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小田博志研究室

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かの人を我に語れ、ムーサよ・・・

2009-11-27 | インポート

 古代ギリシアの吟遊詩人ホメロスは、『オデュッセイア』をこう語り始めた。

 ムーサとはパルナッソス山に住まう詩と音楽の神である。ミュージック、ミュージアムなどの語はここから来ている。また「パルナッソス山に登る」という英語の言い回しは、「文芸の世界に入る」という意味となる。

 ドイツ留学時代、ナラティヴ(物語的)アプローチを模索していた僕は、休暇でパルナッソス山の麓のデルフィまで行ったことがある。ホメロスが「ブドウ酒色」と形容したエーゲ海を眺めながら『オデュッセウス』を読む贅沢。

 ホメロスは作者というより、むしろムーサ神が降ろす物語の受け皿のようである。

 辻邦生も『背教者ユリアヌス』でこの語り始めの言葉を引用して、古代ギリシアの物語の伝統に立たんとした。

 縁あって12月15日(火)に平成遠友夜学校での講義を依頼された。タイトルは「ハンス・パーシェの物語―いかにしてあるドイツ人海軍士官が平和主義者になったか」。ムーサは僕を通してどんな物語を語ってくれるだろうか。18時30分から北海道大学遠友学舎にて。入場無料。


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