クリスマスの夜にせっかくだからと栓を開けたワイン「レイヴェンスウッド メルロー 2007」は、1000円ワインの代表格と言ってもいいくらいコストパフォーマンスが高いと思いました。購入価格は1280円。しっかり安いです。買ったことも忘れてしまっていたワインだったので、ごそごそ引っ張り出した時はどこのワインだっけ?と産地もわからないほどでした。何で気に入ったのかなあ。と過去の自分に疑問を持ちながらエチケットを眺め、多分、安いカルフォニアワインが飲みたかったのだろうと記憶の糸を引き寄せていました。デザインで目を引くのが三羽のカラスです。日本には八咫烏がいますけど・・・。これは何でしょうね。調べてみると幸運の渡りガラスという意味らしいです。ふーん。よくできているので綺麗だと思います。さて、決してあなどれないカルフォニアワイン。しかもメルロー主体のまったり系のお味の方です。ミディアム・ボディでしっかりしていて舌に存在感を与えてくれます。香りは豊かでないにしろ、1000円のワインとは思えない濃厚さを思わせるプラムやチェリーを感じます。樽はフレンチオークを使用している関係か樽香も楽しむことができます。酸味は押さえられていてすっきり感があり、このワインの最大の特徴であるリッチな苦味が余韻まで続きます。バランスが良いというのは好意的にみての評価でしょう。合わせる料理を選ばないオールマイティーな赤ワインじゃないかな。鍋料理とチーズ・フォンデュに合わせて飲んでみましたが、どちらも良く合うと思いました。特にチーズがいいですねえ。ブロックのチェダーを大きめにカットするとかスパイス入りのゴーダも合いそうです。「レイヴェンスウッド メルロー 2007」を飲んでみて、これとよく似た傾向のワインを思い浮かべました。「バロン・ド・レスタック ルージュ」です。確か値段もあまり変わらないかと思います。テイストが近い気がします。バランス良く苦味と樽香で飲ませるワインだと思うからです。力強さも価格以上です。どちらが好きかというとレスタックに軍配を上げますが、好みの問題ですから優劣はつけられません。カルフォニアワンは注目しているのでこれからどんどん飲んでいきたいと思っています。
三連休の最後の日はクリスマス・イブとあって誰もが忙しくしていることでしょう。ご多分に漏れず僕も家族もやることに追われています。まあ用意ばっかりですけど。でもとにかくお昼ご飯を作らなきゃ。妻も上の娘もいないので下の娘と食べることになったのだけど、夜は中華のお店を予約していたので昼はパスタでいいと言うので、スパゲティを作ることにしました。確か上の娘がサーモンのスパゲティを食べたいと言ってなあと思い出し、最近、スモークサーモンのスパゲティを作ってないから作りたくなりました。せっかくだからちょっとリッチにしてみました。何しろクリスマス・イブですからね。キノコと野菜を足しました。とは言っても在り合わせなんですけどね。生クリームとスモークサーモンは買い出しですが、他の食材は全部冷蔵庫で見つけたものです。クリームソースに合うキノコにはシイタケを選びました。最近鍋が多いので冷凍のシイタケが余っていました。それとグリーンにはサラダ菜。彩りがよくなりますね。プラスαのトッピングにはカボチャの素揚げを用意しました。今年の冬至は21日。少しずれましたが元々クリスマスは冬至の行事が発端です。冬至にはカボチャですよね。シイタケは自然解凍してから水気を取り去ってからバターソテーしておき、スモークサーモンは食べ易い大きさにカットして同じくフライパンでバターソテして火が通ったら生クリームを足して少し煮込みます。そこへ先ほどのシイタケを加えて白ワインをふって更に煮込んだら塩で味を調えます。茹で立てのスパゲティは水気を切ってからソースと絡め、手でちぎったサラダ菜もさっと混ぜて完成させます。簡単簡単。でもこれだけでは寂しいのでスウプも作ってみました。オニオンをみじん切りにして手鍋でバターソテーしてから水を加えてじっくり煮込みます。オニオンの旨味を引き出してからコンソメのブイヨンを入れて煮込みを続けます。最後に塩・コショーで味を調えてドライハーブをかけて完成です。シンプル・イズ・ベスト。オニオンだけでもいい味が出ます。ドライハーブは我が家のキッチンに吊るしてあったものですが、何のハーブかよく知りません。妻が何種類かの香草を干しているのを拝借しました。パスタ料理にスウプがあれば立派なランチです。行き当たりばったりの料理でしたがうまくいった気がします。下の娘も機嫌が良かったし。
