スケッチブック 〜写真で綴るスローライフな日々2

写真を撮りながら、日々の暮らしや旅先で感じたことを書いています。
2016年からは撮った写真をイラスト化しています。

スローミュージック SELECTION Vo.62

2008年11月30日 | スローミュージック
LIVRO/CAETANO VELOSO

ボサ・ノヴァにのめり込むきっかけは「イパネマの娘」を聴いたことだろうと自分で追想しているところですが、アーティストとしてジョアン・ジルベルトの存在はとても大きなものでした。それと同時にブラジル音楽にも興味が移り、もろもろ聴くうちに避けて通れなかったのがカエターノ・ベローゾでした。(もちろん他にもいますが。)MPB(エム・ペー・ベー)というちょっと馴染みのないジャンルに触れた時、全く新しい音楽の世界観が広がった気がしました。カエターノ・ベローゾに惚れたのは年を重ねた最近のことです。ですから、まだ僕にはよくわからないことが多過ぎて、とても「ファンです。」と人前で言えない程です。カエターノ・ベローゾがジョアンのボザ・ノヴァに刺激を受けて音楽活動に入ったとか、トロピカリズモの提唱者で反政府運動を扇動した罪で逮捕されロンドンに亡命したとか後になって知ることになりました。MPBとはムジカ・ポプラール・ブラジレイラの略で要約するとブラジルのポピュラーな音楽になってしまいます。60年代のブラジル軍事政権という時代背景をくぐり抜けたMPBは、現代では幅広い音楽に変貌しているようです。音楽を聴いているだけではそんな印象はあまり感じませんでしたけど・・・。1997年にリリースされた「LIVRO」は聴いている分にはとても自然で心地よい内容のアルバムで、流して聴いてもいいようなナンバーばかりです。カエターノ・ベローゾは晩年になってから世界的に評価が高まった人で、その作品作りは今も躍進し続けているミュージシャンなのです。誰もが思うことで今更僕が賞賛することでもないけど、声が本当にいいです。甘く囁くような歌い方もさることながら、身近な人に語りかけられたような人懐っこいところがあり、一筋通ったような芯の強い説得力を持つ声でもあります。ポルトガル語がわからないから歌詞の意味が読み取れないのが残念です。ラテンのリズムに合わせて哲学的な歌詞を歌い上げるなんて彼だから似合ってしまうのでしょう。「書物は超常的なもの。だが僕らはこれに触れ愛することができる。煙草のパックに触れるように愛しく。飼い慣らし育てるのだ。水槽の中で。本棚の上で。檻の中で。焚き火の中で。あるいは窓から投げ捨てるのだ・・・・」(LIVROS~書物より)お気に入りは11曲目の「Minha Voz,MInha Vida」です。風のない静かな午後、歩きながらふと見上げた木漏れ日のように優しい曲です。

リーヴロ

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東京 渋谷 明日の神話

2008年11月26日 | 芸術/演劇
東京都渋谷の駅になんと巨大な絵画が飾られました。いや、飾られたのではなく現れたと表現したくなるくらい堂々と目立つ場所に「明日の神話」がお目見えしました。約30年前に岡本太郎がメキシコで制作したものですが、展示予定のホテルが建設中に頓挫し、この絵の行方もわからなくなっていました。つい数年前に発見され、傷んだ部分を修復し展示されることになった軌跡の作品です。僕はこの絵の発見も日本へ移設されたこともテレビのニュースで知りました。岡本太郎の傑作の一つとの名声も同時に知りました。それが渋谷駅で見られるとなれば、立ち寄らないわけにはいきません。驚いたのは展示に向く施設ではなくて、JR渋谷駅と京王井の頭線を結ぶ連絡通路にあるのです。ハチ公広場からも一部見ることができるのです。広島の原爆ドーム、大阪の万博記念公園の候補先を退けて渋谷を選んだことは英断でした。なぜなら、それが作者岡本太郎の意志に最も近いと思われるからです。渋谷駅は日本でも人の往来が最も多い場所の一つです。つまり、より多くの人の目に留まる場所なのです。高さ5.5M、幅30Mの巨大な絵を素通りにできる人は逆に少ない筈です。また作品も人の心に深く突き刺ささる重いテーマを描いています。この絵は核爆発を表現してあり、核社会の進行に警笛を鳴らすことを芸術で形にしたメッセージ性の強いものです。たくさんの人の目に触れて、たくさんの人々にその重要性を発し続ける運命を背負った作品にも見えます。また、日の目を見ないまま葬り去られかかったことを考えると、この作品は傷つきながらもその天命を全うするために、あえて環境の悪い場所で展示する方が似合う気がします。列車の振動、人混みの粉塵、日光や季節の温度差などから絵の寿命を縮めることを覚悟の上だと思うと感動も深まります。もちろん、防止策や対応策は充分に配慮されているのですが、それにしても凄いことです。中央の不気味な骸骨、邪悪な赤い炎、匿名性のある人々、死の灰を浴びた第五福竜丸・・・・。核爆発の瞬間を美しく劇的に描いたこの絵のパワーをずしりと感じることができました。現代の僕たちは戦争を止めたくても止めることができずに途方に暮れている気がします。戦争をするための努力が抑止になると信じて核兵器を作りながらも、戦争を止める努力を同じくらいしてこなかったのではないか。いや、そうではなくて戦争を予防することにあまりにも関心が低かったのではないか。と思うのです。若い時の僕にとって、東京の玄関は渋谷でした。今では渋谷にあまり近づかなくなりましたが、絵の磁力に引き寄せられてしまいました。

