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小田博志研究室

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『エスノグラフィー入門』正誤・修正表/関連情報

2017-05-08 | 研究・教育

『エスノグラフィー入門―〈現場〉を質的研究する』(春秋社)を補強する特設ウェブページ
作成 小田博志、 開設 2010年4月26日/更新 2024年7月26日

『改訂版 エスノグラフィー入門』が2023年に出版されました。そのまえがきと修正項目一覧は以下の通りです。
『エスノグラフィー入門』改訂版まえがき.pdf
『エスノグラフィー入門』改訂項目一覧.pdf

以下の正誤・修正表は2010年発行の旧版に関するものです。

正誤・修正表

反映された刷数ページ/行 (↑=下から)空行は数えません
2i/↑2方法方法論
2iv/10他者との関係をつくる力。(削除)
411/9もある。もあります。
411/↑5「現場哲学」といってよいかもしれません。「現場哲学」の方法論といえるでしょう。
313/1「調査」とは「調査」とは、(読点の挿入)
417/6傾向があります。傾向です。
517/↑8(マリノフスキー1967)(マリノフスキー2010)
617~18マリノフスキーマリノフスキ
423/3ここでまずモシ王国ここでまず、モシ王国
223/4人の数を数えないということを人の数を数えないということの意味を
231/8しょっしょっしょっしょっしょっしょっしょっ
433/1エスノグラフィー。しかしエスノグラフィーですが、
336/6(他のページも同様)「女の仕事」のエスノグラフィー「女の仕事」のエスノグラフィ
539/↑10(B・マリノフスキー/寺田和夫・増田義郎訳1967中央公論社)(B・マリノフスキ/増田義郎訳2010講談社)
539/↑3‐40/3旧訳からの引用新訳と差し替え
540/3(p.150)(p.126-127)(*引用文に修正あり)
 45/6http://www13.ocn.ne.jp/~hoda/http://skyandocean.sakura.ne.jp/
246/9つきまといます。あるつきまといます。(改行)ある
246/11-12「本質主義」といいます。(改行)しかし「本質主義」といいます。(改行なし)しかし
246/↑3ダクラス・ラミスダグラス・ラミス
251/3実証と理論的の実証と理論の
461/6医療、経済医療・経済
262/9⑧テーマを探す⑧テーマから探す
265/9KinchenasylKirchenasyl(nをrに訂正)
 71/11「GeNii(ジーニー)」(http://ge.nii.ac.jp/genii.jsp./index.jsp「CeNii(サイニー)」(http://ci.nii.ac.jp/
 71/12http://www.ne.jp/asahi/coffee/house/ARG/http://www.arg.ne.jp/
 71/13(ともに2010年3月参照)(ともに2016年4月参照)
472/12文献を見つけましょう。文献を見つけ、表にまとめていきましょう(>>p.133)。
279/↑5許可を得て許可(太字)を得て
 85/6http://wwwsoc.nii.ac.jp/onjasca/ethics.htmlhttp://www.jasca.org/onjasca/ethics.html
 85/7-8American Anthropological Association the Code of Ethics
http://aaanet.org/issues/policy/advocacy/Doce-of-Ethics.cfm
American Anthropological Association: Ethics Resources
http://www.americananthro.org/ParticipateAndAdvocate/Content.aspx?ItemNumber=1895
298/10友好な入り方有効な入り方
2120/1棚田を「守り」する棚田を<守り>する
2127/↑7工夫がな,され工夫がなされ
4129/10その影響力は、それは、
5130/↑5考えることになります。考えます(方法論の先行研究も加わります)。
4132/↑11していきます。していきます(<
2132/↑7-6一般啓蒙書は基本的に先行研究の中には入りません。(削除)
3133/↑5理論的テーマです。理論的テーマ、方法論です。
4134/1として文献表を作成しました。といった分け方をしました。
 142/8([1]と[2]の間に挿入、[2]以下の番号を一つずつ増やす)[2] キーワード
対馬、朝鮮通信使、記憶
2143/↑6・何・誰について・何・誰を対象に(調査対象)
2143/↑5-6の間 ・何に関して(調査項目)
 146/5(「研究課題」の下に挿入)キーワード:対馬、朝鮮通信使、記憶
2146/22「記憶」論の視点からはないが「記憶」論の視点はないが
3146/↑13調査対象と方法調査の対象・項目・方法
3156/↑15といいます。といいます(>>p.184)
2165/↑12文字変換文字化
2166/↑4文字変換文字化
2174/8, 178/↑3⑦初心忘るるべからず⑦初心忘るべからず
2178/↑4重要です。重要です( 》 p.194-5)。
2182/11文字変換文字化
4182/12作成します。作成します(<
3184/2-3, 185/↑10-11, /↑3切片分節
3192/15には人は特定のは、人は特定の