今年も残すところわずかとなりました。2012年が終わろうとしています。2010年をスタートだと考えるとオープンウォータースイミングも3シーズン過ごしたことになります。今年は沖縄まで行って競技大会に出場したことが一番のイベントでしたが、綿密ではないにしろ一年間トレーニングを続けることができたことも大きいことです。年齢からして難しさはあるけれど、やり過ぎないように気を付けることが何より肝心でした。身体を壊してしまったら元も子もないですかからね。特別な筋肉トレーニングはせず、トップシーズン以外は泳ぐ距離を制限し内容を濃くすることを優先してきました。それでも知らないうちに多少は胸や肩は厚くなり二の腕は太くなりました。海で泳ぎ切るには波に負けない力強い掻きが必要なので自然とそうなるのでしょうけど。夏場はタンパク質もよく摂ったので代謝も上がったのではないかと思ってます。増えた体重を落とすのに今は苦労していますが。今年最後のトレーニングはウイングアリーナ刈谷にしました。刈谷総合運動公園の中にあるプールです。ここのサッカーコートがあるウエーブスタジアム刈谷では以前二回ほどサッカーの試合をしたことがあります。社会人の草サッカーです。もう何年も前のことになりました。ユニフォームも3種類用意して張り切っていたんですけど、このところ走ることは止めています。膝を悪くしてしまったので封印しているのです。連休の最中でしたから、刈谷総合運動公園にはクラブ活動をしている大勢の学生が学校単位で集まっていました。プールは25Mの短水路ですが、子供の水泳教室が盛んな様子で3コースも陣取っていました。そのうち1コースは水中ウォーキング専用なので2コース分が遊泳です。で、その1コースは初心者向けに・・・・。残った1コースには立派に泳げるスイマーが集中するのですがペースはバラバラ。予想はしていましたけどね。メニューはブレストでイージー25Mを12本。クロールでイージー25M20本。再びブレストでダッシュ25Mを2本。ダウン50Mはブレストで合計900Mで終了しました。これで今年最後。スマホには水泳トレーニング専用アプリを登録しています。僕は毎回練習が終わるとデータをインプットしています。今年一年間プールで泳いだ距離は合計で44kMとなりました。フルマラソン以上に泳いだことになります。このアプリは日時や場所だけでなく練習メニューも詳細にログがとれるので、来年のトレーニングメニューを考えるのに役に立ちそうです。ちなみにマップ上では津軽海峡、青森ー函館間なら半分いかないくらい。大島航路、熱海港ー元町港間ならあと1kMくらいで到着する距離でした。そんな情報まで表示されるアプリなんです。
ソニーのウオークマンが切り開いた小型音楽再生装置は、今では高集積の記憶媒体が出現し、インターネットとリンクさせて利用すればどんなミュージックソースも手に入れることができるようになり便利になりました。携帯する音楽の音質は高品質でなければならず、音の善し悪しを大きく左右するヘッドフォン(またはイヤフォン)はどんどん良くなっています。気付けば家電販売店には、何を買ったらいいのか途方に暮れるような品数のヘッドフォンが売られています。iPhoneを使うようになってから通勤や出張などの移動中に音楽を聴く機会が増えました。普段は付属のイヤフォン(iPhone4用)で聴いていますが、アップル純正のイヤフォンの音質は悪くないけど物足らないとも感じていました。いつかワンランク上のイヤフォンに買い替えようと思いながら、これといったイヤフォンが見つかりません。最初に整理しておきます。値段に糸目をつけなければいい音のヘッドフォンは手に入ります。いろいろ視聴してみて2万円以上出せば満足する音がすることは分かってきました。2万円出すならオーバーヘッドの密閉式かオープンエアー式が欲しいので、音が良く1万円以下で買えるイヤフォンを探しています。