事業仕分けが華やかである。仕分け人の主宰者である枝野行男氏が書いた「事業仕分けの力」という本を読むと、彼らが本当に真剣に、日本のことを考えてやっているのはよくわかる。また、多くの国民に関心を持たせたことは評価できる。
しかし、いいことをやっているのに、理念がなく、選び方が思いつきで、どうしてもパフォーマンスが先行してしまい、もう一つ評価できないのだ。
別に与党なのだから、何かを改革しようと思えば、議員が国会を通じて発案したり、あるいは大臣が必要な指揮命令を行ったりすればいいだけのことである。
それを(以前指摘した)何の資格も持たない人たち(国会議員については枝野氏も著書の中でそれを認めている。)があれだけ騒いでいればパフォーマンスと言われても仕方がないだろう。
ところで、この事業仕分けは国の外郭団体も対象にしているが、特殊法人はまだしも、公益法人など形式的には民間団体と同じである。いったん彼らのお金になってしまうと思い切った法制度を作らない限り統制はなかなか難しいので、まずは資金の入口を断たないといけない。
前にも書いたが、地方公共団体には住民監査請求や住民訴訟があり、厳しく住民の批判にさらされるのに、なぜか国にはこういう制度がない。地方は信頼できないが、国は信頼できるという考えであり、誤った考えである。国にもこうした制度があれば法人への支出金も対象になり、別に事業仕分けをしなくても目的が達せられると思う。