LIVRO/CAETANO VELOSO
ボサ・ノヴァにのめり込むきっかけは「イパネマの娘」を聴いたことだろうと自分で追想しているところですが、アーティストとしてジョアン・ジルベルトの存在はとても大きなものでした。それと同時にブラジル音楽にも興味が移り、もろもろ聴くうちに避けて通れなかったのがカエターノ・ベローゾでした。(もちろん他にもいますが。)MPB(エム・ペー・ベー)というちょっと馴染みのないジャンルに触れた時、全く新しい音楽の世界観が広がった気がしました。カエターノ・ベローゾに惚れたのは年を重ねた最近のことです。ですから、まだ僕にはよくわからないことが多過ぎて、とても「ファンです。」と人前で言えない程です。カエターノ・ベローゾがジョアンのボザ・ノヴァに刺激を受けて音楽活動に入ったとか、トロピカリズモの提唱者で反政府運動を扇動した罪で逮捕されロンドンに亡命したとか後になって知ることになりました。MPBとはムジカ・ポプラール・ブラジレイラの略で要約するとブラジルのポピュラーな音楽になってしまいます。60年代のブラジル軍事政権という時代背景をくぐり抜けたMPBは、現代では幅広い音楽に変貌しているようです。音楽を聴いているだけではそんな印象はあまり感じませんでしたけど・・・。1997年にリリースされた「LIVRO」は聴いている分にはとても自然で心地よい内容のアルバムで、流して聴いてもいいようなナンバーばかりです。カエターノ・ベローゾは晩年になってから世界的に評価が高まった人で、その作品作りは今も躍進し続けているミュージシャンなのです。誰もが思うことで今更僕が賞賛することでもないけど、声が本当にいいです。甘く囁くような歌い方もさることながら、身近な人に語りかけられたような人懐っこいところがあり、一筋通ったような芯の強い説得力を持つ声でもあります。ポルトガル語がわからないから歌詞の意味が読み取れないのが残念です。ラテンのリズムに合わせて哲学的な歌詞を歌い上げるなんて彼だから似合ってしまうのでしょう。「書物は超常的なもの。だが僕らはこれに触れ愛することができる。煙草のパックに触れるように愛しく。飼い慣らし育てるのだ。水槽の中で。本棚の上で。檻の中で。焚き火の中で。あるいは窓から投げ捨てるのだ・・・・」(LIVROS~書物より)お気に入りは11曲目の「Minha Voz,MInha Vida」です。風のない静かな午後、歩きながらふと見上げた木漏れ日のように優しい曲です。
リーヴロ
ボサ・ノヴァにのめり込むきっかけは「イパネマの娘」を聴いたことだろうと自分で追想しているところですが、アーティストとしてジョアン・ジルベルトの存在はとても大きなものでした。それと同時にブラジル音楽にも興味が移り、もろもろ聴くうちに避けて通れなかったのがカエターノ・ベローゾでした。(もちろん他にもいますが。)MPB(エム・ペー・ベー)というちょっと馴染みのないジャンルに触れた時、全く新しい音楽の世界観が広がった気がしました。カエターノ・ベローゾに惚れたのは年を重ねた最近のことです。ですから、まだ僕にはよくわからないことが多過ぎて、とても「ファンです。」と人前で言えない程です。カエターノ・ベローゾがジョアンのボザ・ノヴァに刺激を受けて音楽活動に入ったとか、トロピカリズモの提唱者で反政府運動を扇動した罪で逮捕されロンドンに亡命したとか後になって知ることになりました。MPBとはムジカ・ポプラール・ブラジレイラの略で要約するとブラジルのポピュラーな音楽になってしまいます。60年代のブラジル軍事政権という時代背景をくぐり抜けたMPBは、現代では幅広い音楽に変貌しているようです。音楽を聴いているだけではそんな印象はあまり感じませんでしたけど・・・。1997年にリリースされた「LIVRO」は聴いている分にはとても自然で心地よい内容のアルバムで、流して聴いてもいいようなナンバーばかりです。カエターノ・ベローゾは晩年になってから世界的に評価が高まった人で、その作品作りは今も躍進し続けているミュージシャンなのです。誰もが思うことで今更僕が賞賛することでもないけど、声が本当にいいです。甘く囁くような歌い方もさることながら、身近な人に語りかけられたような人懐っこいところがあり、一筋通ったような芯の強い説得力を持つ声でもあります。ポルトガル語がわからないから歌詞の意味が読み取れないのが残念です。ラテンのリズムに合わせて哲学的な歌詞を歌い上げるなんて彼だから似合ってしまうのでしょう。「書物は超常的なもの。だが僕らはこれに触れ愛することができる。煙草のパックに触れるように愛しく。飼い慣らし育てるのだ。水槽の中で。本棚の上で。檻の中で。焚き火の中で。あるいは窓から投げ捨てるのだ・・・・」(LIVROS~書物より)お気に入りは11曲目の「Minha Voz,MInha Vida」です。風のない静かな午後、歩きながらふと見上げた木漏れ日のように優しい曲です。
リーヴロ