思考の部屋

日々、思考の世界を追求して思うところを綴る小部屋

サードマン現象・守護天使とも呼ばれる不思議な現象(後編1)

2012年03月13日 | 思考探究

[思考] ブログ村キーワード

 生きるか死ぬかの瀬戸際で、不思議な力によって命を救われたと感じている人がいます。

 ある人はそれを守護天使だと思い、またある人は精神の混乱が生み出した幻覚にすぎないと考えます。

 このような現象を奇跡としてかたずけるのではなく、科学的に説明したいと思っています。しかしそのような体験には奇跡という言葉こそふさわしいと考える人々もいます。

これは守護天使がなせる業(わざ)なのか

それとも科学的に説明できることなのか

その謎を探る番組というナレーション(渡辺徹)で始まる、昨年放送されたEテレ・地球ドラマチック「奇跡の生還に導く声~“守護天使の正体”は?~」の(後編1)です。


【ナレーション】
 危機的状況下で何ものかに導かれていると感じるサードマン現象は、どのようにして起きるのか。神経科学者のマイケル・パーシンガーはそれを20年間に渡り研究してきました。すべては千数百グラムの重さをもつ脳が生み出すものだと彼は考えています。

【パーシンガー】
 脳には左半球と右半球があります。この二つは見た目はよく似ていますが実はかなり違うものなのです。

【ナレーション】
 脳の各領域はそれぞれ異なった役割を果たしています。そして膨大な数におよぶ神経細胞のネットワークによって情報を伝達し合っているのです。

【パーシンガー】
 左半球と右半球をつなぐ神経細胞の数は全体の数%なのでより多くの情報を伝えるにはそれなりの刺激が必要です。

【ナレーション】
 極度のストレスがその刺激となる場合があります。例えば高い山の頂上で道にが分からなくなったり、森のけもの道で独りぼっちになってしまっりという状況です。

 あるアメリカの心理学者は、現在の人間が備えているような意識は比較的近年になって生み出されたものであるという仮説を称えています。まだ文字を持たなかった古代の人々は、大きなストレスや困難に直面すると脳の右半球が超自然的な声を作り出し危機を乗り越える道を示したというのです。異論も多い説ですがパーシンガーはこれを信じています。

【パーシンガー】
その声が自ら作り出すものだということに気づくまで人間はそれを神々の声だと思っていました。とても豊かな体験をしていたんです。

【ナレーション】
 現代人の脳も非常に強いショックを受けた時にはそのような原始的な働きを復活させることがあるとパーシンガーは考えています。

 脳の左半球は主に論理的な思考を司っていますが、その働きを右半球が制し実在しない何ものかを作り出すというのです。

 パーシンガーはその能力をもっと自由に使いこなせることができないかと考えています。

【パーシンガー】
 私たちは、ストレスがかかっている人の右半球の活動を高め古代の人々が持っていた能力を復活させる研究をしています。そうすれば普段はアクセスできない空間的な情報にもアクセスできます。それを自由に活用することで、サバイバル能力を高めたいのです。

【ナレーション】
 パーシンガーの考えには、多くの異論も出されていますが、彼は独自の研究を続けています。彼は実験用の特殊なヘルメットを開発しました。それをこの防音室で試験者に被ってもらいテストを行います。これまでに2000人を超える人々がテストを受けました。

【パーシンガー】
 ヘルメットには銅線を巻いたコイルによって電磁場を作り出す部品が付けられています。極めて弱い磁場によって脳に刺激を与えるんです。

【ナレーション】
 この方法で脳の右半球の側頭葉に刺激を与えます。この領域こそ実在しない何ものの存在を感じサードマン現象をひき起こすのに決定的な役割を果たしているとパーシンガーは考えているからです。

 実験によって試験者の80%は何ものかの存在を感じることができたと彼は主張しています。

 実験室では、極弱い電磁場を作ってサードマン現象を起そうとしています。この日試験者となった女性の名はりステファニー・シュワーブ(地球微生物学者・ダイバー)、13年前彼女に身にサードマン現象を引き起こす切っ掛けとなったのは強い恐怖でした。