この価格帯が難しいんですよね。国産モノにいいものがあるのですが、AKGとかゼンハイザーとか洋モノにも憧れて迷っていました。上の娘が最近iPodTuchを購入して新しくなった付属のイヤフォンが音が良くなったというので試してみたら、想像以上に音が良いので驚いて買ってしましました。iPhone5の付属のイヤフォンと同じです。EarPodいう名で2800円で買うことができます。きっとアップルの自信作でしょう。はっきり言ってコストパフォーマンスがいいです。僕の感覚ですが実売で5000円~7000円くらいの価格のイヤフォンレベルの音がするのではないでしょうか。カナル型ではなくやや楕円の変形で、耳にフィットするデザインが個性的です。以前のイヤフォンとの比較になりますが解像度が高いです。今まで聴こえない音が現われるようになりました。重低音はクラスオーバーです。2800円でこの低音凄いです。リマスタリングされた高音質のソースが楽しくてしかたありません。エレクトロニカ、R&Bのようにドラムンベースが重いものやエッジが効いたジャンルは刺激が違います。たかがイヤフォンですが、これだけで幸せになれるのだから安いものです。音楽って音を楽しむって書くじゃないですか。音を楽しむにはいい音で聴かなきゃね。
京都駅に降り立つのはちょっと久しぶりです。このところ足を伸ばす機会が減ってしまいました。でも僕の人生の中で一番訪問している土地なので、久しぶりでも物珍しさはありません。相変わらずの景色に見えます。移動の途中に食事を済ませるために途中下車したものの、時間があまりないので近場で済ませる必要がありました。12時少し前。こんな時は大抵「いいむら」でおまかせの昼定食にありつくところですが、もう一つ良く利用する「新福菜館 本店」でラーメンが食べたくなりました。(必ず本店です。それにしても最近ラーメンが多くなっちゃった。)京都の人は誰でも一度は口にしたことがあると思われるご当地ラーメンです。説明することはありませんね。僕はここのラーメンをことあるごとに食しているので、懐かしく感じるほどです。新福ラーメンのデビューは社会人になってからですから、「子供の頃の懐かしい味」ということにはなりません。が、しかしです。どうも慣れ親しみ過ぎたのか、無性に食べたくなることがある不思議なラーメンです。昔からずっと味を変えていないお店なのでファンも多いのでしょう。隣の「第一旭 本店」とここは常時行列ができています。その光景も当たり前に感じています。ここは基本ラーメンとヤキメシというチャーハンしかメニューがありません。水はセルフサービスです。特大(850円)を麺堅めで注文します。特大は生卵がトッピングされます。日本全国全てとは言いませんが、多種多様なラーメンをいただいても、この「新福菜館」のスタイルは独特だと思います。まずスウプが黒い。今でこそブラックラーメンなるものも登場しましたが、醤油ラーメンの醤油が濃いのか真っ黒なんです。見た目は濃い味に思えますが飲むとあっさりしています。はっきり言えば薄味ですから驚きます。大体、京都は薄味なので濃い味は受け入れられません。モヤシと青ネギがたっぷりでオリジナルのチャーシューをつまみながら麺を口に運びます。中太のストレート麺は健在でこのラーメンの個性を強調しています。関西ではストレート麺でなければラーメンではないと考える人が多く、このお店がオピニオン的存在になっているのではないかと思ったりします。僕にとって屋台のラーメンはあっさり醤油味でスウプは透けているものなんですが、京都の人達はどう思っているのでしょうか。今日も店内はいっぱいでした。きっと懐かしさを追い求めてやって来るお客で繁盛してるのでしょう。
新福菜館本店 公式サイト
新福菜館本店 公式サイト
