6編の短編集なんだが、俳句のように凝縮した文章に徹し、無駄がなく、しかも読みやすい。長岡もいよいよ「刑事コロンボ」をはじめたのか、と最初ちょっと引いたが、慣れるとそうでもないことが分かって来て、面白さが増大する。
ただの短編集ではないところが長岡の才能の素晴らしいところであり、6編それぞれアッと驚く仕掛けが面白く楽しい。やはり凡人ではない。
特に僕が絶賛したいのは第五話「指輪のレクイエム」だ。このラストには電車の中にいたのにもかかわらず、涙が急に溢れ出し処置に困惑した。秀逸な小説である。ミステリーとはいえ、こういう心を打つ小説をみんな欲しているのではないか。
ますます長岡の小説をさらに読みたくなった。
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