4195/7靴の内側にある引っかき傷がある靴の内側に引っかき傷がある
4195/↑1問題を明確化する作業問題を適切に絞り込み、明確化する作業
3198/7副問が副問に
2202/↑1‐203/6フォント太字フォント太字を戻す
2211/11ストラウスとグレーザーグレイザーとストラウス
2212/↑4方とを発想する作業が方を発想する作業とが
3213/3末尾(>>pp.194-5)
4219/3いるのか。いるのか。それに着目した理由は何か。
4219/5があるのか。以上が序論にあたります。
4220/5-6配分するようにしましょう。配分し、メリハリのある発表にしましょう。
2221/14目的、目的と位置づけ、
3221/14分析の結果調査と分析の結果
3221/14結論結論と課題
以下の222-223ページの修正をしたハンドアウト実例(←PDFファイル、第6刷)
3222/4はじめに序論
3222/4意義位置づけと意義は何か
3222/13‐16 「調査対象」と「調査と分析の結果」の間に移動
3222/17調査対象調査の対象と地域
3223/11対馬における記憶の技法(左寄せ、左ページの「はじめに」などと同じフォント)結論と課題
(一行下に、現行と同じフォントで)対馬における記憶の技法(結論にあたる)
3223/17残された課題(上の「対馬における・・・」と同じフォント、位置)
3223/↑15調査経験を振り返って同上
6223/↑14たとえ(一字分右に寄せる)
2223/↑3参照ウェブページ一行空ける、「参照文献」と同じフォント
6227/15マリノフスキーマリノフスキ
2238/2(章や説)(章や節)
6238/↑9ています。ています。以下の分け方と見出しは基本形で、必要に応じ変えてください。
6239/9III 調査と分析の結果(適宜1...)3 (調査と分析の結果←内容に即した見出しをつけ、適宜3.1...)
6240/↑6,7II (理論的テーマに関する先行研究のレビュー                 =研究分野への位置づけ)2 (理論的テーマに関する先行研究のレビュー=研究分野への位置づけ←内容に即した見出しをつける))
6241/3III (具体的な調査地域・対象の説明)3 (具体的な調査地域・対象の説明←内容に即した見出しをつける)
6241/12IV (調査と分析の結果)5 (調査と分析の結果←内容に即した見出しをつける)
6241/3, 9, 12, 13, 14, 19III, IV, IV, V, VI, VII3, 4, 5, 6, 7, 8
6238~241, 267~324章見出し冒頭のローマ数字(I, II, III...)をアラビア数字(1, 2, 3...)に変更
節見出し冒頭の数字(1, 2, 3...)に章番号を加える(1.1, 1.2, 1.3...)
(この仕組みの方が簡単で、分かりやすいため)
.これにともない
239/9の(適宜1、2、3...)を(適宜3.1、3.2、3.3...)とし、
240/9の下に(章の下に節を設けるときは、1.1、1.2、1.3のように番号をふる)と注記する。
2242/4また事例の描写的また事例を描写的
2258/注 2)なお、・・・(波平2010予定)なお、(以下削除)(波平、小田2010)
2290/11『世界遺産をシカが喰うシカと…』『世界遺産をシカが喰う――シカと…』
3290/↑22008/12/212008年12月21日
2325/注 14)2比べていくもの比べていくつもの
 337/1http://www13.ocn.ne.jp/~hoda/http://skyandocean.sakura.ne.jp/literaturereview.html
 337/5http://web.sfc.keio.ac.jp/~oguma/top.htmlhttp://web.sfc.keio.ac.jp/~oguma/kougi/technical-writing.html
5340/5(「翻訳書の場合」と「参照ウェブページ」の間に挿入新聞記事の場合 新聞名、掲載年月日、面番号、(地方版の記事の場合、どの地方版かも記載、)記事題名
例) 朝日新聞
    2008/8/30、19面「和平へ貫く非暴力:スリランカ国民平和評議会 ジハン・ペレラ氏」
3341/9テーマチャレンジテーマにチャレンジ
2342/10のことです。のことである。
2344/↑6綾部恒雄綾部恒雄(編)
2348/↑6『歴史学事典』(全12巻)… -2005。『歴史学事典』(全16巻)… -2009。
6348/↑5と4の間追加『社会学事典』丸善出版
3349索引追加アウトライン 237,335
2351索引「フィールドノーツ」172171
2351索引「ベネディクト」4546
6351索引「マリノフスキー」マリノフスキー 17-18、39-40、227マリノフスキ 17-18、39、227
3351索引追加文字化 166,182
2354/18-19波平恵美子
2010(予定)『質的研究のコツ(仮題)』
波平恵美子、小田博志
2010『質的研究の方法―
いのちの〈現場〉を読み解く』
2355/4-5マリノフスキー、ブロニスロー
1967『西太平洋の遠洋航海者』寺田和夫、増田義郎(訳)、中央公論社
マリノフスキ、ブロニスワフ
2010『西太平洋の遠洋航海者』増田義郎(訳)、講談社学術文庫
2355/20(抜け)山田有佳
2006「棚田を〈守り〉する人びと――伝統的棚田の保全と開発」『フィールドワークへの挑戦』菅原和孝(編)、pp.192-212、世界思想社。
3357/7二風谷(にぶたに)(「にぶたに」をルビにする)
3357/↑10研究者には学者には
3359/7『質的研究入門』(共訳『新版 質的研究入門』(監訳

