生存者ゼロ

『このミス』大賞とのことで、なんか凄そうだと期待して読んだが、読んでいるうちに文章がプロのものとは思えず、アマチュア発掘用の賞だったことを後から知った。
原因不明のパンデミックが発生し、北海道沖の基地が全滅する。その後、感染が北海道の小都市へと飛び火し、次々と被害が拡大していく。そして、札幌に迫る壊滅を防ぐために自衛隊が出動するというプロットは面白いのだが、ステレオタイプ描写の無能な政治家によって被害が広まり、それに対抗して独自で活動する自衛隊員の主人公チームという構図があまりにもひどすぎる。主人公チームに魅力がなく感情移入できず、政治描写にも全くリアリティがない。パンデミックの原因・対策ともにご都合主義で、突っ込みどころが満載。

大賞選考の理由で、高野和明の「ジェノサイド」に匹敵と言っているが雲泥の差。全く比較にならない。こういった賞を取ってデビューし、その後、何年も生き残っているプロの作家は、やはり凄いのだと感じた。

生存者ゼロ (『このミス』大賞シリーズ)
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