きのう、北大のすぐ近くにある「北海道クリスチャンセンター」に立ち寄った。そこの書店(なかなか充実の品揃え)で、ボンヘッファーの『獄中書簡集』を買った。そして向かいにある札幌YWCA運営のY's Cafeに入ってみると、チョコレートを売っていた。それはフェアトレードのチョコレートだった。
包み紙には「FAIR TRADE CHOCOLATE」の文字と、「People Tree(ピープル・ツリー . . . 本文を読む
ディートリッヒ・ボンヘッファー(Dietrich Bonhoeffer: 1906-1945)。(国際ボンヘッファー協会のサイト。)
ドイツの神学者。ボンヘッファーは、ヒトラーが政権を取った当初から、ヒトラー批判を公にしていた。キリスト教徒によるナチスに対する抵抗運動「告白教会」に加わった後、亡命のために米国に渡る。しかし間もなく身の安全を省みず、ドイツへときびすを返す。そしてヒトラー暗殺計 . . . 本文を読む
日曜の午後、なんとなくつけたテレビで、ある「旅芸人」が出てくる番組をやっていた。「オルカ」と呼ばれる男性が、札幌から母のいる佐呂間へと旅をしていく。彼がどうしてそう呼ばれるのか、またどういう生い立ちなのか、途中から見始めたので分からない。(FNN系列UHB、日曜ノンフィクション「旅芸人北へ帰る」、午後2時~3時)
オルカは年の頃三十代だろうか。無精ひげをのばしていて、おせじにも清潔そうではな . . . 本文を読む
「シアターキノ」(札幌市のコミュニティシネマ)で、「歓びを歌にのせて」を観た。
僕はてっきりウーピー・ゴールドバーグが出いていた「天使にラブソングを」のような、陽気系エンターテイメントかと思っていたが、ぜんぜん違っていた。こちらは襞の細やかな人物描写が特徴の、観応えある作品だ。
世界的名声を博すまでになった指揮者ダニエル。しかし公演中に心臓発作で倒れ、子どものころ離れたスウェーデンの故郷 . . . 本文を読む
高松空港の書店で、ちょっと気になっていた村上春樹の『東京奇譚集』(新潮社、2005年)を買った。飛行機の中で読み始めると、これがなかなか面白くて、物語の力ということを考えた。
五つの短編が収められている。それぞれにスタイルが違っていて、個性的。共通しているのは「奇譚」であるということ。つまりどの作品の中でも、不思議な出来事が起こったり、奇妙なものが登場したりして、それが主人公の人生に影響を及 . . . 本文を読む
「スタンドアップ」。これは観る価値のある映画。
舞台は1980年代のミネソタ。夫からのドメスティック・バイオレンスにたまりかね、子連れで家を飛び出した主人公ジョージー。故郷の町に戻り、二人のわが子を養うために鉱山で働き始める。しかし「男の職場」という観念に支配された鉱山で、ジョージーは男たちからすさまじい嫌がらせを受ける。
「セクハラ」という概念も、またそれが人権侵害だということも定まっ . . . 本文を読む
北海道新聞に先日「島国日本」というコラムを書きました。(ホームページの業績表コラム欄に転載しています。)
その中では言及していませんが、「島国日本」言説を一貫して批判してきたのは歴史学者の網野善彦氏でした。
網野氏の著作はどれも非常に面白いです。月並みな表現ですが、目からうろこが落ちるというか、たんに過去の出来事について教えられるだけでなく、今の世界も違って見えてくるようなインパクトがあ . . . 本文を読む
染色家、志村ふくみさんの言葉より――
「私たちは草木のもっている色をできるだけ損なわずにこちら側に宿すのである。」
「私たちは、どうかしてその色を生かしたい」
「化学染料の場合はまったく逆である。・・・自然が主であるか、人間が主であるかの違いであろう。」(『色を奏でる』ちくま文庫:pp.16-17)
素材を生かす。
対象の声を聴く。
こうした姿勢は、染色家のほかにも、料理 . . . 本文を読む
今朝、熊本県天草でのキリスト教信仰の様子を取材したテレビ番組を見た(NHK総合「生活ほっとモーニング」「にっぽん体感こだわり旅 ジローラモさんと行く熊本・天草」午前8:35‐9:25放送)。
地元の人の自宅で、仏壇のような所の扉を開ければ、十字架やマリア像が収められている。その前の部屋は畳敷きで、コタツに入って団欒する。「カトリックの信者だからお祈りはかかさない。おやじが厳しかったから」とそ . . . 本文を読む
光の音楽を奏でる。
そう形容したくなるのがレイチェル・ポッジャーのヴァイオリン。
「無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ」はJ・S・バッハが残したヴァイオリン音楽のいわば聖典だ。だから古今の名だたるヴァイオリニストが録音し続けてきた。古典的な評価を受けているのはヘンリク・シェリングのもの。昨年発売されたギドン・クレーメルの再録音も大いに話題となった。これら名盤の中からどれがベス . . . 本文を読む
映画「ロード・オブ・ウォー」(アンドリュー・ニコル監督、ニコラス・ケイジ主演、2005年アメリカ)は問題作。面白かった。
ウクライナからユダヤ人を偽って米国に移住してきた一家の長男、ユーリー・オルロフが、武器商人となって生きていく様を描いた映画。銃器や地雷を売る人間がいなければ、90年代から今まで続く世界各地の「内戦」はそんなに凄惨にはならなかったはず。これはそうした人間たちにフォーカスを当 . . . 本文を読む