興味津々心理学

アメリカ発の臨床心理学博士、黒川隆徳によるあなたの日常の心理学。三度の飯よりサイコセラピーが好き。

Open-ended questions

2009-02-25 | プチ臨床心理学
 世の中のあらゆる質問は、Open-endedとClose-endedの二つに分けられる。
 たとえばあなたの友人が旅行から帰ってきたときに、「楽しかった?」と聞くのがClose-ended question (閉ざされた質問)であるのに対し、「旅行はどうだった?」と聞くのがOpen-ended question (開かれた質問)である。

 我々サイコセラピストが通常使うのはOpen-ended questionだけれど、それはOpen-ended questionが、文字通り、回答者に自由で広範な(つまりOpenな)回答の機会を与えるからだ。
 
 Close-endedな質問では、「うん、楽しかった」で終わってしまうかもしれないが、Open-ended questionでは、「楽しかったよ。渋滞が酷かったけど食べ物がおいしくて空気がきれいで景色もすっごいきれいだった」というより多くの情報がでてくるかもしれない。そして会話はさらに促進されてゆく。

 これは日常のいろいろなところで役立つもので、誰かが困っていて悩みを打ち明けてきたときなどに、ところどころでOpen-ended questionをしていると(アドバイスや判断を急がずに)相手はどんどん心を開いてくるし、その人のことや悩みの本質などがよく分かってくる。

 しかしOpen-ended questionは万能なわけではなく、その失敗例が上記の写真である。

たわ言、ざれ言など

2009-02-22 | 戯言(たわごと、ざれごと)
 ずいぶん長いことほとんど放置状態にあるこのブログ、『興味津々心理学』は、執筆者とはもはやほとんど独立した形で存在し続けている。普段、ほとんど忘却の彼方にあり、(最近は少しましになってきたが)一ヶ月に一回ぐらい、何かの加減でふと思い出してログインしてみるのだが、驚くことに毎日30人、一週間で200人ほどの閲覧者がいる。一応毎日ログインしてはいるミクシィは、最近では一日0人、一週間で7人ほどなので、なかなか皮肉なものである。

 それにしても、なぜ一年以上もアップしていないブログがこのように途切れることなく毎日誰かに読まれ続けているのかが不思議であり、この状態が一年以上も続いていると、その読者の方たちにも、それから放置している我がブログに対しても、なんだか申し訳ない気持ちになってくる。いまや自分のサイバースペースにおける執筆意欲は無に等しい(などと言いつつ今日はこうした散文を書いている)。
 それから、一年とちょっと前まで狂ったように書いていたあの大量の文章を目の前にすると、慄然とするのだ。これらを本当に自分が書いたのだろうかと。

 そうした過去の自分の文章との乖離を感じながらもたまにいただくコメントをきっかけに読み返してみると、自画自賛はできないけれど、それほどひどいものでもなく、やはり残して置こうとも思えてくるし、また時間を見つけて書いてみようかなとも思う。今ならもう少しましなものが書けそうな気もするけれど、過去の無知ゆえの怖いもの知らずな勢いがあったゆえに書けていたであろうあのノリの文章は今や到底書けそうにない(たとえ書けても書きたくもない)。

 ただ、いずれにしても、不特定多数のひとに向けて書かれた過去の自分の文章というのは、しばらく時間が経ったあとで読み返してみるといろいろな感想がでてくるもので、それだけでもあながち無駄なことでもないように思う。なんだろう、この感覚。サイバースペースという漠然とした空間に、出来損ないの自分の分身がふらふらと彷徨っているような。砂の城。出来損ないのオブジェ。でもそのいびつで不完全なオブジェはどうしてなかなか憎めず、破壊することもできない。