東京近郊とは思えない翠濃い箱根山麓の自然に囲まれた
奥湯河原に立つ山翠楼は格調高い純和風数奇屋造りの料理旅館だ。
創業は昭和8年。今は隣りの超高級料亭旅館「海石榴」、
「きたの風茶寮」北湯沢「緑の風リーゾト」函館「海峡の風」
洞爺「乃の風リゾート」を運営している野口観光グループに属している。
玄関を入ると路地廊下の奥にワンポイントディスプレーとして
赤と紫のライトアップされた番傘が迎えてくれる。
これはとても目について印象に残った。
聚楽第の玄関広間とそれに続く廊下、階段。ここだけでも
充分数寄屋造りの味わいを楽しむことができる。
寛ぎの序章がここから始まる。
聚楽第の2階にある明るく広々したロビー。女将が生けた
四季折々の花が迎えてくれる。「行雲流水」行く雲のように
流れゆく水のようにゆったりとした時のうつろいの中で
至福の時を過ごすことができる。
聚楽第から桃山第へ。山翠楼は8階建の聚楽第、
7階建の桃山第、6階建の常磐第、4階建の源氏別階と
4棟の造りからなっていて、動線はかなり複雑で分かりにくい。
黒御影石に縁取られた伊豆石の浴槽の大浴場。
岩風呂の露店風呂もある。湯河原温泉の湯は無味無臭透明の
弱アルカリ性。柔らかい泉質で肌に潤いを与え古来より
薬湯として神経痛、筋肉痛、関節痛、冷え症に効くといわれている。
空の蒼、山の碧とのキャッチフレーズ、山を一望する
展望露天風呂「大空」。湯船は3つあるが1つは修理中であった。
正に「行雲流水」の気分が満喫できる。気持ち良い露天風呂だ。
総会会場と部屋。この総会会場は2次会の会場にも成った。
売店賢木。朝食で出たあじの干物、宴会で出たゆば造りなどが
売られている。隣りには不思議とどこの旅館、ホテルにもある
洋服売場があった。どうして温泉で洋服を売るのだろう?
これが宴会場の全景。団体旅行のいつもの定番光景だ。
団体宴会料理なのに懐石料理だ。うれしーねー。
冬のお献立「薄雲」。山翠楼総料理長主藤誠一。
横には皆様のご厚情への感謝を込めてと書かれている。
全部で12種のお料理が始まる。
先付 自家製引き揚げ湯葉 温かい湯葉たれと共に
前菜 サーモンかぶらマリネ(北海道産)ゆば寿し(自家製)
インカのめざめ揚げ(十勝産) 白花豆甘納豆(北見産)
にしん甘露煮(石狩産) 法蓮草辛し浸し(西麓三島産) 金柑蜜煮(日南産)
椀物 ほっけ真薯 ほうぼう(駿河湾産) 本海老(駿河湾産)
北寄貝(苫小牧産) ハシキンメ(駿河湾産)
伊豆天城の本山葵を添えて自家製の造り醤油と特製煎り酒
炊合 江戸前穴子としぼり豆腐の淡雪仕立て
鍋物 駿河湾産 赤魚と美味鶏のトマトブイヤベース風
お好みでクリームチーズ
蓋物 山翠楼名物 鯵丸と鯛の吉野仕立て
止椀 湯河原産 油揚げと玉麩の赤出し
香物 登別藤崎わさび園の鬼漬
自家製香の物(自社ファーム長芋ゆかり粉漬西麓三島産蕪甘酢漬
尾張産ラディッシュ北海道産 ヤーコン味噌漬)
御飯 北海道産 ゆめぴりかの釜焚きご飯
デザート自家製デザート三種(北海道産 じゃが芋アイス
湯河原産 豆乳みかんゼリー 百合根ぜんざい 塩昆布)
前に座ったコンパさんが、ピョンチャンオリンピック女子
カーリングチームの1人に似ていた。どうですか?そだねー。
これが一番楽しみの朝食のお献立
国産食材で旬と地場産に拘っているとの事。
口初め 自社農園のぐち北湯沢ファームのトマトジュース
小付 自社農園大豆「ゆきほまれ」の納豆
口取り 料理長特製出汁巻 伊豆天城の山葵漬
小田原の蒲鉾 浜松産小松菜のお浸し
伊豆原木椎茸と北海道産塩辛の和え物
由比産桜海老昆布 沼津港のたたみ鰯 自家製湯葉煎餅
焼物 伊豆伊東まるたつの鯵の干物
向付 駿河湾産真鯛のカルパッチョ
炊合 駿河湾産釜揚げしらす飛龍頭
香の物 自社農園産長芋とろろ 自家製香の物と小田原曽我梅林の梅干
温物 「山翠楼名物」自家製豆乳豆腐のあおさあん
フルーツ 青森産林檎ふじの焼蜜煮 湯河原みかんソース
そしてこれが全て朝食御膳です。やはり山翠楼は料亭旅館といわれるだけ
朝食も立派な懐石風でした。それにしてもお献立の
細かい書き方は料理長の性格が表れている気がする。
山翠楼の名物の1つが、引き揚げ湯葉。この製造が
売店賢木の1角で実演されていた。熟練の職人さんが1枚1枚
丁寧に仕上げていた。湯葉決して作り置きしないそうだ。
山翠楼の前には藤木川が流れ、春の訪れを伝えるように
白梅が咲いていた。この手前の坂道を登ると左側に超高級
料亭旅館「海石榴(つばき)」がある。
ここは、情緒溢れる美しい佇まいを楽しむ超高級料亭旅館。
歳時記とともに味わう日本食の美と文化。目前に広がる
箱根外輪山の稜線と眼下に広がる池庭で四季を愉しむ
「本館」と奥まった渓谷沿いの千坪の敷地に、わずか5つの
客室のみをしつらえた最高級客室「迎賓館」の2つのタイプの部屋が
用意されている。ここの屋号は湯河原を代表する花木である椿の
古語からつけられてたという。いつか一度は泊まってみたい旅館の1つだ。