 パーシンガーの研究チームはこの実験室でヘルメットを使ってそのときと同じ現象をひき起こせるはずだと考えています。

【ステファニー・シュワーブ】
 私は水中の洞窟を25年近く探索してきました。でも、今も潜るたびに新しい発見があるので、まだまだ知らないことが多いと感じています。

 シュワーブは夫とダイバー仲間のロブパーマーとでバハマのブルーホールという洞窟にいつも潜っていました。その日は一人で潜りました。6週間前に夫が亡くなったからです。自分が洞窟ダイビングの観を失っていないことを確かめようとしていました。ちょうど馬の乗り方を思い出すようにあの海にもう一度潜らなくてはと思ったのです。

【ナレーション】
 シュワーブは調査のためブルーホールの中に入って行きました。このようなダイビングでは命綱は欠かせません。もし命綱を失ったら帰ることができなくなります。やがて彼女は30mの地点に達しました。

【ステファニー・シュワーブ】
そこは頭の中のあらゆる部分が緊張するほど恐ろしい環境でした。真っ暗で孤独でもちろん溺れ死ぬ危険があります。もし命綱を失えば間もなく命を落とすことになるでしょう。

【ナレーション】
 その日のシュワーブの目的は何世紀も前にサハラ砂漠から飛んできた砂や土のサンプルを採取することでした。30分間の作業を終え、彼女は道具をしまい始めました。

【ステファニー・シュワーブ】
 ボンベに残っている空気を確認したところまだ慌てなくてもいい程度の量が残っていました。さあ帰ろうと思って私は命綱を探しました。

【ナレーション】
 その時シュワーブの鼓動が高まりました。命綱が見当たらなかったのです。

【ステファニー・シュワーブ】
 なぜこんなことになったのだろうと考えましたが、どこにも命綱はありませんでした。

【ナレーション】
 彼女はパニックに陥りました。これまでは夫のロブが命綱に目を配っていたのでつい注意を怠ってしまったのです。

【ステファニー・シュワーブ】 
 もう一度空気の量をチェックしてまた驚きました。あと20分あると思ったのは間違いで、実は5分しかなかったのです。その時私はあと5分後には死ぬんだと気がつきました。

 独りぼっちで誰にも知られることなくこんなところで溺れ死ぬなんてまるで、知らない惑星にたった独りで取り残されたような思いでした。

【ナレーション】
 パニックは怒りに変わりました。彼女は自分の愚かさや夫が自分を残して亡くなったことに強いに怒を覚えたのです。

 しかしそこで不思議な変化が起きました。

【ステファニー・シュワーブ】
 突然自分の身に何かが起っていることに気づきました。洞窟の中が明るくなりものがはっきり見えるようになり孤独感が和らいでいったのです。

【ナレーション】
 そのときシュワーブは何ものかの存在を感じました。誰かが自分とともに洞窟に居てくれる。それは6週間前に亡くなった夫ロブだったと彼女は信じています。

【ステファニー・シュワーブ】
 頭の中で声が聞こえたんです。「落ちついてステファニー。慌てなくても大丈夫だ。」それは夫が私によく言ってくれた言葉でした。

【ナレーション】
 彼女は心を落ちつけて注意深く洞窟の中を見回しました。すると何か白く光るものが目に入りました。

【ステファニー・シュワーブ】
 ただの錯覚だと思いました。でもこう思ったのです。何も無かったらそれでいいじゃない。他にやるべきこともないんだから、見に行けばいい。

 泳いで行った先にあったものは信じられないことに命綱でした。「今日は私が死ぬ日ではなかったのね」と思いました。

【ナレーション】
 こうしてシュワーブは、九死に一生を得ました。

【ステファニー・シュワーブ】
 あの現象が霊的なものなのか、現代の科学で説明できるものなのかは分かりません。とにかくそれが私を落ち着かせ、集中力を取り戻させ生き延びるチャンスを与えてくれたのは確かです。