どんぶりの器を買いに行きたいと突然妻が言い出すので、土岐市にある「どんぶり会館」へ出かけました。土岐市は美濃焼の地場で二カ所の道の駅で焼き物を販売しています。土岐IICから近い方の「道の駅 志野・綾部」は綾部ヒルズの中にある立地条件に加えて駐車場も広いし品数が多いので訪問者も自然に増えます。しかし、「道の駅 土岐美濃焼街道」では使い勝手の良さそうな焼き物が安く購入することができます。窯元直売なので四割から五割安いと張り紙がありました。ここは丘陵地帯にある「陶史の森」という自然公園に隣接し、雪を被った御嶽山がよく見えます。「どんぶり会館」はその名の通りどんぶりがいっぱい並んでいました。でも皿や湯呑みなど生活に必要な陶器も選ぶほど置いてあります。どんぶりの話に戻します。我が家にどんぶりがないわけではありません。中華は母親が瀬戸まで出かけて、とある中華料理屋が発注した大きな中華どんぶりを買い込んでくれたのを使っています。うどん専用のどんぶりは以前「どんぶり会館」で買いました。今回は親子丼やマグロ丼をいただくための純粋にどんぶりとして使うものを物色するためです。食器って見てると飽きませんね。それに料理も器で変わりますからね。どんぶりを選ぶのに時間をかけました。見た目が華やかで綺麗なデザインのものに心惹かれるのですが、普段使う物としてどうか、盛り付けてみて違和感はないか、頭の中では思いがよぎります。悩んだ結果「柚子黒天目 しのぎ」にしました。黒天目の器は全体に黒く重みがあります。鉄分を含む薬を塗ってあるので器が熱くなり保温性も高いようです。実際夕食で試してみましたが、熱かったし汁物が冷めにくかったようです。どんぶりだけでは寂しいと思って、焼酎専用のロックカップも買いました。素焼きの「黄河白刷毛」です。焼酎は家で飲まないけど、いただきものがあったりするとたまには口にします。コンビニで販売されている「南蔵」という芋焼酎も手に入ったので、早速注いでみました。氷がないのでストレートで。飲み屋さんでは焼酎をお湯割とか水割りで飲みますが、焼酎はストレートかロックが美味しいと思います。やっぱりいいですねえ。素焼きの器が欲しかったので、ついでとはいえ買って良かったと思っています。気に入った食器で料理を楽しむのも味わいの内。
ヴォーリズ建築を探して見学をしたりしていますが、とうとう東京までやって来ました。ヴォーリズ建築東京編・・・ということなんですが。高輪にヴォーリズ建築があることがわかったので地図で調べてみるとJR品川駅から歩いて数分のところでした。意外にも意外。品川なんて随分前からうろうろしています。最近も用事が増えた場所です。僕にとっては馴染みある土地なんです。新幹線で帰る前にちょっと立ち寄れるじゃないですか。そこは「東芝山口記念会館」と今は呼ばれているところです。1925年大正14年に竣工しました。三井財閥の一員で、後に三越や朝日生命の社長だった朝吹常吉氏の邸宅だったもので、その後企業である東芝が迎賓館として利用していました。(今でもそうなのかな?)第一京浜国道15号線から路地に入り、住宅街をぬいながら洞坂を上ると辿り着きます。少し小高い土地をならして建てられた広い庭園付きの白い洋館です。塀や柵で中の様子がよくわかりませんが、非常に手入れが行き届き保存状態は良いことは確認できました。入り口はとても興味が湧く意匠です。駐車場には車が置いてあり、部屋の電気が付いていました。門へ廻ってみると扉が開いていましたから誰かいるのでしょう。(当然立ち入り禁止です。)白い壁に赤煉瓦の屋根。典型的なスパニッシュスタイルのヴォーリズ建築です。煙突のデザインもいいですねえ。失礼ながら盗み撮りのようなことになってしまいましたが、何とかカメラに収めてきました。ゆかりの滋賀県では朽ちて補修することができなくて困っている物件が多い中、一部上場企業が管理をして保存される好例とみていいでしょう。経費の無駄遣いだという意見もあるのでしょうけど、これなら賛同する価値はあると僕は思っています。日本にこのような建築遺産を残してくれたことに敬意はあってしかるべきだと思いませんか?意外な場所だったことに加えてもう一つ。この洋館はテレビで放映されたウルトラセブン第二話のロケ地だということも訪問した理由です。「緑の恐怖」(ワイアール星人登場)というタイトルで宇宙ステーションV3から帰還した地球防衛軍の石黒隊員の自宅の設定になったところです。ウルトラセブンは大好きでした。1960年代のSF特撮ドラマにヴォーリズのデザインがマッチしたのです。撮影に使われたと知るに何十年と月日が流れたことと仕事のロケーションとヴォーリズの三点が重なったことに胸が躍らないわけないでしょ?
