Eテレの100分de名著、鴨長明の『方丈記』の全4回が終了し来月の11月はあのアインシュタインの『相対性理論』が始まります。この番組で物理学の世界に関係する名著を紹介は初めてのように思います。
前回のブログでは、砂漠の時間について書きましたが、方丈記は文頭から川の流れの中に過ぎゆく時間が語られ無常観と密接に「時間」は関わっていました。物理学の時間は時計の時間ですが、刻みの速さは場によって異なり「時間は、絶対ではない」と話しになるのですが、同一場にいる時にはその違いはわからず、異なる次元から考えた場合にそうなのだ、という話で興味のある人には放送を楽しみにしている人も多いと思います。
個人的にはこれまでに宇宙の話や重力の話しをブログで取り上げていますので、見ないわけはないわけでさっそくテキストを購入しました。テキストを見る限り物理の話が中心になるようです。
テキストには書いてないことですが、1世紀前のアインシュタインが生きた時代、彼はマッハやマルクス主義にしたされた革命的学生気運の文化の中でキルケゴールの宗教的実存主義に彼は心を引かれたようです。どちらかというと舌を出した写真で見るようなひょうきん者というよりもやや陰りのあるネガティブ思考の人だったようです。
そういう人がなぜ空間の歪みや相対的な時間を考え出したのか、そういう話はないようです。精神生活と自然の生命活動とは全く異なる決定因に支配されている。精神的発展と有機的なそれとの間には関係性は全くない、というキルケゴールの思想は現代まで持ち越された大きな問題を提起し、功利主義的倫理性はいまだにその力を失いません。
核分裂という問題が歴史的変遷の中で発想されてくるのかある意味では哲学的な問題とも密接に関係しているのではないか、そういう話はないようです。
原発問題も単に善悪の秤に乗せた話に終始しますが、哲学や精神性の人間の営みの歴史を見るとある意味、一元一体の何たるかを示すものです。
空間のひずみを理論化することで見えてくる本当の世界、質量に物は引かれ、光は空間によってゆがめられる。ある面、人間の精神の歪みにも似ています。
講師は宇宙物理学者の佐藤勝彦先生です。テキストの表紙には、上記の「時間は、絶対ではない」とともに、「それぞれの見方で違っていい---つまり相対的なのだ」と書かれています。期待しているのですが。