図書館が、あれほど美しく、重要な場所として描かれた映画は「ベルリン天使の詩」をおいてないだろう、と思う。
(小説だと村上春樹が図書館を印象的に使う。『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』『海辺のカフカ』。そういえばボルヘスも「バベルの図書館」というのを書いていたな。)
ともかくこの映画に登場するベルリン国立図書館に入るのは長い間の夢だった。去年だか、「入れますか」と尋ねたときに . . . 本文を読む
魚眼図バージョン(2009年4月21日北海道新聞夕刊掲載)
釘の十字架
かつての西ベルリンの中心に、廃墟となった教会が建っている。第二次世界大戦中、このヴィルヘルム王記念教会はイギリス軍を主力とする連合軍の空爆によって破壊された。戦後は、戦争に対する警鐘の意味を込めて、崩れ落ちた姿のまま保存されることになった。
その内側の片隅に、釘をつなぎ合わせて作られた十字架が立っている。これを「 . . . 本文を読む