文献ガイド・プラス

「文献ガイド 教養として読んでおいてほしい本」の補足

横石知二2007『そうだ、葉っぱを売ろう!』ソフトバンククリエイティブ
 徳島県上勝町で葉っぱビジネスに成功した過程を詳細に語る。「現場を知る」ということが、産業と地域再生のためにいかに重要かがわかる。本書自体が、現場の当事者によるエスノグラフィーとしても読める。この本は「社会」に出てからも役に立つだろう。

鶴見良行1982『バナナと日本人』岩波書店
 ふだん何気なく食べているバナナ。この果物が、いかに作られているのか。その生産者と日本人の生活とがどうつながっているのかを解き明かす。ひとつのモノを通して、世界のつながりへの想像力を与えてくれる古典。同じ著者の『東南アジアを知る-私の方法』(岩波書店、1995)は、親しみやすく、面白いフィールドワークの入門書なので、それを先に読んでもよいだろう。
 本書に続くものとして『エビと日本人』(村井吉敬、岩波書店、1988)がある。シドニー・ミンツの『甘さと権力―砂糖が語る近代史』(平凡社、1988)と『砂糖の近代史』(川北稔、岩波書店、1996)もぜひ読みたい。

志村ふくみ1998『色を奏でる』ちくま文庫
大岡信1985『詩・ことば・人間』講談社学術文庫

 染織家・志村ふくみの「色をいただく」というエッセイは、文庫本で2ページでありながら、自然との向き合い方を深く伝える。それは、エスノグラファーの現場との向き合い方に通じる。
 詩人・大岡信は「言葉の力」末尾で、その志村の桜による染色の話を引用しながら、耳に聞こえ、目に見える言葉が、言葉ならざることの現れだという言語論を結んでいる。これは、「質的データ」、「質的分析」について再考を迫る思索であろう。
 両エッセイは、上記2冊に収録されている。

上野千鶴子2002『サヨナラ、学校化社会』太郎次郎社(2008、ちくま文庫)
 フィールドワークを取り入れた授業の部分(第5章)が面白い。「私は、私の問題を解くことはできますが、けっして他人の問題を解いてあげることはできません。しかし、私には「私の問題の解き方」を伝えることはできます」(121)。納得。

川喜田二郎1967『発想法―創造性開発のために』中央公論新社
 いわずと知れた古典。今読んでこそ新鮮かつ刺激的なアイディアが随所にある。例えば、「野外的自然」の概念、それと「現場」との結びつけ、「発想法」すなわちアブダクションへの注目、創造性への視点など。本書を、狭い意味での「KJ法」の解説として読むことにとどまらず、より創造的な読解をすれば、今日において質的研究を刷新することにもつながりそうだ。