【ナレーション】
 シュワーブはなぜ命綱を見つけられたのか?パーシンガーは次のように説明しています。

【パーシンガー】
 脳の二次元分岐はあらゆる空間的情報にアクセツできますだから多くの場合サードマン現象は道に迷うなど空間的な混乱状況の中で発生するのです。周りの環境を突然、事細かに感じ取れるようになります。その情報が命を救うことにつながるんです。

【ナレーション】
 この日シュワーブはパーシンガーの実験に参加していました。パーシンガーのもくろみ通りなら海底の洞窟でシュワーブの身に起きたサードマン現象が、この実験室で再現できるはずです。ヘルメットで作り出す弱い電磁場はシュワーブの脳に様々な刺激を与えていきます。・・・・・しかしこの日は何ものも現れませんでした。

【シュワーブ】
 何か紫っぽいものが見えました。

【ナレーション】
 シュワーブはその結果に落胆はしていません。

【シュワーブ】
 それは知らなくてもいいもの。そっとしておくべき秘密なんだと思います。

【ナレーション】
 サードマン現象が生き残るための脳の特別な働きだとしたら、なぜ別な人物をとる必要があるのでしょう。

【ケン・カムラー】
 脳は自分の身体の動きを第三者に投影することがあります。実際はその人自身なのに本人はそれに気づきません。でもそれは生きのびるための勝れた手段です。自分の行動をまるで他人事のように客観的に観ることができるからです。

 それによって自分が危機に直面した時に味わう精神的な動揺を排除できます。同時に他人に導かれて危機を脱したかのように感てしまうわけです。

【ナレーション】
 ではサードマン現象は生きるか死ぬかの状況でしか起きないのでしょうか。1997年宇宙飛行士のビリ・リネンジャーはもっと穏やかな状況でサードマン現象を体験したと言っています。

 アトランティスが出発しました。10日後にミールーとドッキングをします。

 リネンジャーは宇宙に132日間滞在しました。地球の周回軌道を2000回以上回り移動距離はおよそ8000万キロにのぼります。

【ジュリー・リネンジャー】
 宇宙飛行士になれた瞬間の喜びは今でも忘れられませんよ。「ジェリー!ジョンソン宇宙基地に来て訓練をして欲しい」と言われた時には受話器を放り投げて叫びました。大きな夢を実現したリネンジャーでしたが現実はそれほど甘いものではありませんでした。

【ナレーション】
 打ち上げから11年経過した宇宙ステーション・ミールは著しく老朽化していたのです。

【オリヴィエ・サンギュイ・宇宙開発テーマパークスタッフ】
 ミールの名は宇宙開発の歴史に大きく刻まれていますが、このころには軌道上に浮かぶゴミだとさえ言われる始末でした。

【ジュリー・リネンジャー】
 古すぎて修理用の部品さえまともに手に入らなかったんです。

【ナレーション】
 システムを動き続けるようにしておくだけでも一苦労でした。

【ジュリー・リネンジャー】
 毎日のように重大な故障が起きていました。何とか宇宙ステーションを生きながらえさせるため私たちは起きてから寝るまでいつも大忙しでした。

【ナレーション】
 しかしそれはリネンジャーの苦難の始まりにすぎませんでした。日々の作業を中断せざるを得ない緊急事態も発生したからです。

【ジュリー・リネンジャー】
 万事休すだと思ったことが3回ありました。船内の火事、あと一歩で補給船と衝突、ステーションが制御不能になったこと・・・それでも何とか乗り切った後には直ぐに単調で決まりきった宇宙の日常に戻りました。とは言えいつまた起きるかもしれない緊急事態には常に備えていました。

【ナレーション】
 そんな生活の中でリネンジャーはいつも孤独でした。同僚はほとんど英語を話さない二人のロシア人だけ。彼は自分が世界から切り離されているように感じていました。

