興味津々心理学

アメリカ発の臨床心理学博士、黒川隆徳によるあなたの日常の心理学。三度の飯よりサイコセラピーが好き。

大人のいじめについて

2017-09-02 | プチ臨床心理学

今回はソラさんから、大人のいじめについてご質問をいただきました。

ソラさん、ありがとうございます。 

以下がソラさんからのご質問の引用です。

「大人のいじめなどする人に対して嫌な質問は何ですか」

 ご質問内容が大変シンプルであるため、いろいろな方面の可能性があり、回答の方向性も広範ですが、今回もコンテンツが拡散し過ぎぬよう気をつけながら考えてみます。ソラさんの質問の意図に沿った回答ができればよいのですが。

まず、「嫌な質問」とありますが、とりあえず、より広い可能性を考えてみたいと思うので、「嫌な質問」を「言動」に置き換えて考えてみたいと思います。

あらゆるいじめについて多くの場合言えるのは、加害者側は、被害者に言葉にしろ暴力にしろ、直接的であれ間接的であれ、危害を加える事で被害者から何らかの報復を受ける可能性が皆無であるか、非常に低いであろう事をほとんど無意識的に想定しています。言うなれば、加害者にとって被害者は「安全」なのです。危害を加える事に対する報復で自分自身が心的・物理的・社会的・経済的にダメージを受けることがない、という前提です。

つまりこの前提が覆されるような言動を取れば良いのです。それでもしばらくは続くかもしれませんが、加害者もその度に何かしらのカウンターアタックを食らっていては徐々にしんどくなってきます。加害者は、いじめることで、心的ストレスを解消したり軽減したりしているわけで、これは精神分析学では置き換え(displacement) という防衛機制で、加害者が本来怒りを向けるべき対象に怒りを向けることが不都合であるために怒りを向けても安全な対象に怒りをぶつけるわけです。

平たくいうと、八つ当たりの心理です。

上司から怒られたうっぷんを家に帰って妻に向けている夫は、従順な妻に何をいっても大丈夫だと思っています。しかしある日妻が、「こんな扱いにはもう耐えられない。離婚してください。実家に帰ります」と言い始めることで大慌てです。妻をいじめる事に、離婚という大きな代償の可能性が出てきたわけです。

以下も全くのフィクションですが、AKB48の指原さんが大好きな和明さんのことを、同僚の義一さんが、いい歳して、とか、心無いことを言って馬鹿にします。和明さんは、義一さんに言われるままになっていましたが、ある日、耐え切れずに、「私にどんな趣味があろうと、それは私の自由であって、あなたには関係ない。どうして会社で私の趣味というプライベートなことについて、あなたにそんな風に言われないといけないんでしょう。そんなのは言葉の暴力であって、人権侵害です!」と、フロア中に聞こえる声で言い返すと、義一さんはとても気まずくなり、以来和明さんのサッシー好きをからかうことはなくなりました。

ソラさんの最初の質問に戻ります。

「大人のいじめなどする人に対して嫌な質問は何ですか」

この質問について、簡潔に回答するのではなく、あえてこのように延々と書いたのには訳があります。

大人のいじめをする人を、かえって嫌な気分にさせる質問であれは、実はいくらでも思いつきます。

加害者に恥をかかせたり、加害者を傷つける質問です。

しかし、それはお勧めできません。加害者の破壊的な言動に対して、こちらも破壊的に返していては、憎しみが憎しみを呼び起こすだけであり、問題を解決するどころか、新たな問題を作り出すことになります。

そのような加害者の土俵の中には入ってはいけません。

そういうわけで、加害者の土俵に入らずに、加害者の問題ある言動をやめさせる方法についてお伝えさせていただきました。







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