早くも年末。もうすぐクリスマスに正月です。今年最後になったフランス料理教室は、講師である古田祐二氏が寒い国の郷土料理を選んでくれました。「ビーツのエストニア風サラダ」(ラッソーリエ)はエストニア料理。「キエフ風ストロガノフ」はウクライナの料理です。「ビーツのエストニア風サラダ」は基本は和え物なので家庭でも作り易いレシピです。缶詰のビーツ、青リンゴ、セロリは生のままコンカッセにカットし、ニンジンとジャガ芋はコンカッセにカットしてから軽く塩茹でしたものを用意し、缶詰の金時豆と一緒にサワークリームとマヨネーズを混ぜてから全体を和えます。サワークリームはホイップクリームを八分立てして穀物酢を少しずつ足して作ります。和える時にビーツの缶に残っているジュースを加えて彩りを調整すると見栄えが良くなります。最後に塩・コショーで味を調えます。盛り付ける時に固茹で卵をスライスしたもの、コハダの酢漬けをスライしたものをあしらって完成です。酸味が程よいさっぱりした味で色目も美しくて食べ易いのでびっくりです。コハダの酢漬けは鮨ネタのようですが、こうして飾り付けていただくと立派なレストランメニューに変身します。エストニアってバルト三国だっていうことくらしか知らない遠い国ですが、料理においては豊かな文化がありそうです。「キエフ風ストロガノフ」は鶏のムネ肉を塩・コショーしてからオイルバターでソテーしてオーブンで加熱しローストにします。鍋にオニオンスライスをバターソテーしたら、別にシメジをバターソテーしたものを足してタイムと白ワインと生クリームで十分煮詰めます。マスタードと砂糖を加えて粘り気が出てきたら、鶏肉のローストで出た煮汁と塩・コショーも足して最後にバターモンテでソースの味を調えます。盛り付けに塩・コショーを使ったバターライスとサワークリームをトッピングして完成です。サワークリームはサラダに使った物と同じです。ガロニはプチベールを軽く塩茹でしてからフライパンでバターソテーしたものにしました。ロシアの代表料理であるビーフストロガノフはソースがデミグラスを使用しているため色が茶褐色になるのが普通だそうです。ウクライナの首都キエフではソースの色が白になります。ストロガノフはビーフと決まっていると思っていましたが、鶏肉でも大丈夫なんですねえ。今日はワインだけでなくシャンパンも登場しました。乾杯。
温泉巡りが人生の糧になるやらならないやら。しかし、時間を見つけてはふらりと入る湯船はまた格別であることは言うまでもありません。今回は温泉ではなく銭湯に行って参りました。それも東京都内の銭湯です。人気のコミックを映画化した「テルマエ・ロマエ」が今年封切りされました。古代ローマ人が現代の日本、それも銭湯にタイムスリップして、古代のローマ風呂に影響を与えるという馬鹿馬鹿しいシチュエーションと配役に顔の濃い俳優を集めたおかげで映画としては面白い内容でした。主人公ルシウスを阿部寛が務め、タイムスリップしてやって来たシーンで撮影ロケとなった銭湯こそ、この「稲荷湯」です。映画を見てから行きたくてしかたがなく、やっと念願叶いました。巣鴨にほど近い滝野川の住宅地にひっそりとあります。平日は午後2時50分から営業開始なので入り口の前で待って一番湯に入りました。少し前から常連らしいお客が数人待つほど人気もあるようです。入浴料は450円。狭い路地で目立たないですが、大正時代から始めたとあって、瓦屋根の造りといい絵に描いたような銭湯なんです。(だから映画に利用されたのだけど。)入り口には板看板に平仮名で「わ」と書いてあるものをかけます。