帰ってきたヒトラー

2016-07-15 09:40:06 | Movie
自殺したヒトラーが、何故か現代によみがえる。周りの人々は、ヒトラーそっくりの芸人だと思い込み、TVに出したところ人気爆発。政治ネタのコメディアンとして成功しながら、人々の心をじわじわとつかみ、いつの間にか全体主義の足音が聞こえてくるという、ブラックコメディ。

今までのヒトラー像は「変人かつ極悪人」という描かれ方が多かったが、本作では「変人かつ魅力的、ただし時折残虐さの片鱗をみせる」という描かれ方をしている。
ヒトラーの悪逆行為は、ヒトラー台頭時にはわからなかったのだから、このような描き方をすることで、戦前のドイツ人の感覚を再現するという発想は非常に斬新である。
本作のヒトラーの変人ぶりは、観ているだけで面白いが、いざ演説となると、間のとり方も巧みで迫力満点、難民問題のように皆がタブー視して本音を言えない事柄でも、どうどうと言いたいことをウィットを交えながら鋭く追及し、非常に魅力的である。
残虐性を時折見せることで危うさを醸し出しているが、ちょっとぐらいであれば、許容してしまうのも仕方ないだろうと思わせる。
ヒトラーの「政治家にとって人に話を聞いてもらうことが重要で、そのためにはコメディアンになることは全く問題ない」というセリフは鋭い。民主党の岡田代表の演説などとても聞くに堪えず、安倍総理のユーモアたっぷりで説得力のある巧みな話術の足元にも及ばない。野党は聴衆の心を掴むにはどう話せば良いか、真剣に考えるべきである。

現代によみがえったヒトラーの説得力のある右寄りの発言を終始流しことで、逆に危険性を訴えるという点で、非常によくできた映画である。
こういう映画を作って上映できるという点で、戦後ドイツの懐の深さを感じる。日本で、東条英機や昭和天皇をネタに、こういう映画は作れないだろう。
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インデペンデンス・デイ: リサージェンス

2016-07-15 09:26:52 | Movie
バカバカしいことを情熱をこめてやるエメリッヒのスタイルは好きなのだが、本作では今までの情熱が感じられなかった。
もしかしたら2Dで観たのが失敗で、3Dや4DXで観たら、楽しめたのかもしれない。

エイリアンが襲ってきて、反撃するが失敗し、どん底から再反撃して万々歳という、流れは前作と同じなのだが、本作では前作で襲ってきたエイリアンのテクノロジーを使って地球側が武装するという設定のため、エイリアン側との戦力差がいまいちで、悲壮感がないため、ラストのカタストロフィ感にかける。

しかし、本作に限らず、スターシップトルーパーなり、エンダーのゲームなり、地球人類と異なる発展を遂げたエイリアンは、どれも昆虫型で一匹の女王蜂が全体を支配していて、最終的に不利な状況で、主人公が全体を統制している女王蜂的存在をやっつけると、他の敵は全て戦闘不能で一発逆転というスタイルは、さすがに飽きる。

日本の漫画やゲームなどによくある、敵の四天王的存在を、味方が一人ひとり犠牲になりながら倒し、主人公とラスボスの決戦というパターンの方が、面白さがあるのだが。
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