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プリズム(貫井 徳郎 2003東京創元社) 80点

2008-07-22 11:27:31 | 読書遍歴
関係者があらゆる角度からまたその犯罪を見直したり驚くべき事実が次から次へと語られるミステリーでも上等の香りのする醸造酒で感心する。

若かりしときにアントニー・バークリーの「毒入りチョコレート事件」を読んで僕はミステリー史上でも最高級に近い読後感を感じたことがあったが、範疇としてはこの系統だと言える。

ある美人女教師が部屋でホワイトデーでのチョコレートを睡眠薬入りで飲んでその後頭に殴られた跡があり発見される。この状況をもとに教え子の推理から始まり、同僚の教師、不倫の医者等が独自の推理をしていくことになる。

僕はこの手のミステリーは大好きで、こういうものを書ける作家というのは本当にミステリーを愛しているんだなあと思う。ニヤニヤしながらページを繰る。繰るのが勿体なあと思いながら読むというのも久しぶり。

ただ、ラストになっても解決編がないのがちょっと肩すかしのようで、残念だったり、それはそれで納得したり、でも一級のミステリーであることは間違いない。貫井徳郎の作品は初めてだったのでまた他の本を読むことができる。嬉しくなる。

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