小田博志研究室

研究情報とブログを掲載

自発的治癒

2024-10-29 | 研究・教育
 ドイツのハイデルベルクという美しい街へ留学に出たのは30年前。あまりに居心地が良くて2年のつもりが7年にも及んでしまった。 かの地の大学の医学部で「がんの自発的寛解」について研究し、博士論文を書いた。それは診断の確定したがんが、外から施された治療では説明できない形で、縮小・消滅する現象だ。私はそこに治癒の大事なヒントがあると感じていた。ドイツ国内で情報を募ったところ100を越える事例が集まった。 . . . 本文を読む

改訂版 エスノグラフィー入門

2024-07-26 | 研究・教育
『エスノグラフィー入門』の改訂版が昨年出版されました。全面的に読み返して必要な補足修正を加えましたが、ページ番号が変わるほどの大きい変更はしておりません。ご参考までに「改訂版まえがき」と「改定項目一覧」をダウンロードできるようにいたしました。これまでのご愛読に感謝すると共に、これからのご活用をお願いいたします。『エスノグラフィー入門』改訂版まえがき.pdf『エスノグラフィー入門』改訂項目一覧.pd . . . 本文を読む

脱植民地化のためのポータル

2023-03-01 | 研究・教育
 世界各地の脱植民地化の現場をつなぐポータルサイトを開設しました。 ペルーのアヤクチョ地方、カナダのユーコン準州、そして日本の札幌/サッポロを取り上げ、各地の状況が立体的にわかるコンテンツを収録しています。ぜひご覧ください。 脱植民地化のためのポータル:https://decolonization.jp/ . . . 本文を読む

水の巡り

2023-03-01 | 研究・教育
 熊野古道のうち、高野山と熊野本宮とを結ぶ道を小辺路(こへち)という。全長70キロ程だが1千メートル級の峠を何度か越えるため、それなりの準備が要る。その道を8月に3泊4日かけて歩いた。 道中最高峰の伯母子岳(おばこだけ)を越える2日目が、私にはもっとも厳しかった。水筒の水が無くなり、ガイドマップに載っている水場が頼り。延々と続く登りの末に、水場はあった!この一筋の水がただありがたい。 その先の道す . . . 本文を読む

大地のケア

2023-03-01 | 研究・教育
「スチュワードシップ」という言葉を、カナダのユーコン大学での留学から帰った知人から聞いた時、扉が開かれる思いがした。 ところが、この大事な言葉にぴったりの日本語が見当たらない。まずこれは土地と先住民族との伝統的な関わり方を指す言葉のようだ。その方の説明だと、土地や川や海、またそこに生きる植物や動物の恵みを人が受けながら、それらを守り、次世代に引き継いでいくことらしい。だから近代的な「所有」とは根本 . . . 本文を読む

業績表

2021-02-01 | 研究・教育
著書小田博志2023『改訂版 エスノグラフィー入門――〈現場〉を質的研究する』春秋社.山口未花子・ケイトリン・コーカー・小田博志 2023『生きる智慧はフィールドで学んだ:現代人類学入門』ナカニシヤ出版(担当:第9章 生命,  pp.135-148,第10章 言葉, pp.151-161, 第11章 平和, 163-177,第12章 エスノグラフィー,pp.179-194)。小田博志・関 . . . 本文を読む

業績表(学会発表・講演等)

2021-02-01 | 研究・教育
学会発表小田博志(2024.6/15)「脱植民地化のためのポータル:サッポロの風景をよみがえらせる」分科会:トラウマ空間とアーカイヴ実践,日本文化人類学会第58回研究大会,北海道大学.小田博志(2018.6/24)「先住民族遺骨のrepatriation(返還/帰還)と脱植民地化:東京大学・小金井良精が「収集」したアイヌ遺骨を事例に」日本平和学会2018年度春季研究大会・自由論題部会、東京大学駒場 . . . 本文を読む

研究ツールボックス(院生・卒論生必見)

