ここしばらく、バルコニーに棲みついたアゲハチョウの幼虫が気になってはいましたが、仕事で家を空ければ外のことで頭がいっぱいで、その間わざわざ観察することもしませんでした。週末、深夜に帰宅して床に着き、朝寝坊をうんとしてから起き上がるともう10時でした。多分、この間大きくなっていたナミアゲハの幼虫はサナギにはなっているだろうと思ってバルコニーのミカンの木を探ってみると、どこにも姿はありませんでした。サナギの抜け殻もありません。痕跡がないのです。無事に成虫になったのか分かりません。ハチは飛んでいないので捕獲された可能性はないだろうと思いますが、鳥に見つかったのかも知れません。しかし、証拠が何もないのでしようがないと考え、それ以上詮索するのはあきらめました。代わりに4匹の幼虫が小さな植木鉢の一本の木に散らばって生息していることがわかりました。しかも大きさが見事に分断されています。一番上のアニキを一郎とすると、一郎はやや小振りな青虫。二郎はまだ鳥のフンの面影がある幼虫。三郎が小柄な鳥のフン体の幼虫、四郎は見つけるのが難しい細くて黒いアリみたいな幼虫です。不思議ですねえ。イヤイヤ、これが自然なんだろとうと考え直しました。つまりアゲハの幼虫は孵化の時期が数日ずれているようです。卵を数日置きに産みに来たとは考えにくいのです。成虫のリスクが増大します。きっと擬態以外にこれといった防御方法を持たないか弱い幼虫の生存確率を上げるために一個ずつ時間を空けながら孵化して成長しているようなのです。一本の木に大きさが違う幼虫がそろって生きているなんて初めて見ました。大の大人がこんなことで驚いちゃいけませんが、実際この目で確認すると感慨深いものがあります。そして驚くことでもないのですが、二郎の写真を撮影したのが、10時30分。昼の間外出をして帰って来てもう一度確認したら二郎は立派な青虫形態に変身していました。それが17時過ぎのことです。約7時間ですっかり形を変えてしまいました。脱皮したのです。まったく同じ場所にいたので間違いありません。予想していなかったので、発見した時は「あれっ!」と声をもらしてしまうほどでした。しかし、喜んでもいられないことがあります。葉っぱの数が少なくなって食糧難が迫ってきているのです。苗木を足して葉っぱを増やそうかと妻も言い出すくらい、アゲハの幼虫は我が家の関心を集めています。
