閉店するという知らせを受けて、あわてて行ってきた。6月21日が最後の営業となるそうだ。
琴似にあったときにはちょくちょく寄っていたけれど、大谷地に移ってからは初めて行った。閉まると分かって行くのでは、あまりいい客ではなかったなー
「売れる本」と「いい本」とは違う。「視聴率の高いテレビ番組」と「いいテレビ番組」とが違うのと一緒だ。
くすみ書房は「いい本」と出会える場所だった。琴似店 . . . 本文を読む
(北海道新聞夕刊<魚眼図>2014年2月7日掲載)
「森と氷河と鯨」は美しい本だ。星野道夫さんが撮影した北米アラスカの風景に加えて、装丁やレイアウトもまた、本の作り手たちの愛情が伝わってくる特別なものだ。私は1996年に世界文化社から刊行された初版を手にしている。
そして、星野さんがつむぐ物語の魅力と深さ。アラスカに生きる人と自然とが、親しく語りかけてくるようだ。ワタリガラスの神話をたど . . . 本文を読む
(北海道新聞夕刊<魚眼図>2013年11月27日掲載)
四国の実家に帰った折、本棚の一冊が目に留まった。「愚者の智恵―森の心の語り部たち」(柏樹社)。北海道に持ち帰って久々に開いてみた。
これは今田求仁生(くにお)さんの対談集。今田さんは「樹林気功」を提唱しておられ、かつて私は白神山地のブナの森を案内していただいたことがある。対談の相手は、森や植物と関わる仕事をしてきた、例えば次のような . . . 本文を読む
(北海道新聞夕刊<魚眼図>2013年8月29日掲載)
旅の楽しみのひとつは、その地域ならではの出版物に接することだ。地域への愛情がこもった、掘り出しものが見つかることがある。
知床に行く途中、北見市に立ち寄った。ここの福村書店は、地域出版物を多くそろえている。「シリエトク ノート」というかわいい雑誌があったので買ってみた。斜里町で製作・出版されている。「シリエトク」とは、アイヌ語で「地の . . . 本文を読む
(北海道新聞夕刊<魚眼図>2013年5月23日掲載)
山の斜面に、鍬(くわ)を振り下ろした。刃がササの根に当たって、簡単には土を掘り返せない。いろいろな角度から鍬を入れ、ようやく直径20センチほどの穴が開いた。そこにオヒョウの苗木をはめて、土を埋め戻し、周りを足で踏み固めた。これでひとつ植樹ができた。そこから少し距離を置いた所で、同じ作業を繰り返す。オヒョウの皮は、アイヌ民族の伝統織物アット . . . 本文を読む
(北海道新聞夕刊<魚眼図>2012年11月20日掲載)
この北海道がいつから「北海道」と呼ばれるようになったか、ご存じだろうか。
初歩的なはずのその知識。北大の授業で尋ねても知らない学生が多い。答えは明治2年(1869年)。松浦武四郎の提案のうち「北加伊道」が採用され、「北海道」と改められた。ちなみに「加伊」とは、先住民族アイヌが自分たちを呼ぶときに使う言葉だと、松浦は記している。
. . . 本文を読む
新しい本がでます。
越田清和さん編の『アイヌモシリと平和』(法律文化社)。「北海道」は、アイヌ民族にとっては「アイヌモシリ」。これは人間の住む静かな大地という意味。ここを「植民地」論の視点から捉え直してみようというのが、この本のコンセプトです。
私は「足もとからの平和―北海道の「民衆史掘りおこし運動」から学ぶ」という章を担当しました。これを読めば民衆史運動とは何かがお分かりになると思いま . . . 本文を読む
(北海道新聞夕刊<魚眼図>2012年8月24日掲載)
北海道でこんなにホタルが見られるとは思わなかった。
「北限のブナ林」で有名な後志管内黒松内町から、国道5号を通って南に向かうと、渡島管内長万部町の蕨岱(わらびたい)という地区に入る。ここに「ほたるの里」がある。
暗くなってからたどり着くと、懐中電灯をもった男性が「どちらからですか」と話しかけてくださった。この方が、ここを整備されて . . . 本文を読む
(北海道新聞夕刊<魚眼図>2012年4月25日掲載)
道を意識するようになったのは、札幌に来てからかもしれない。 「まっすぐで、広いなー」と感じる道路が、勤務先の北大の近くをはじめ縦横に走っている。自動車で通るにはまことに便利。これに対して、四国の実家に帰って、その前の道に立つとかなり違った印象を受ける。曲がっていて、狭い。一応、県道だが、自動車が一台通るのがやっと。でも歩く気にさせるのは断 . . . 本文を読む
(北海道新聞夕刊<魚眼図>2012年2月1日掲載)
四国の高知県で、北大の尊敬すべき卒業生のことを知った。西森茂夫さん(1938~2004年)である。高知市出身の西森さんは、北大獣医学部で学び、札幌でしばらく教員をした後、帰郷した。そのひとつの理由は、槇村浩(こう)(1912~1938年)という同郷の詩人を再発見したことにあった。槇村は31年(昭和6年)に満州事変が勃発して間もなく反戦詩を書 . . . 本文を読む
東京品川に本社を置く城南信用金庫が、脱原発の取り組みをしています。
その中味は、例えば社で使用する電力に関して、原発を推進してきた東京電力との契約を解除し、自然エネルギーを開発したり、民間の余剰電力を販売している電力会社との契約に切換えるなど、きわめて具体的なものです。私はこの取り組みを支持します。
これが金融機関によるものだということには大きな意義があると思います。金融機関・銀行がどの . . . 本文を読む
大正7(1918)年6月、野付牛(現、北見市)で、65歳の古物商・伊藤房次郎は、家族を病床に呼び寄せ、語り始めた――
「私は実の名を、井上伝蔵という。秩父(埼玉県)下吉田の商家に生まれた。借金に苦しむ農民たちを見かね、共に困民党を結成して蜂起した。明治17年の秩父事件だ。これは政府軍につぶされた。捕らえられた仲間は死刑にされた。私にも欠席裁判で死刑判決が下された。逃れた私は、北海道に渡り、こ . . . 本文を読む
自然との対話――魚をとるときにも、木一本切るときにも、アイヌはいろんなことで自然との対話をわすれませんでした。けれども今は少し、アイヌもふくめて日本人全部がいろんなことで自然に逆いすぎています。
自然はこわされようがたたかれようが、ひと言も口ではお返ししませんが、必ずあとで仕返しに来ます。ですから、自然を大事にする心をもたなければ、いつの時代にか自然がワッとおこって来て、アイヌもふくめた日本人全 . . . 本文を読む
ご近所ネタです。
ようやく春らしくなってきた札幌。例年よりも数日遅く、今が桜の見ごろです。桜の名所、円山公園には「ジンパ」をする人たちで混みあっています。
円山というのは、標高200メートル余りの低山ですが、原生林が保存されていて、ときおり驚くほどの桂の巨樹と出会います。
天気のよさにつられて歩いていくと、円山の麓にある小屋で何やら行事が執り行われていました。聞くと、今日が円山の山開 . . . 本文を読む