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「トラットリア ネロ」のアマトリーチェを真似てみた

2008年11月24日 | 料理/グルメ
今日のお昼ご飯はパスタと肉料理にしました。パスタは「スパゲティ アマトリーチェ」。肉料理は「蓋の肩ロースグリル サルビア風味」です。なぜこんなメニューにしたかというと理由があります。先日、上の娘の誕生日だったので家族で近所の「トラットリア ネロ」で食事会をした時のことです。記念の日によく使うイタリア料理のお店でもう何年も通っています。お知らせメールも受け取ることもあり、ちょうど予約を入れようとしていたタイミングでメールが来たので予約をして行きました。いつもの通り料理をいただき、満足して帰ろうとしたら店員さんにお土産を手渡されました。それが、「la MoLisana」のスパゲティでした。思いがけないプレゼントをいただいたので、これで「トラットリア ネロ」の定番メニュー「アマトリーチェ スパゲティ」を大胆にも真似て作ってみようと思いました。何回か食べたことはあるので似た味を目指してみます。レシピは調べればたくさん見つかりますが、生クリームを混ぜるというオリジナリティをどう表現するかが問題です。それとチーズの選択です。本来は羊の乳から作られるペコリーノ・チーズを使うようなので探してきました。「チーズ王国」でフランス産のペコリーノ・チーズ、「ナポレオン・エクストラ・ビュー」を購入しました。パンチェッタの代用であるベーコンはメニューに合わせることにして、ブロックから切り出しました。作り方はまず、オニオンをみじん切りにして、ベーコンと一緒にしっかり炒め、白ワインを足して水分が無くなるまで煮込みます。その上にホールド・トマトを入れて更に煮込み、塩で味を調えました。この時点で塩は控えめしておきます。チーズの塩気が後から加わるからです。最後に生クリームを程よく注ぎ、しばらく煮込んでソースは完成です。一番悩んだのは唐辛子です。普通は辛くするために使用しますが、生クリームとの相性を考えて今回は外しました。パスタを茹でたら、おろしたペコリーノ・チーズと絡めて出来上がりです。「la MoLisana」のスパゲティはもちもちして独特な食感があり、細めでもアマトリーチェに合うパスタでした。唐辛子を入れてもよかったかな?と反省はありますが、自分では近い味になったような気がするんだけど・・・。お店に行って確かめた方がいいかな。どうですか石井さん?



トラットリア ネロ 公式サイト
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北塩原村 五色沼は銀世界

