米を買って食べている人は、このドキュメンタリーを見た方がいい。再放送希望!
https://www.minkyo.or.jp/program/special/39/
(もしかすると番組名で検索するとネットで見られるかもしれない、、、)
日本で米農家がどんどんいなくなっている現状を伝えている。
「時給10円」とは衝撃的だが、それは誇張でもなんでもない。
この番組の主な舞台は山形県だが、私が生まれ育った香川県の村に残った農家は一軒だけ。荒れた耕作放棄地が広がるばかり。(実は私の実家も祖父母の代まで百姓だった。)
その方の年齢は75歳を超えていて、「米を作っても、赤字になるだけ。年金をつぎ込んでいる」「あと5年経つと自分も農業をできなくなるだろう。他の土地も同じようになっていて、米を作る人はいなくなるのではないか」とあきらめ顔で語る。
去年日本で起きた「米騒動」’(米の不足と価格の高騰)は、一時的な出来事ではなくて、今後のさらなる食糧危機の前触れだと考えた方がいい。(”危機”を煽るのは好きではないけれども)
このままいけばお金を出しても、(米に限らず)まともな食べものが手に入らなくなる時代になるのは目に見えている。農家も農地も消えていっているのだから。
この現実を踏まえて、一人一人が自分なりにできることを考えるべき時だろう。
「安全保障」というと軍事ばかりで、「食の安全保障」に真剣に取り組まない政治が変わることが必要。選挙の時には「食の安全保障」を公約に掲げる政党に投票すること。
近年の農業資材(化学肥料、農薬、燃料など)の高騰が、農家の経営をさらに圧迫している。
そうした資材に頼らない、自然農や循環型の有機農業には、生態学的にも、経済的にも将来性がある。そうした農家を消費者として支援すること。
自分自身が百姓になることも考えられる。化学肥料や農薬だけでなく、大型機械も使わない「小農」だと低コストで自給に近づける。
けれどもそう考えて都会から田舎に移住して新規就農しても、地域によっては「獣害」がひどく、「心が折れて」農業をあきらめざるを得ない人が出ている。
山が荒れている。山には放置された針葉樹ばかりでエサが無く、おまけに温暖化で実のなる木にも実がならなくなっている。人間が引き起こした環境の変化のため、シカ、イノシシ、クマ、サルたちが山から里に押寄せて来ているのだ。
温暖化は直接農産物の不作をも引き起こしている。このマクロな環境の問題にも取り組まないといけない。
そう甘くはない現実だけれど、お金にコントロールされる生活に見切りをつけて、生み出す自然とつながり直して、その恵みを縁ある人たちや生きものたちと分かち合う暮らしがやはり立ち還るべき方向ではないだろうか。ほんとうに生み出す力があるのは、水、大地、日光が織り成す、いのちある自然なのだから。
番組から菅野芳秀さんの言葉ーー
多くの百姓たちはものも言わず表舞台から消えていく。いまどれだけ大変かということが世に伝わっていない。特に消費者の皆さんには伝わっていない。
水田農家の時給はいま10円。誰もそこで暮らせないじゃない。子ども病気になっても連れていけないじゃない。
とにかく村は(牛や鶏や豚や羊が鳴いて)にぎやかだった。
いまはほんとうに静か。
国民的に考えなきゃならない。食べる側も作る側も、国民的に日本の農業をどうするんだと。
ほんとうにいなくなっているんだから農家が。辞めさせられて。
これを政治家の皆さん、知らなかったとは言わせないよ。責任取れなくなると思うよ。これからの世代に対して。
木から離れて落ちて、やがて朽ちていく柿の実は絶望の声をあげるだろうけど、種にしてみたら、やっとこれで地面に落ちてこれから俺は芽吹くぞという希望の声をあげると思うんだ。
同じ柿の実の中に、希望に向かう声と、朽ちていく声とが一緒に成長しているんだよ。
どちらかといえば希望の側に身を置いて、希望の物語としてこれからの自分たちの人生を語っていく、そのためには何が必要かということを、与えられるんじゃなくて、自分たちが作っていくんだと、その希望の道を、中心になって、それが転換期である今だと思っているんだ。
だから「みんなでなるべ柿の種」と言い続けてきたんだ。
(三里塚の農民、平野靖識さんーー土を守るという意識、そこにはいのちが宿っている、生活が宿っている)
それぞれがみんな農に関わる、農の持つ豊かさをみんなが共有するという、そういう地域づくりこそ素晴らしい。
日本から農民がいなくなったとしても、たくさんの市民が農に関わる。国民皆農、国民の多くの人たちが農に関わる。そういう世界が効率的ではないにしても実は永続きする人間社会、永続きする農との関係性だと思うんだよな。
そういう無関心が農家を時給10円の世界に放り込んで生活破綻させている
(ケージ飼いの)鶏たちを救いようのない世界に押しとどめている。
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