【ジュリー・リネンジャー】
 私は切り離され孤立し、自分自身に行き詰っていました。人類から引き離されているように感じたんです。物理的に人類から5ヵ月間引き離されていると。

【ナレーション】
 リネンジャーは毎日1時間ランニング・マシーンで運動を行っていました。運動の間彼は地球に還った空想にふけり孤独と退屈から逃れていました。

 宇宙ステーションに滞在するようになって3ヵ月半が経ったときリネンジャーは運動の最中に突然何ものかの存在を感じました。

【ジュリー・リネンジャー】
 視界の端に父が見えました。父は私が宇宙に行く7年ほど前に亡くなっていましたが、確かにそこに居たんです。感じたのではなく物理的に存在していました。父はそこに居てこう言ったようでした。「ジェリーお前は立派にやっているじゃないか。子どもの頃からの夢を果したなんてすばらしいことだぞ。お前のことを誇りに思っている。」

【ナレーション】
 その体験の後、リネンジャーはストレスがすべて消えこころが澄み切ったような気がしました。

【ジュリー・リネンジャー】
 あの時父は、私の苦労をねぎらい孤立感から解放してくれたんです。

【ジョン・ガイガー】
 ジュリー・リネンジャーは、非常に理智的で科学的な精神の持ち主です。しかし彼はそのとき差しだされた救いの手を受け入れ、自分が体験していることに疑問を持ちませんでした。

【ジュリー・リネンジャー】
 もっともらしい理屈は付けられます。あれは心理的防衛システムのなせる業だ。私は精神的に孤立し助けを求めていた。そこに現れた父は、精神的な危機を乗り越えるために私自身が作り出したものだ。

 私も医師ですからその論理は解ります。

 でもあれは父でした。物理的に存在し、私に話しかけてきたのです。

【ナレーション】
 もし、リネンジャーの体験が事実であれば、私たちはどんな孤立した環境にいても決して独りぼっちではない、そう考えることもできるでしょう。

 しかしサードマンは、必要な時に呼び出せるのでしょうか。

【ジュリー・リネンジャー】
 私の宇宙での体験は、自分の力で父を呼び出したんではありません。私が助けを求めているのを知って父の方から来たんです。私の力ではなくあくまでも父がそう望んだから起きたことです。

【ナレーション】
 他の多くのケースとは違いリネンジャーにとってのサードマンは、彼が命懸けで戦っているときには現れませんでした。

【ジョン・ガイガー】
 火事で煙が船内に充満しリネンジャーが死の瀬戸際にいた時にはサードマンは姿を表わしませんでした。姿を現したのはランニング・マシーンでの運動中、いわば現実から逃避している時でした。

【ナレーション】
 スイスの神経科学者オラフ・ブランケもランニング・マシーンのような単調な運動を長く続けている時にサードマン現象が起きる可能性を指摘しています。
 
【オラフ・ブランケ】
 身体は運動を続けていますがその間意識が別なところを彷徨う可能性はあります。しかも彼は、その前に命の危機に直面して、またそれが起きるかもしれないという不安を感じています。その上これまで生きてきた社会環境から遠ざけられ切り離されています。

【ナレーション】
 そのような状況で脳が自分の身体や周りの環境を普段とは違った形でとらえ、幻影のような存在を作り出すのではないかとブランケは考えています。

<類似体験者の談>

・妻が見えました。

・誰か見覚えのない人でした。

・私の母でした。

・男性でした。私にはそう見えました。

・ジミーを抱きしめようとすると消えてしまいました。彼は私たちが頂上に着いていたのを知っていたのです。

・力強い霊的な力に助けられました。

・神様が現れたのだと信じています。

・私の守護天使でした。

・どう考えてもあれは私自身でした。

※類似体験が短い言葉で語られていました。

字数オーバーで後編2へ

人気ブログランキングへ

ブログランキング・にほんブログ村へ

にほんブログ村


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。