2020-12-05 | 研究・教育
以下の情報は主に北大で文化人類学を専攻する大学院生を想定したものですが、卒論を書く学部の学生にも役に立つと思います。研究をスタートさせ、進めるにあたって便利な情報を集めてみました。文献検索に便利なウェブページ 役に立つ辞典・事典類 先行研究の検討ということ文献検索に便利なウェブページ論文の検索日本の論文を探す(CiNii Articles、日本語学術論文の検索)Google Scholar(各国語 . . . 本文を読む

日本語で読める質的研究の文献 III. 質的研究の理論的背景

2020-12-03 | 研究・教育
・掲載する文献をここでは「書籍」に限っています。・各カテゴリーでの掲載順は、当該書籍の「版」の発行年によっています(そのため翻訳の発行が新しければ、海外の古典でも後ろの方にきたりしています)。・複数の見出しカテゴリーに関わる本は、重複表示をすることがあります。 III.質的研究の理論的背景 [言語・言葉論] [現象学と現象学的社会学の理論] [文化の理論] [グラウンデッド・セオリー . . . 本文を読む

日本語で読める質的研究の文献 II. 特定分野に向けられた文献

2020-12-02 | 研究・教育
・掲載する文献をここでは「書籍」に限っています。・各カテゴリーでの掲載順は、当該書籍の「版」の発行年によっています(そのため翻訳の発行が新しければ、海外の古典でも後ろの方にきたりしています)。・複数の見出しカテゴリーに関わる本は、重複表示をすることがあります。 II.特定分野に向けられた文献 [社会学分野に向けられたもの] [看護学分野に向けられたもの] [福祉学分野に向けられたもの] . . . 本文を読む

日本語で読める質的研究の文献 I. 質的研究の概説書と研究例

2020-12-01 | 研究・教育
・掲載する文献をここでは「書籍」に限っています。・各カテゴリーでの掲載順は、当該書籍の「版」の発行年によっています(そのため翻訳の発行が新しければ、海外の古典でも後ろの方にきたりしています)。・複数の見出しカテゴリーに関わる本は、重複表示をすることがあります。 I.質的研究の概説書と研究例 [質的研究の概説書] [質的研究の倫理] [研究デザイン] [質的研究とコンピュータ] [フィー . . . 本文を読む

プロフィール

2020-01-01 | 研究・教育
小田博志(ODA Hiroshi)北海道大学大学院文学研究院 教授 専門分野は人類学です。 いま「自然」と「いのち」というテーマに強い関心をもっています。自然と人間、自然と文化を分けるのではなく、両項を切れ目なく捉えることができる視座とはどのようなものだろう、という問題を、「自発性」をキーワードに考えています。具体的な事例としてがんの自発的寛解、森林再生、自然栽培などを、ドイツ、北海道、紀伊半島な . . . 本文を読む

北海道の「民衆史掘りおこし運動」を掘りおこす(文献表)

2019-06-28 | 研究・教育
作成・小田博志,開設2007年2月2日,更新2024年8月24日 北海道における「民衆史掘りおこし運動」は、北見の高校教諭・小池喜孝氏が中心となって始まり、のちに全道規模に広がりをみせた下からの歴史発掘運動です。この民衆史運動の大きな目的は、役所や主流アカデミズムが作成する「公式の歴史」では見落とされてしまいがちの「民衆」―そこには政治的抵抗者、囚人、タコ部屋労働者、女性、ウィルタ・アイヌなどの先 . . . 本文を読む

『エスノグラフィー入門』正誤・修正表/関連情報

2017-05-08 | 研究・教育
『エスノグラフィー入門―〈現場〉を質的研究する』(春秋社)を補強する特設ウェブページ作成 小田博志、 開設 2010年4月26日/更新 2024年7月26日『改訂版 エスノグラフィー入門』が2023年に出版されました。そのまえがきと修正項目一覧は以下の通りです。『エスノグラフィー入門』改訂版まえがき.pdf『エスノグラフィー入門』改訂項目一覧.pdf以下の正誤・修正表は2010年発行の旧版に関する . . . 本文を読む