2008年11月22日 | ネイチャー/ペット
会津に磐梯山あり。磐梯山は福島の代表的な火山で近くに猪苗代湖など湖沼が多く、とても自然が豊かな場所です。JR磐越西線の車窓から眺めるにランドマークとして空にそびえ、美しい景観に目を奪われます。磐梯山は裏がいい。と教えてくれる人がいて、聞くとこの目で確かめたくなるのが僕の性分。郡山から一路、猪苗代駅に向かいました。今日は快晴で天気の心配がないのでついでに紅葉も楽しめるとふんでいました。猪苗代駅からはバスで五色沼入口まで移動します。ホームに降り立つとそこは一面銀世界でした。この3日間降った雪がしっかり残っているのです。現地の積雪が心配なので観光案内の人に電話してもらうと60センチあると分かりました。まさかそんなに雪が積もっているなんて予想していませんでした。でもここまで来たのだから行ってみたい気持ちの方が強く、入り口の「毘沙門沼」は見ることができると教えてもらい迷わず向かいました。バスに乗り込み、スキー場も多いこのあたりを走ると別世界に迷い込んだような気持ちです。裏磐梯は噴火による崩壊で変化に富んだ地形を生みました。ですから表の優雅さとはまた違った景色です。「五色沼」は最初5つの沼があると思っていましたが、そうではなくて五色のように変化する湖沼の水面の色を表しているそうです。沼を散策しながらハイキングができる「五色沼自然探勝路」は総長3.6Kの平坦な道のりだそうですが本日は入れませんでした。雪が深いです。ちょと残念です。紅葉ではなく一気に雪化粧を楽しむことになってしまいました。見学できたのは「毘沙門沼」だけですが、裏磐梯山を背景にエメラルドグリーンに近い沼と雪をまとった林が何とも言えないくらい綺麗です。午前中だったのでちょうど日差しが山から降り注ぎ、宝石のように水面を輝かせていました。どのくらいかわからないけど冷えきった空気と澄み切った空の中、自然に囲まれる安らぎを再認識できました。穏やかな冬の風景がこんなにいいものだなんて、知らずに生きてきたことを悔やみます。五色沼は他にもいくつかの沼があって、それぞれ溶け込んでいる成分が違うために個性のある色に変化するそうです。是非見てみたくなりました。今度は夏がいいです。

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三沢 古牧温泉 青森屋

2008年11月21日 | 温泉
昨日から東北地方にも雪が降り、市街地にも薄っすらと残っている状態でした。日が暮れるとぐんと冷え込んできます。青森県までやって来ると気温の差が激しくて一足早く真冬を体験した気分です。こんな日は温泉であったまりたくなりますよね。寒い季節には温泉が一番です。午前中に空き時間があったので三沢駅の近くにある「古牧温泉」へ行ってきました。この温泉は「古牧温泉渋沢公園」という広大な敷地の中にあります。渋沢栄一の私邸や古民家を移設してあるそうですが、気づかずに見学できませんでした。温泉は「元湯」と「浮湯」の二つがあって「浮湯」は宿泊施設の地下にあります。日帰り入浴1200円はこの辺りでは高い相場でしょう。僕は「浮湯」を選びました。朝一番に入ったのでお客は少なくガラガラでした。平日の朝なら空いているはずだと思ったらやっぱりそうでした。宿泊客らしい人がいるだけなのでほぼ貸し切り状態です。タオルとバスタオルの貸し出しもついているので良心的です。さて近代的なデザインの温泉ではありますが、それでも古風な印象を併せ持つ綺麗なところです。内湯は青森ヒバをふんだんに使った浴槽で木の香りが心地よく感じます。かなり広い浴槽であつ湯(42℃)とぬる湯(38℃)に二分割されています。この4℃の違いが心憎い設定です。露天は何ともユニークで円形に仕切られ、まるで庭園の池に浮かぶように作られています。中央から溢れるお湯はオーバーフローしてそのまま池に流れるしくみです。こんな温泉見たことないです。そしてそれより見事なのは湯けむりでした。外気の冷え込みと温泉の温度差がそうさせるのですが、広い池からも湯けむりが立ち登り、真っ白で何も見えないほどです。誰もいなかったので写真に収めましたが、一瞬の隙を狙って湯けむりが少ない時に撮らねばならず大変でした。それにしてもみちのくの温泉は湯けむりがよく似合います。眺めは開放的で気分は本当に良い温泉でした。何しろ独り占めして入れましたからね。お湯も期待していなかったせいもあるかも知れませんが、ぬめり感があって意外にいいお湯でした。アルカリ性単純温泉としか書いてありませんが手応えのある湯です。こう寒くちゃ温泉にでも入らないとやってられなーい。

