ウィリアム・ヴォーリズの建築物は日本に1000カ所くらいあるそうです。「旧八幡郵便局」は一粒の会というNPO法人によって維持管理を運営されていて、ここは内部の観覧が可能な建物で、常駐で案内係がいます。この案内係の人から聞いた話では、ヴォーリズが設計した建造物は1000以上あっても外観しか見学できないものがほとんどだそうです。軽井沢にもたくさんあると教えてくれました。ここ近江八幡市はヴォーリズのお膝元ですから、現存する作品も集中しています。「旧八幡郵便局」は1921年の竣工で、郵便局として使われなくなってからは、廃墟と化して忘れ去られかけていました。そこへ地元の有志が集まり、自分達で掃除や補修を続けて、今では観光スポットになったのです。このいきさつが凄いところです。市民活動は京都ではごく当たり前に行われているのですが、滋賀県も大人しくはないようです。僕も少ないけど募金をさせていただきました。資金調達など難しい面があると思います。木造二階建ての和洋折衷(屋根は瓦だったりする。)の様式は今でも存在感はあります。中に入ると一階は土産売り場になっていて、局長室にも入ることができます。二階にも上がることができたので見学してきました。元は電話交換室でかつては大勢の女性が働いていたそうです。今はヴォーリスの写真がイーゼルに飾られ椅子が並び、集会所のような趣です。ヴォーリズ夫妻の結婚式の写真が印象的でした。外に出て改めて外観を眺めると、まるでヨーロッパのどこか小さな田舎町の一角のような錯覚を覚えます。住宅や商店が密集した場所に所々にヴォーリズ建築は点在しています。ボランティアの方が道端で案内をされているし、学校帰りの子供達が何やらわいわいと勝手なことを言い合いながら歩いているし、バスでやって来た観光客もたくさん見かけました。とても賑やかです。活気も感じます。それにしても古い物を大切にする心は大切だって人は言うけど、やってみると大変なんですね。努力しないと。




