京都の観光地は数多くて、人気があるなら人出は避けられない運命です。ですから、人気のない静かな場所がいいと思うようになって今日は「萩」を見てきました。暑さ寒さも彼岸までと言われ、本当に秋分を境に朝晩は冷え込む季節になり、いわし雲が浮かぶ青い空の下、秋風がそよそよと吹いて頬を叩くと秋を感じます。紅葉には気が早いこの季節。地味だけど秋の訪れを知らせてくれる「萩」の名所である「迎称寺」の界隈は、ひっそりとしていて一人でぷらりとやって来るにはうってつけの観光地でした。いやいや観光地でもないんでしょう。そのくらい地味です。東山は京都の中でもどこか上品なところですし、「真如堂」の裏手にあるのとても静かなとこです。でわざわざ足を運ばなければ誰も来ない住宅街なので、隠れスポットなのではないでしょうか。ここの「萩」はそれほどたくさんの数の花が咲くわけではなく、補修をしないまま崩れ落ちそうな土堀との相性に風情があるというところが魅力です。「迎称寺」は門が開いてはいますが、仕切りがあって中に入って見学することはできません。その土堀の周りに紅白の「萩」が植えてあり、路地にはみ出しているので、断りもなしに路地に佇んで好きなだけ「萩」を観賞し放題という手軽な観光になります。要は道端で咲いてる花を道端で立ち止まって見るということですね。市バスに乗って歩いてやって来ると地元の人が行き交うだけで、観光客なんて誰もいませんでした。「萩」も咲いてはいたものの、もう少し日が経った方がよかったかな。と思う咲き加減でした。小さな白い花弁をよく見ると、サイズは小さいのに実にダイナミックなデザインになっていることに驚きます。大体、「萩」をこんなにもゆっくり見たことなかった僕です。蔓が伸びて弧を描き、葉は蔓の向かう方向に合わせて外に飛び出すように生い茂り、植物なのに躍動的に見えるところがエネルギッシュに感じました。それでは通行人の皆様、決して怪しい者ではありません。通報しないでください。