古牧温泉 青森屋 公式サイト
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橿原 寺内町今井

2008年11月19日 | 文化/歴史/技術
奈良県橿原市今井町には、古くは室町時代の後期に一向宗称念寺を中心とした寺内町が誕生し今も保存され残っていると聞いて、数少ない歴史の知見から一向宗の自治都市に興味を持っている僕としては、早速出かけてみることにしました。今井町の場所は近鉄八木駅から歩けるほど近く、東西600M、南北310Mの一画です。堀の周囲を含めた町全体を保存対象として、そこを居住区として営みがあるところが全国でも珍しいケースだそうです。だから足を踏み入れると江戸時代にタイムスリップしたような感覚が味わえます。室町時代の後期は下克上の乱世が始まり、自分たちの町は自分たちで守るという武装宗教都市が栄え、納税をしないで独立自治を貫く地区があったようです。今井町もその一つでした。当時は町の出入りは門と門番で管理され、掟(ルール)にしたがって治安維持、経済発展、防災・自衛などを自ら組織的に運営していた町なのです。織田信長に降伏した後は茶人であり武器商人であった今井宗久の口利きで温存され、江戸時代は天領として町年寄が町政を担う特権が認められていました。綿の産業で経済的にも豊かな町だったようです。現在は重要伝統的建造物群保存地区に指定されています。狭い路地をそぞろに歩きながら旧米谷家や音村家(入場200円)を見学しました。実際、人が住んでいる町なので観光地ではありません。景観を保つために建築に関しては厳しい基準を設けていることや、維持管理費が大変なことを説明などから読み取りました。商業施設が整っていなくて自動車が近づくことが困難なので町興しで保存しているのではないのです。「今井まちなみ交流センター」では説明員から町の模型を指しながら町の保存について詳しく話を聞くことができます。開発を拒んだために住人が高齢化し、空き家対策が大きな課題になっていると知りました。町並みの維持は改築整備が不可欠ですが自己負担が原則なのです。(補助はいくらかあるようです。)観光収入に頼らないのは余程勇気がいると感じます。説明員の話では、奇跡的に今井町が残った要因を、1信長が焼き払わなかったこと。2防火対策に尽力してきたこと。3二次大戦で空襲を免れたこと。を挙げていました。でも僕にはもう一つの重大な要因があると思います。それは長い歴史の中に宿る住民のシチズンシップです。この町では防衛のためブロックがわざとずらしてあって辻が歪んでしまう独特の都市デザインが施してあります。個々の家々はスクラップ&ビルドをしても町のアーキテクチャーは変えようとしません。保存が目的ではないのです。「我々は静かにここで暮らしたいんです。」と説明員が残した言葉が耳から離れません。道端にあった鉢植えの綿花が目に留まりました。そんな小さな発見に心打たれます。

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スローミュージック SELECTION Vo.61

2008年11月16日 | スローミュージック
The Seduction of Claude Debussy/art of noise

1999年に発売され、2008年デラックスエディションとしてリイシューされたアート・オブ・ノイズ(以下AON)の「ドビッシューの誘惑」を僕は待ち望んでいました。バグルスのデビューの時からトレヴァー・ホーンの大ファンだった僕は当然のようにAONにぞっこんでした。AONは1983年にトレヴァー・ホーンのプロデュースによりZTTレーベルからデビューし、その後チャイナレコードに移籍してからはトレヴァー・ホーンから離れて活動していたのでコンセプトの違う音楽性を持合わせたグループでした。当然メンバー構成にも違いがあり、ファンの好みも分かれています。リアルタイムで聴き続けていた僕は両方大好きですけどね。段々パワーダウンしたAONが活動休止状態になってしまい、間を置いて「ドビッシューの誘惑」がリリースされた時には、躊躇してしまって買い損ねているうちに廃盤になり、中古を入手しようか迷っていました。それが日本発でリイシューされると知って喜び勇んで予約購入してしまいました。AONの音楽を語るととても短文では書き表せないので、簡単にまとめておくと世界初のサンプラー・ミュージックを送り出した画期的なグループと言えるでしょう。当時シンセサイザーが珍しかっただけでなく、地球上のありとあらゆる音はコンピュータに記憶させてからエフェクトを施し、再構築することで自由な音楽を作ることが可能なことを証明する試みに震撼する人も多かったはずです。発想といい、センスといい、アヴァンギャルドでした。今では当たり前ですけどね。「ドビッシューの誘惑」はZTTレーベル時代のメンバーが中心で元10ccのロム・クレームも参加しています。トレヴァー・ホーンの趣味を色濃く反映されたこのアルバムは、現代音楽の祖と言われる近代フランス印象派の作曲家ドビュッシーの仮想伝記映画のサントラ盤という企画です。ドビュッシーの生涯を死から生へと語るナレーションをハリー・ポッターやインディー・ジョーンズに出演した俳優ジョン・ハートが演じます。全編にドビュッシーの作品が散りばめられていて、現れては消えるピアノソロは、絵画で言えばコラージュのようです。打ち込みのドラムンベースがあり、オペラ、ヒップホップ、ラップなどが調和して重なり合い、流れるように響きます。ラッパーはラップを変えたと言われるラキムを起用し、一味も二味も違うファンキーな要素を加えてることに成功していると思います。あまりに複雑な要素(AONとドビュッシーが組み合わされることの他にも難解な楽曲の選曲も含めて)が絡み過ぎて一度聴いただけでは良さが判らないのは僕だけでしょうか?テクノファンもクラシックファンも戸惑ってしまう問題作です。今回の再販はリミックス盤として日本ではほとんど流通しなかった幻の「Reduction」がボーナス・ディスクとして付いてくる嬉しい仕様です。

