようなべジタリアンも安心して楽しむことができます。
それぞれ、地方色のある独自の肉なしソースに、ラム(子ヒツジ)や海鮮類、チキン、ベジタリアンなら野菜のみ、の好みの具を入れて調理してもらえます。
ポークとビーフはインド/パキスタン料理ではタブーのようで、イギリスで食べられる本格カレーに入っていることは絶対にありません。
ストックポート日報で取り上げる機会がなかったのですが、我が家も含め、インド料理はイギリスの家庭の外食定番なのです!
そのうち特集をしましょう。
それはともかく、このヴェジタリアン・カフェ、カフェテリア形式のセルフサービスのわりには、お値段高め...です。
客層は、比較するのが気後れしますが...例えば、マクドナルドなどと違って、知性的な専門職タイプ(場所柄から、大学関係)な人が多いのです。
太った人を見かけません。マクドナルドでみかける大人は半分ぐらいが肥満しているのですが...
28年ほど前、このカフェのあるオーガニック食品専門店のまわりに校舎が点在するマンチェスター・ポリテクニックに通いました。
当時は、今のような明るくおしゃれなカフェの作りではなく、インドでヨガの修行でもしてきたような人(白人のみ)がはいるような、暗くて排他的な雰囲気でした。
環境問題に関心のある年配のイギリス人に連れてきてもらい、お昼をごちそうになったことがあるのです。
謎めいたエスニック料理に交じって「トーフーバーガー」があったので、注文しました。
日本食と言えばスキヤーキー、テンプーラー、日本文化と言えば、フジヤマゲイシャ、空手に禅の時代です。(ちょっと大げさ!)
とろみのある照り焼きソースのかかった日本風の豆腐ハンバーグを期待したのですが、出てきたものはオカラを薄くまとめて塩焼きにしたようなものすごくまずい代物でした。今のような、見て選ぶカフェテリア式ではなかったと思います。
それ以来、ヴェジタリアンの今の夫と結婚するまで20年以上ご無沙汰でした。
その間に、明るくおしゃれで開放的なカフェに改装されていたのです。
当時よりは「おしゃれに外食」文化が根付いているイギリスです。
舌の肥えた(?)世界の味に精通する文化的な客層を意識して、メニューも改善されたのかもしれません。
カリビアン風炒め物、ハンガリー風グラッシュ、トーフーカレー、キンピラゴボー炒め、ベジタリアンチリなども日によって作っているそうです。
2年前にストックポート日報に載せた、「すべりやすい濡れた床」警告標識。
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