いやあ、文庫本とはいえ630ページもの超長編もの。ふつうこういうものは避けるのであるが、最近では珍しい本格ミステリー&探偵ものと聞けば読まずにはいられない。
ところが、読めども読めども160ページになってやっと殺人事件が始まるというスローテンポの展開。叙述自体はしっかりと登場人物を書き分けていて退屈はしないが、それにしてもミステリーで事件が発生しないことにはこちとら俄然読む気がなくなってくる。と、そんな怠慢を抑え頑張って読み進めるのであった。
とにかくミステリーとしてはよく書けているので、文句はあまり言えないが、でもラストのあのあっと驚く真相は、600ページも読者を読ませておいて、ちょっと論理的にはどうなのか、といった感想を持ちました。我々昔からミステリーを楽しんでいる者からは少々の違和感もありまする。
でもこれだけのものを描き切った作者にはやり敬意を払いたい。面白かったのは事実です。
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