ドビュッシーの誘惑(デラックス・エディション)(紙ジャケット仕様)

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箱根町 萬寿福旅館

2008年11月13日 | 温泉
小田急箱根登山鉄道で箱根湯本へ向かいました。ひと風呂浴びてから次の目的地へ移動しようかと思いまして。箱根は何度も訪れているところなのでちょっとだけ寄りたくなりました。小田原から入れば玄関口に当る湯本周辺で日帰り入浴できるところを探していたら、完全貸し切りの温泉がありました。場所も駅から近いレトロな「萬寿福旅館」です。一人40分1450円は少し高い気がしますが、人情風呂が独り占めでいるのでいいんじゃないかと思い、期待して入ることにしました。旧い建物は威厳のある佇まいで、いい味出しています。入り口で女将とおぼしい人に簡単な説明を受け、館内の内風呂に案内されました。「熱かったら水を足してください」。と「10分前に声をかけます。」と言い残して。中は狭く、タイル張りの温泉でした。扇形の湯船と溶岩ぽい岩があるだけのシンプルな温泉です。樹脂製のケロヨン桶もマッチしています。誰も入ってこないことが分かっているから、ゆったりさせていただきました。(制限時間はあるけどね。)お湯はアルカリ性単純泉で変わったところはありませんが、もの凄く良い湯でした。さて、ここからは女将さんから聞いた話を中心に「萬寿福旅館」について紹介します。築75年の木造三階建ては当時としては珍しい設計で当時のまま残しているそうです。建てたのは宮大工。二階に続く階段には東海道の松の木が使われ、枝もそのままあしらってありました。箱根でも源泉かけ流しは少なくなったそうですが、ここは4本の源泉を自前で持っていてお湯の温度を調節するために組み合わせて使っているそうです。アルカリ性なので少し高めにしてあるそうですが、今日は43度Cにしたそうです。完全貸し切りでお湯が汚れるようなことがあれば、すぐ入れ替えるそうです。湯船が小さいので30分もあれば新しい湯が満たされます。この女将さん、ある意味受付をしながら湯守をしているようなものです。宣伝は一切無し。常連さんと口コミ客だけを相手にしているそうです。設備が古いし豪華なサービスもないのでイメージが違うと思われる飛び込み客が来ることを心配されていました。僕は十分納得できますよ。と伝えると安心したようで話を続けてくれました。「千と千尋の神隠し」の話を振ったら「似てる。」とよく言われるのでスタジオジブリに電話して確認したそうです。相手は、参考にしたと言ったそうです。早川を渡る湯本橋から真っすぐ正面に建っているので、その間合いや雰囲気がそっくりなんだそうです。そう言われてみるとそうです。油屋は複数のモデルの混ぜ合わせだから一部しか似てないそうですが、映画の匂いは感じられます。ここは温泉マニア向けですね。好みで意見が分かれる気がします。



住所 神奈川県足柄下郡箱根町湯本638
電話 0460-85-5368
場所
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名古屋 今年も始まるタワーズライツ2008

