市街・野 それぞれ草

 802編よりタイトルを「収蔵庫編」から「それぞれ草」に変更。この社会とぼくという仮想の人物の料理した朝食です。

また一つ悲しい風景が・・・

2005-05-10 | Weblog
 上野町界隈については、前に書いたが、また一つ悲しい風景画が添えられた。この界隈は1月5日、7日、9日と宮崎迷所案内ソープランド灯台(ヘンリー岬灯台)で憤激を漏らしているので併せ読んでいただきましょう。この一角の路地の奥に、「江戸っ子」というてんぷら屋がある。昭和29年開店であるから、51年もこの場所で、開店当時のままの面影を残して今日まで営業をつづけている。県外からの知人が来ると、いつもここに案内して来た。こんな美味いてんぷらがあるのかと、みな驚いて宮崎市をほめた。

 ひさしぶりにこの路地に行ってみると、江戸っ子の店の西壁まで、路地のなかの店が引っ剥がれていて駐車場に変わり、日中の太陽がかんかん反射しまくっていた。べったり張られた塩化ビニール製の西壁が涙のように光っていた。バカにしやがって!なにもかも台無しになっているのがわからんのだろうか。宮崎市でわずかに生存していた路地を殺してしまったのだ。

 幸い店は営業をつづけていた。ご主人もあまり前とかわらぬ粋な格好でてんぷらを次男と揚げていた。こうなったら、金儲けなんかどうでもいい、維持し続けると腹をくくっていた。その気持ちにぼくもほっとできた。聞くと、道路拡張工事のため、道路に接した家屋を取り払ったそうである。両サイドに歩道を広げ、ヘンリー岬灯台まえのカラー舗装道を南へ延長する工事という。

 人も歩いていない道路になんで歩道をわざわざつけるのだと、ぼくも腹がたってくる。綺麗にしたいという気持ちじゃないですかと主人は言う。綺麗というなら、この半世紀の時間をたたえていた路地の光と影のほうが、ほんとうの美しさじゃねえですかと、おたがいに憤激するのであった。

 景観をつくるとうのは、バカがやると最悪である。また多数決で景観を決めるというのは、ゼロ×多数か、場合によってはマイナス×多数でしかない。ここにまた悲しい風景画が一つ増えたことを報告する。


 
コメント
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