これは何だと思いますか?答えは「沸いた」です。つまり営業中を表す記述なんでんす。江戸時代からある有名な洒落でお風呂屋らしくて好きです。裏には「ぬ」という平仮名が書いてあります。何と読むか分かりますよね?番台に女将さんが座り料金を払うと広い脱衣場があってその先のガラス戸の向こうがお風呂場です。かなり開放的に感じるのは天井が高いからです。湯気は立ち昇り、この時期、煙たくなることはありません。洗い場が素晴らしく広々としていて洗いがいがあります。浴槽が小さく感じるくらいです。タイルや木造の梁などレトロで古臭いこと非の打ち所がありません。しかも清潔なので驚いてしまいました。しっかり掃除が行き届いています。そして壁のペンキ絵はご存知富士山です。(丸山清人作)これが銭湯の王道ですね。でかいので見ていて気持ちいいです。浴槽には深めでバイブラとジェットが勢いよく吹き出していました。木製の湯桶で身体を流して入ってみると熱い湯でした。忘れていた!ここは東京。江戸っ子は温い風呂には入らないんだっけ?僕には熱過ぎます。人が少ないので遠慮せず水を足しながら何とか入ることができましたが長湯は無理です。でもさっぱりして気持ちの良い風呂上がりでした。
巣鴨って「お婆ちゃんの原宿」だから僕は行くことはないと思っていました。とげ抜きをしたいというニーズもありませんからね。実は乗り換えでJR巣鴨駅から地下鉄三田線に乗るための間に時間つぶしをしなくてはならなくなり、ついでだと思って巣鴨商店街に入ってみました。噂通り大勢のお婆ちゃん達はいました。商店街の通りはとても賑やかです。シャッター商店街になってしまい困っているところは全国にあるというのに巣鴨の商店街は心配がないようです。ゆるキャラは「すがもん」。当然鴨がモチーフです。しかし面白いのは訪問者は高齢者だけで成り立っていることです。普通、若年層や家族連れを呼び込まないと活性化にならないと思っている商店街が多いのではないかと思います。その常識から考えると普通ではないのでしょう。仏壇屋も元気ですし、杖が軒先で売られていたりして(しかもファッショナブル!)高齢者向けの商品だって活気は作れるのです。飲食店もお客が入っていて繁盛しているように見えます。それにしてもマルジの赤パンツは目立ちますね。なんじゃこれ。と僕なんかびっくりするのだけれど、婆ちゃん用の赤い下着がずらりと並ぶ専門店なんですねえ。パワーを感じました。お土産用の商品もあるみたいです。どれ妻に赤パンツでも買ってやろうと一度は思いましたが止めました。赤パンツもらって喜ぶとは思えないし、洒落で笑ってくれそうな相手でもありません。馬鹿なことはしない方が得です。でも赤パンツってセクシーじゃないですね。といってセクシーな赤パンツだったらはいてくれる話でもないでしょうが・・・。巣鴨のとげ抜き地蔵を一目拝んでおこうと「高岩寺」で手を合わせてきました。ここを訪れる婆ちゃん達の信仰の厚さを感じられずにはいられません。で、お地蔵さんを探すとこれがあんまり人気がありません。隣の観音様に人が群がっています。間違えた婆ちゃんが群がっていました。勉強不足の僕は観音様があるなんて知りませんでした。とげ抜きは和紙に書いてある地蔵御影を自分の身体に貼付けるらしく、「とげぬき地蔵尊御影」なるものを手に入れる必要があるのでした。お地蔵さんに願をかけるのではないのですね。大人気の「洗い観音」は治したい身体の部分と同じ場所を洗うと完治すると言われているそうです。直接的です。どこも悪くはない様子ですが、必死になって洗っている婆ちゃんもいました。ここへ来ると気分も高まるのかな。