エスノグラフィーをさらに学ぶために

エスノグラフィー論やエスノグラフィーの実例のリストを「日本語で読める質的研究の文献」に掲載しています。
エスノグラフィーの古典、マリノフスキの『西太平洋の遠洋航海者』の文庫版が発売されました。増田義郎訳、講談社学術文庫。旧版は入手困難だったので朗報です。

エスノグラフィーをさらに学ぶために(英語の解説書)

Atkinson, P., Coffey, A., Delamont, S., Lofland, J. and Lofland, L.
2001 Handbook of Ethnography. Sage.
 →エスノグラフィーについての包括的なハンドブック

Spradley, J.P. and McCurdy, D.W.
1972 The Cultural Experience. Ethnography in Complex Society. Waveland Press.
Spradley, J.P
1979 The Ethnographic Interview. Harcourt College Publishers.
1980 Participant Observation. Harcourt College Publishers.(⇒訳書刊行:ジェイムズ P.スプラッドリー著、田中美恵子、麻原きよみ監訳、2010『参加観察法入門』医学書院)
 →Spradleyは先駆的なエスノグラフィー解説者。前提としている認識人類学の枠組み自体はもはや古いが、エスノグラフィーの魅力が伝わってくる解説は今日読んでも新鮮だ。特に1972年の本は序文でethnographic discoveryの喜びを語って余りある。(ただし、McCurdyが第一著者となった2005年の第2版では、その点が薄れてしまっていて残念)。

以下、発行年順に主だったエスノグラフィー概説書:

Jessor, R., Colby, A., and Shweder, R.A. (eds.)
1996 Ethnography and Human Development: Context and Meaning in Social Inquiry. University of Chicago Press.

Denzin, Norman
1997 Interpretive Ethnography: Ethnographic Practices for the 21st Century. Sage.

Schensul, Jean J. and Lecompte, Margaret D. (eds.)
1999 Ethnographer's Toolkit (7 volumes). AltaMira Press.

Hammersley, Martyn and Atkinson, Paul
2007 Ethnography: Principles in Practice (3rd. edition). Routledge.

Angrosino, Michael
2007 Doing Ethnographic and Observational Research (Qualitative Research Kit). Sage.

O'Reilly, Karen
2008 Key Concepts in Ethnography. Sage.

Murchison, Julian
2010 Ethnography Essentials: Designing, Conducting, and Presenting Your Research. Jossey-Bass.

エスノグラフィーをさらに学ぶために(英語で書かれた未邦訳の重要なエスノグラフィー)

Bateson, Gregory, 1958 (1936), Naven: A Survey of the Problems suggested by a Composite Picture of the Culture of a New Guinea Tribe drawn from Three Points of View. Stanford University Press.

Rosaldo, Michelle Zimbalist, 1980, Knowledge and Passion: Ilongot Notions of Self & Social Life. Cambridge University Press.

Schlee, Gunther, 1990, Identities on the Move: Clanship and Pastoralism in Northern Kenya. Manchester Univ Pr.

Scheper-Hughes, Nancy, 1993, Death Without Weeping: The Violence of Everyday Life in Brazil. University of California Press.

Hutchinson, Sharon Elaine, 1996, Nuer Dilemmas: Coping with Money, War, and the State. University of California Press.

Nordstrom, Carolyn, 1997, A Different Kind of War Story. University of Pennsylvania Press.

Abu-Lughod, Lila, 2000, Veiled Sentiments: Honor and Poetry in a Bedouin Society. University of California Press.

