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小田博志研究室

研究情報とブログを掲載

災害エスノグラフィー

2009-01-17 | インポート
 本日のNHKスペシャルを、わが意を得たりの思いで見た。  「阪神・淡路大震災 秘められた決断」というタイトル。  実質は「災害エスノグラフィー」の紹介だった。  「阪神・淡路大震災」という未曽有の災害現場で、消防団員や自治体職員が何を体験し、そのときどんな問題に直面し、そしてそれにどう対処したのかについて調査した結果を、発生14年目の今日振り返るというもの。  長田区の職員が住民に食糧配 . . . 本文を読む

『「女の仕事」のエスノグラフィー』

2009-01-12 | 学問
 『「女の仕事」のエスノグラフィー―バリ島の布・儀礼・ジェンダー』、中谷文美著、世界思想社、2003年  これは現代的エスノグラフィーの優れた実例です。エスノグラフィー入門者にはお手本として、ぜひ読むことを勧めます。  著者は、現代日本で「働く女性」に向けられがちな問いからこの本をスタートさせます。  「あなたは、なぜ働くのですか。」  この問いは男性には向けられません。働くことが当たり前 . . . 本文を読む

「氷海の伝説」

2009-01-06 | 映画
 2001年カナダ、監督:ザカリアス・クヌク、主演:ナタール・ウンガラーック、シルヴィア・イヴァル  イヌイットのスタッフ、イヌイットのキャスト、そしてイヌイット語のセリフで映画を作るという斬新な企画。「足の速い男」の伝説を映画化したものだ。これが実現されたことがまずすごい。  観ている内に、イヌイットの生活にすぐ近くで接しているような不思議な感覚に襲われた。それは見慣れたヨーロッパ的な映画の . . . 本文を読む

『静かな大地』

2009-01-04 | 北海道
 池澤夏樹氏による小説。2001年から02年にかけて朝日新聞に連載され、04年に単行本として出版された。最近では文庫にもなっている。  僕はこれを単行本になって間もなく読み、その多声的な語り口と、アイヌの視点を織り込んだ位置取りに感銘を受けた。  昨年の秋、縁あってこの小説の舞台、静内を訪れた時に再読し始めた。エスノグラフィーを書く技法としてのポリフォニーを学びたいと思ったのだ。小説を読む時間 . . . 本文を読む

『暴力と和解のあいだ』

2009-01-03 | 学問
 あけましておめでとうございます。  といってももう1月3日。僕はふだんじっくりできないまとまった原稿書きや読書をして過ごしています。その中で読んだ一冊をミニ書評します。  尹慧瑛(ゆん へよん)さんによる 『暴力と和解のあいだ―北アイルランド紛争を生きる人々』です(法政大学出版局、2007年)。これは2002年に一橋大学に提出した博士論文(『北アイルランドのユニオニズムにおける自己表象:「包 . . . 本文を読む