(北海道新聞夕刊<魚眼図>2013年2月26日掲載)
「円満」を形にするとこうなるのか、と思った。
それは一本の木から彫り出された仏像で、造形はシンプルそのもの。それが、これほどに澄み切ったエネルギーを放っている。まるで生きているかのような柔和な表情。その魅力にひきつけられ、なかなか離れられなかった。
この薬師如来立像と会うことができるのは、東京国立博物館の特別展「飛騨の円空―千光寺 . . . 本文を読む
(北海道新聞夕刊<魚眼図>2013年2月21日掲載)
とても面白い本がある。「そうだ、葉っぱを売ろう!」(ソフトバンククリエイティブ刊)がそのタイトル。
農林業の衰退、若者の流出、高齢化と過疎化。日本の山村に典型的なパターンを、四国・徳島県の上勝町(かみかつちょう)もたどっていた。そこに農協職員・横石知二氏が着任する。彼はそこで地域活性化の模索を続けた。特に女性や年寄りにも出来る仕事を探 . . . 本文を読む
(北海道新聞夕刊<魚眼図>2013年2月1日掲載)
古来、海は道であった。船によって人とモノが行き来し、島々や沿岸の町が結びつけられて、独自の海域世界が生まれた。地中海しかり、インド洋しかり。
瀬戸内海もまたひとつの海域世界を形づくった。それは単に沿岸地域を結んだだけでなく、江戸時代に朝鮮や琉球からの使節団が通過したように外へも開かれていた。そうした交流の結果、瀬戸の島々はそれぞれ豊かな . . . 本文を読む