2008年11月11日 | 文化/歴史/技術
今週から名古屋駅前のツインタワーにイルミネーションが現れました。すっかり定着した冬のイベントですが、地元の人でもわざわざ見に来る人は多くはないようですし、県外の方だと知らない人も多いでしょう。11月も入ったばかりで紅葉も終わっていない季節、ジングルベルの音色さえ聞こえてはこないのにちょっと気が早い気もします。でもまあ、勇み足で始めてしまっても誰も迷惑はしませんし、名古屋駅を拠点とする通勤、通学、旅行者達はもうその気なってはしゃぐように集まっています。JRセントラルタワーズの壁面には大型のイルミネーションパネル。オープンテラスには光の並木道。タワーズガーデンにはテディ・ベアのオブジェとアートフラワーのイルミネーションが光り輝いて賑わいをみせています。今年のテーマは「輝きの絵本の世界へ、ようこそ。」メルヘンチックな世界を展開しています。中央の大型パネルは物語りがあるように絵が変化していきます。一度絵本になって綺麗な街が飛び出してくるしかけです。毎年デザインを変えていますけど、年々きらびやかになっているような気がします。それとテディ・ベアが増えました。今年は大型パネルにもテラスにもガーデンにもそこらじゅうにいます。詰めかけた人達は子連れにカップルに女子高生の集団?がほとんどでカメラをぶら下げたオヤジも見かけます。携帯電話やデジカメで記念撮影をしている人達がほとんどでした。それを見越してか記念撮影スポットになるようなデザインが増えたように感じます。ベンチも数多くありますから、寒いけど座って下から眺めるのもオツです。いい歳をしてイルミネーションに心躍らすなんて童心もいいところでしょうが、好きなんだからいいじゃないの。一人でぶらぶらと見学して回りました。小さな子供が飛び跳ねるほど喜んでいる姿を見ると、自分には幼い頃の思い出がない寂しさに感慨深くなりながらも、微笑ましい気もします。子供にイルミネーションを見せてやる喜びもありますよね。実はこのイルミネーション、クリスマスや年末年始には演出が変わるそうです。楽しみだね。

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バースデーワイン ~シャトー・ド・フェラン 1998

2008年11月09日 | 料理/グルメ
自分の誕生日にワインを嗜むなんて人に話したら、気障なヤツだな。とか。格好つけちゃって。となじられそうです。中には洒落ていていいですね。なんて褒めながらも距離を置かれるようなこともあるかも知れません。僕自身も自分がワインを飲むなんてガラじゃないとずっと思っていました。ところが最近ワインを飲む機会が増えました。仕事のお付き合いでも相手がワイン通だったりすることが珍しくなくなり「僕もワインは好きですよ。それじゃビールは止めてワインにしましょうか。」なんて場合もあります。ワインの味が分からなくてもいいじゃないか。と開き直って飲んで見ると素直になれるのかワインの味が身体に染み込むようになりました。今日は自分で自分の誕生日を祝うためワインの栓を開けました。いただきものの「シャトー・ド・フェラン 1998」です。(遠慮なく飲ませていただきます。)ボルドーの赤ワインは特に好きなワインです。家で飲むときはボルドー中心です。外食のときはあまりこだわらないようにしています。このワイン1998年ものですから瓶熟成で10年経ったことになります。ワインは早熟でも美味しいワインもあれば、長熟で寝かせないと本来の味が生まれないものがあります。この見極めが難しいのですがかえってそれがワインの愉しみにもなっています。「シャトー・ド・フェラン」は熟成させたほうが良いワインと言われる銘柄で10年という年月はこれから飲み頃のようです。日本では輸入量が多くないと聞いていますし、寝かせたワインを飲む経験も余りない僕には期待の大きいワインです。ヴィンテージ・イヤーでもある当たりワインですからね。合わせる料理は「石狩鍋」。ワインに合わせたのではありません。グラスに注ぐと強いアロマが広がりました。新しい樽で作られるこのワインは樽の香りやカシスの香りが特長的です。口当たりは非常にまろやか。飲み易い感じです。タンニンは柔らかいけど輪郭がはっきりしています。熟成のおかげでしょうか。ボディは思ったより軽く感じました。ライトな印象です。余韻はそれほど強くはありませんが長く残ります。これなら鶏肉料理に合いそうです。「石狩鍋」は白味噌ベースの出汁に鮭の切り身やジャガ芋を入れるので濃厚な鍋です。赤ワインとの相性は悪くありません。バターが入っているのでコクもあり、洋食みたいなテイストがありますから試してみ欲しい料理です。記念の日にはワインを。人生にメリハリがつきます。

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