〈現場〉の用例

現場を絶対にはずさないこと。」
 「現場を知って、現場を大切にする。どんな仕事でも、これが基本だと思う。」
 横石知二『そうだ、葉っぱを売ろう!―過疎の町どん底からの再生』ソフトバンククリエイティブ:p.158-160
 「現場はつねに想像を超えるからおもしろい」(152)
 「現場とは砂金の採掘場みたいなもので、キラッとしたものがそこかしこに落ちています。ただ、本人は日常知として言っているだけだから、そのことにどんな値うちがあるかということがわからない。私はそれを拾って文脈化していくのです。ある文脈におくとそれが金だということがわかる。組み立て方、料理の仕方しだいです」(155)
         上野千鶴子2002『サヨナラ、学校化社会』太郎次郎社

 「経営学のコンサルタントがある企業、職場を研究する。その職場は、そこだけにしかない野外的自然であり個性的な世界である。しかもひじょうに複雑な世界である。これを研究するのが野外科学と呼ぶにふさわしい分野であり、またそれにふさわしい研究方法が求められなければならない。これを英語で表現するなら、フィールド・サイエンスという言葉がもっとも適切だろうと思う。同時に「フィールド」は、(中略)「場」にもあたる。つまり野外科学はある意味では「場の科学」なのである。あるいは「現場の科学」だといってもよい。(中略)野外科学はむしろその仮説をどうして思いつけばよいのかという、仮説を発想させる方法と結びついているのである。」(13-15)
 「現実に大きな混乱がおこりつつあるのに、他方では発達したといわれる科学が、これらの野外的現場的問題に対していかにも無力ではないか。その無力の根源はいったいどこにあるのだろうか。それは科学イコール実験科学であるという一つの大きな錯覚が、現場の科学の発達を歪曲しているからである。」(20)
 「まず現場を見なければならない。」(26)
 「現場のもっている歴史的、地理的な、また状況的な一回性、多様性、総合的な性格を殺さないで、そこから出発するという認識の方法が必要である。またその認識に基づいてたてられたプランを、総合的に現場に還元していくことが大切である。」(192)
                川喜田二郎1967『発想法―創造性開発のために』中央公論新社

 「ここでいう現場とは、必ずしも村落調査での場のみを示してはいない。たとえばその土地の農業をどうたてなおしてゆくのかを若い人々と話し合う場で、あるいは猿まわし復活のための計画をたてその方向性を示し、具体的な問題をどうひとつひとつのりこえていくかを語り合う場で、あるいは民具の収集を通して地域を考えていく運動をおこそうと、むらの人々と車座になって意見を交わしあう場で、彼[宮本常一]の本質は、そうした現場での行動の中にこそ強く存在し息づいていたように思う。」(227-8)
 香月洋一郎「景観のなかでの宮本常一」宮本常一『空からの民俗学』岩波書店

 「「現場」ということばでしばしば語られる場所とは、このような複数の主体が共時的な相互接触へとさらされる場所のことである。」(56)
 鷲田清一『「聴く」ことの力』TBSブリタニカ

 「やはり現場だった。現場がいつでも重要だ。いくら言葉でうまく説明しても現場のようにはいかない。現場のにおい、雰囲気が重要だ。それに事務所の構造や資料、配置はいうまでもなく、壁に貼られたポスター1枚、本棚の本1冊がどれだけ重要かわからない。そうだ、やはり来てよかった。」 (274)
 パク・ウォンスン、2003『韓国市民運動家のまなざし』風土社

エスグラフィック・アクション・リサーチ

 研究のためだけの研究にとどまらず、調査研究で得られた知を現場に還元して、その改善・変革に役立てようとするアプローチを「アクション・リサーチ」と言います。現場を志向するエスノグラフィーは、アクション・リサーチとの適合性が高い方法論です。地域振興、環境保全、市民社会活動などの現場で活かされることが期待されます。
 下記のリンクはユネスコから出版された手引きのPDF版です。
Ethnographic Action Research by J. Tacchi, D. Slater, G. Hearn, 2003.

ビジネス・エスノグラフィー

ウェブサイト

 ビジネスの世界でエスノグラフィーは急速に関心を集めています。文化人類学者などが研究のために実施するものとは違いがありますが、明確な目標のもと、短期間で結果を出すそのスタイルは、研究上のエスノグラフィーの「ぜい肉」を落とす参考になるでしょう。逆に、ビジネス・エスノグラフィーが、研究者の経験から学べる点も多いに違いありません。いくつかの興味深いリンクを張っておきます。

エルネットの行動観察

インサイト発見リサーチ ビデオエスノ

産業エスノグラフィの国際会議 epic2010

文献

次のような英語文献が出ています。
Mariampolski, Hy
2005 Ethnography for Marketers: A Guide to Consumer Immersion. Sage.


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