市街・野 それぞれ草

 802編よりタイトルを「収蔵庫編」から「それぞれ草」に変更。この社会とぼくという仮想の人物の料理した朝食です。

わが町内商店街

2005-05-18 | Weblog
 毎朝、7時には、箒を手にして軒下を清め、商品台に商品を並べて開店の準備に余念のない店主に会える。開店して半年近く、今朝もその働きぶりは変わらない。今や、めったに客も来なくなった。この店はかりん糖だけを売る間口2間のお菓子やさんで、京風かりんとう、江戸かりんとう、生姜、沖縄黒糖、わさび、七味唐辛子、竹炭、きんぴら牛蒡かりん糖というのまで、想像もできない各種かりんとうのビニールの袋詰めがきらきらと照明を反射している。ご主人一人が、まじめに店内でなにかしている。そして、こっちもなんか悲しい気分になる。

そのご主人とは、ぼくの愛想のない犬(シーズ)を二人の足元に置いて、短い会話をする。ぼくも絶対、景気はどうですかとは言わない。見ればわかることだから。でも毎回話題は妙に生まれてきた。このかりん糖店の先には、鉄筋アパートの一階に花やさん、食堂、パンやさん、ラーメン店と並んでいる。ラーメン店でも、店員さんが軒下にテーブルとベンチを出して並べ、コンクリートの床を掃き、花の鉢を並べている。ここも、いつ来客があるのか分からぬほどである。しかし、いつも開店準備に生き生きした熱気が感じられる。その仕事振りもまた信じられない光景となって目に映る。

この通りは、わが町内の中心商店街である。イオン宮崎SCが、明日グランドオープンしても、何の影響もないであろう。客がこれ以上減りもしないだろうし、もちろん増えもしないだろう。かりんと屋さんを別にして、どの店も10年近く営業をつづけているから、これからも変化はなしだろう。住宅と混在しており、必需品のような店かもしれない。学校が近くにあり、小学生の通路に当たるので、犯罪の抑止力にもなっている。しかし、そんなことはだれも言わぬし、考えもしない。日常風景のなかに溶けてしまった商店街である。

イオン宮崎がプレオープンして三日目だ。橘通3丁目のグリーン茶だけの喫茶店に午後はいた。二人だけ、2時間あまり午後4時まで来客は一人も無かった。イオンのせいかもと言っていた。この中心商店街は影響が避けられないだろう。それでも商店が、住民の必要なら残るし、不必要なら消えるだろう。ほんと考えると話は単純極まりない。中心市街地の問題がにわかにやかましくなってきたが、今さら外部が頭だけで考えても仕方がないことかもしれない。
コメント
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