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イニシエーション・ラブ(乾 くるみ・著)(文春文庫) 80点

2010-07-02 11:20:04 | 読書遍歴
ミステリーという触れ込みで評価の高いこの小説。何も知らないで読み始めたが、合コンから始まる青春もので、誰が死ぬわけでもない、誰の持ち物が盗まれるわけでもない、読み進めても通常のラブストーリーである。でも内容がいいので、一気に読むことは出来る優れモノではある、と思っていた。

前半を読み終えて、いくらなんでも実年の僕がさらに後半を読むのは気力が必要なのでどうしようかと思っていたら、この小説は最後の最後でトリックがあるという。で、こういうどんでん返しは好きな方なので、仕方ないなあと読み進む。

そのままラストまで行って、あっと驚くわけだが、この伏線はあちこちに潜めて埋められていることに気づく。ミステリーという意識をしないから、ただ恋愛小説だと読み進めると、そんな作者の悪意に気づくはずもなく、コピーの「二度読み」もほとんどの読者はじっくり読んでいないから、仕方なしに元に戻るのではないか。

僕が一番変だなあと思ったのは、童貞、処女のセックスの際、頭とは裏腹に女の体が反応してしまっていることであった。小説ではこういう女性も結構存在するが(といってこれも立派な小説であるが)、実際はあり得ないと思う。でも、まさかこのことも伏線の一つだったとは。

まあ、構成からもちょっと変わったミステリーだとは言えるでしょう。発想も面白い。数ある小説でこういうのもいいと思う。でも、ミステリーの括りに入れるのはどうなのかな。(と言って、入れないのも変だが、、)

作者の乾くるみ氏が男性というのもあとで知り、それは納得。いくらなんでもあれほど男性の心理を分かっている女性というのは恐いなあと思っていたから、納得もし、安心もしました。

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